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【放送を終えて】シリーズ 被災地の福祉はいま 第2回

2015年03月24日(火)

第2回 ラジオで“壁”をぶっこわせ―障害者たちの挑戦 岩手県陸前高田―、の放送を終え、担当したディレクターに話を聞きました。


お疲れ様でした。放送が終わってどうですか?
ほっとしました。どういうストーリーが展開するか、予想できずにずロケに行っていたので。


今回この題材にしようと思ったのはなぜですか?
シリーズ「被災地の福祉はいま」をつくることになり、どうしようかなと思いながら陸前高田に行ってみたんです。そこで「ラジオ番組が始まったの知ってる?」「全員障害者でやってるらしいよ」みたいなことを何人かに言われて、「これ絶対面白い」と思ってもうそれだけで食いついて行きました。


その紹介してくれた方はどういう方だったんですか?
市役所の方だったり、(番組に)出てきた喫茶店のおばちゃんだったりです。
 


実際にラジオを聞いてどうでした?
最初、放送の内容は地元の話中心でよくわからないところもあるな、と思ったんですけど、その“場”が大事だなと思って。個性的なスタッフが、自分で作って、自分でゲストを選んで、ゲストも発言する場がある、みたいな “場”がすごいなと思って。そして、聞いているうちにじわじわと面白くなってきて、これはなかなか深いな、と。地元の話題もたくさんあって、まず、地元の人は面白いと思いますよ。


井筒さん、キャラが強かったですよね。今回、どれくらい時間がかかったのですか?
制作期間としては二か月半くらいです。


その間に印象に残ったことはあります?
あの街の中の、人のつながりみたいなのはすごいいいな、と。障害のある人たちは孤立しがちといいつつも、つながっているところはちゃんとつながっていて、井筒さんと照井さん(マスター)の関係にしてもそうなんですけど、すごくそれが印象的で。一部の人たちがすごく温かく見守っているというのが印象的で、井筒さんはそれをよくわかっていて、それを街全体に広げていけたらいいのにと考えて、きっとラジオをやっているだな、と思いました。


温かいなと感じたエピソードは?
たくさんあるんですけど、やっぱり井筒さんと照井さん、おばちゃんは温かくて。例えば朝、照井さんが喫茶店に出勤すると、お店の看板を営業開始の時に出すんですけど、終わったら看板をしまうのはお客さんである井筒さんの仕事なんです。井筒さん、毎日来てるんで。


それは“役割”だと。
井筒さんは、自主的にやっているんですけど。井筒さんの周りにはそういうのがいろんなところにあって、周りの人は障害者だと分かっているけど、それを意識してやっているわけでもないし。彼らは井筒さんと普通に、“ちょっと個性がある普通の人”として接しているのがいいなと思いました。


井筒さん以外の障害者の方にも、優しい感じですか?
そうですね、一部の人たち、井筒さんに限らず障害者の方一人一人に、親しい人たちがみんなそれぞれいて、すごくやさしいというかすごく理解がありましたね。


そういうふうに一部の方々がなっていったのはどうしてでしょう?
どうしてなんですかね、分かんないです。他の街でももしかしたらそうなのかもしれないですけど。陸前高田が狭い街ということだったり、震災前から知り合いで、あの震災を一緒に乗り越えてきたというのがすごく強くあるのではないかと思います。




二か月半を29分の番組にして、一番伝えたかった場面はどこですか?
一番伝えたかったのは、照井さんが井筒さんにラジオについての疑問を呈するところです。あれは二人の関係性じゃないときっと言えないところだと思うんです。「壁壊すって言っているけど、障害者同士の壁みたいなものも実はあるんだ」とあの人たち自身が葛藤しているいうのをどうしても伝えたくて、僕らも葛藤したんですね。偶然カメラの前で起こったんですけど、全然狙いにいったわけでもなんでもなく、ラジオの話を井筒さんに僕らがインタビューしていたら、照井さんがバッて入ってきて、「そんな立派な壁壊すとか言ってるけどさ」って。


照井さんも“壁”を感じていたということですよね。
そうですね。特に健常者との壁を感じているとは言ってなかったんですけどね。例えば井筒さんが「聞こえない人はしょうがないんです」と言うとか、そういうところで“壁”を感じてしまうというのは確かですよね。


あのシーンは本当にハッとさせられました。
最後の質問になりますが次にやってみたい番組は、何かありますか?
福祉関係のテクノロジーで(番組を)やりたいと思っています。全然関係ないですけど。横に走れる車いすをこの間見て、こういうの特集したら絶対面白いのにと思って。


実はWEB連載で取材したことあるんですよ。「パーソナルモビリティー」と呼ばれていて、スマートフォンで操作できる車いすがあるんです。
【福祉の『ヤバい』テクノロジー!】未来を変えてくれる予感がするパーソナルモビリティ

僕が見た、その横から走る車いすもスマホ対応でした。


あとは「さわれる検索」などもあるんですよ。文章でも面白いのですが、やっぱり映像で見ると迫力とか面白さとか、「すごい!」ってわかるので、やってほしいです。
耳が聞こえない人とかは、マイクを脳神経に入れるとか、ひょっとしたらもう障害を“克服”できるレベルになっているじゃないですか。あれはすごいなと思って。


ちょっと考え方は違いますけど、義足の女性ですごい長い足を作ってモデルになったとか、そういう方がいらっしゃったりする。そういう風に考える人もいると思うので、テクノロジーとともに紹介して頂くと面白そうですね。
「障害は“克服”は出来ない」という考え、僕はそれをテクノロジーが“超える”んじゃないかと思っていて。想像ですけど、もし自分に障害があったらと考えたら、テクノロジーが一番希望だと思うんです。とても希望になりそうな気がする。救われるような。


ぜひ番組で見てみたいです。楽しみにしています、ありがとうございました。

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