本文へジャンプ

【出演者インタビュー】鎌田 實さん「『心』をリセットする介護」

2013年10月03日(木)

20131001_kamata.jpg

10月1日、2日、3日放送
(10月8日、9日、10日再放送)
シリーズ ワザあり“介護”
~旅・食・アートの力~
にご出演の鎌田 實さんにメッセージをいただきました。

 

《鎌田 實さん プロフィール》
諏訪中央病院名誉院長。
医師として長年、地域医療に携わり、チェルノブイリ、イラク、東日本大震災の被災地支援に取り組む。ベストセラー『がんばらない』など著書多数。
「病気や障がいがあっても、旅をあきらめない」として毎年バリアフリーツアーを企画。

 

――収録を通して、どんな感想を持ちましたか。

勉強になりましたね。私も9年間、障害のある人たちの旅行を
サポートしてきたので、「旅の力」に対する確信はあったんですけど、
「食」とか「アート」には未知の部分がありましたね。
特に「食」の回で紹介されていた青森の「浅めし食堂」は、
将来このタイトルで小説でも書きたいなと思うくらい、
あの中にものすごく濃密な人と人のつながりがあった。
70歳、80歳の独身男性がお昼ごはんを食べに食堂に集まってきて、
そこへ隣の施設にいる95歳のおばあちゃんも来て、
みんなで一緒にご飯を食べる光景なんて、
日本人がどんどん孤立化して、
ひとりでご飯を寂しく食べているようになっていると言われている中にあって、
まったく対照的な、すごく豊かな食事だなって感じがしました。
 

詳細は「続きを読む」をクリックしてください > > >

 

――「アート」についての印象はいかがでしたか。

アートの世界は最もよくわからない分野だったので、勉強になりましたね。
ちゃんとした美術の教育を受けていない人たちの作品に着目した、
アール・ブリュット()というジャンルにはかなり興味があって、
これまでもたくさんの作品を見てきたんですけども、
あらためて認知症の方がこんなに写実的で見事なりんごを描けるんだとか、
その表現力に純粋に感動しました。
多くの人は心を揺さぶられるんじゃないかと思うんです。

今回番組に参加させてもらって、「ワザあり介護」は、
“ワンステップアップした介護”だと思いました。
今までも介護の分野は技術面でレベルアップしてきたけど、
もう一歩飛躍的に向上していくには、「心」の面が重要になるんじゃないか。
心をリセットさせる介護というか。そういうことが必要で、
そのためには旅とか食とかアートがものすごく大きな力になると思いました。

※Art Brut フランス語で、「生のままの芸術」の意味。
美術の専門教育を受けていない人が既存の美術様式にしばられることなく、
内面からわき上がる衝動のまま表現した芸術。
知的障害や精神障害の人によるアートと同じ意味ではないが、
結果的にそうした人たちの芸術作品に光があたることも多い。

 

――「心」のリセットですか。

はい。僕たちはできるだけ介護技術を普及させようと考えてきましたが、
なぜそれが必要なのかと原点に立ち返れば、
やっぱり「生きる意味」とか、「生きようとする心」みたいな
熱いものが出てきたときにこそ、
それを力に、リハビリしようという気持ちになるからですよね。

番組を見ていただくと、介護に今、
苦労なさっている方はヒントを得られると思うし、
介護職の方であれば、さらに発展形があるぞという発見があると思います。
この番組は、日本の介護シーンが変わるきっかけになると思っております。
ぜひたくさんの人に見てもらいたいですね。

 

 

 

10月シリーズ ワザあり“介護”  旅・食・アートの力  放送予定
(本放送=夜8時、再放送=午後1時5分)

第1回 ―旅―
2013年10月1日(火)再放送10月8日(火)

第2回 ―食―
2013年10月2日(水)再放送10月9日(水)

第3回 ―アート―
2013年10月3日(木)再放送10月10日(木)

第4回 視聴者の皆さんからの反響から(1)
2013年10月21日(月)再放送10月28日(月)

第5回 視聴者の皆さんからの反響から(2)
2013年10月22日(火)再放送10月29日(火)