本文へジャンプ

【収録記】被災地の福祉はいま ~希望の光はどこに~

2015年03月03日(火)

東日本震災・原発事故から間もなく4年。
「被災地の福祉はいま」の第3回は、福島の復興を支えてきた自治体職員が、心も体も追い詰められているという問題に迫ります。


今回のテーマとは直接関係ありませんが、この収録の前日、私はある新聞記事に衝撃を受けました。「イラク戦争時の陸自のイラク派遣に約5500人が参加。防衛省によると、20人の陸自隊員が帰国後自殺し、今も多くがストレス障害に苦しむ」というものです。(派遣との因果関係は解明されていません)
「そんなに…!」という大きなショックを受け、自分は“現場”で何が起きているのか知らなさすぎる、ともやもやした思いに囚われました。

そして今回のこのテーマ。「住民のために」「ふるさとのために」の一心で、過酷な現場で働く職員の現実を少しでも知ることができれば、という思いで収録に臨みましたが、初めからあった心のもやもやは、晴れるどころか、深まってしまった気がします。その“もやもや”の正体は、多分、“終わりが見えない”ということなのか…。


自らも被災者である職員が、「復興のために」と歯を食いしばって身を粉にして働くも、震災・原発事故から4年経ついま、それがいつまで続くかわからない状況を見ていて…ふと気づきました。

やってもやっても終わりが見えない、避難生活のため家族とバラバラの暮らしが終わらない。それは「原発事故」なのかと。

原発はひとたび事故が起これば、地域住民の暮らしや地球環境に甚大な被害をもたらすだけでなく、このように追い詰められる自治体職員を生み出すということを、私たちは肝に銘じなければならない、と思いました。


現在は、職員たちが悩みを抱え込まないようにする工夫や取り組みも行われています。楢葉町では、職員自身が出し合ったお金で職場の親睦を深める行事を行うという、震災前にあった制度を再開。この制度を再開してから早期退職者は1人も出ていないそうです。
自力でのストレス解消、互いに支え合う姿に胸を打たれました。

ゲストの香山リカさんが、「メディアで取り上げ、みんなに関心をもってもらう」ことの重要性を話されていましたが、私たちが“見えない”復興支援を続けている彼らの行動を尊敬し感謝し、少しでも自治体職員の方が「ああよかった」と感じられたら…、その積み重ねが出来たら…。

この番組が、自分なりの「支援者支援」を考えてみるきっかけになればと思います。


シリーズ 被災地の福祉はいま

第1回 あったかい地域をつくりたい ―仮設から復興住宅へ 宮城県石巻―
第2回 ラジオで“壁”をぶっこわせ ―障害者たちの挑戦 岩手県陸前高田―
第3回 揺れる復興 疲弊する自治体職員