"寡黙な"男
2013年09月09日(月)
昔、こんなCMがあった。
「男は黙って●●●●ビール」。
“寡黙”がかっこよさの象徴だったのだろう。
40代に入った私のDNAにも、
「“おしゃべり”よりも、口数は少なく渋いのが大人の男」と
刻まれているような気がする。
いわゆる“ダンディズム”だ。
そんな、“意図した”寡黙ならばいい。
“孤立ゆえの”寡黙、いや沈黙は、歓迎されるものではない。
先日、こんなニュースがあった。
「1人暮らしをする65歳以上の男性のうち、
2週間、電話も含めて人と会話することが全くないか1度しかない人が17%、
つまり6人に1人にのぼることが、国の研究所の調査でわかりました」
一方で、同じ調査で1人暮らしの高齢女性は4%。
男性は女性の4倍以上に上る。
1人暮らしの高齢男性が、社会から孤立しがちな実態が明らかになった。
はぁ・・・。
同じ男として、何だか理解できるような、したくないような。
なぜ、男は“沈黙”してしまうのか。人と関わろうとしなくなるのか。
私自身も、将来・・・。
(イメージ)夜の街に繰り出すサラリーマン。語り合える仲間と一緒に。
想像してみる。
高齢の男性も、学生時代や働いていた若いときは、
仲間と飲みに行ったりして会話する機会も多かっただろう。
でも定年を迎え、職を離れた途端に同僚との縁が切れてしまうのだろうか。
「仕事のつながり」以上のつながりは存在しないのだろうか。
そして家で生活する時間が長くなると、
気づいたら自分が住む地域に仲間は少なく、
1人暮らしならば余計に話す機会が少なくなるということなのだろうか…。
さらに、
「自分のことは自分で解決するのが男だ。
周りもそう思っているに違いない」と、
人に頼ることを敬遠し、
弱いところを見られたくないという意識が強いのではないか。
頼り慣れていない、という部分も考えられる。
また、「自分一人の道があって、相手に干渉されたくない」という
意地を張る人も中にはいるのではないか。
そうした「男」としての無意識の縛りに囚われ、
相談することができないような気がする。
女性はおしゃべりが好きだ。脳科学的にも研究されている。
集まることでの楽しさを本能的に感じている。
男性は、特に話すことがなければ、わざわざ知り合いにアポを取り、
出向いて話す必要もないと思うのではないか(私も少しその傾向が…)。
でも、
孤立が生み出すプラスのものは、まず“ない”と言っていい。
人との会話やコミュニケーションは、生活をいきいきとさせる。
「仲間と楽しく語らいながら何かをすることが認知症予防につながる」
「男性の場合、会社を定年退職すると、
人間関係が途切れて家庭内にひきごもりがちになる」
(「よくわかる認知症の教科書」長谷川一夫著)。となると、
特に男性は、定年後に認知症を発症するリスクが
高まるということになるのではないか。
認知症の一人暮らし男性。訪問看護師による在宅支援。
ではどうすればいいか。
「外に出る用事がない」「誘ってくれる人がいない」という声に対して、
どう手を伸ばしていくか。
高齢者をテーマにした回で、ゲストの方たちとの会話に
「なぜ、こうしたサークル活動に出てくるのは、女性ばかりなんだろう」
という言葉が出てくる。
男性だって、ちょっとしたきっかけがあれば(きっかけを探して)、
その活動の楽しさを知って仲間ができるだろう。
ボランティアなど、自分の「役割」が社会にあれば、生きがいにもつながる。
「▲▲な男」
ここに、「寡黙」や「沈黙」のような言葉は入れたくない。入れなくていい。
番組として、私も男として、孤立を防ぐために何ができるか、考えていきたい。
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