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【出演者感想】川崎二三彦さん「この問題を知らない人たちにこそ観て欲しい」

2013年05月09日(木)

20130507_kawasaki1.jpg――第1回、第2回の収録に参加してみて、率直な今の感想はいかがですか。

一緒に番組に出演されたくわばたさん―彼女も現在子育てをされているわけですけれども―その「えっ」という驚きが何より印象的でした。
我々にしてみると日々接している出来事なわけですけれども、まだ知らない人たちにとってみれば「そんなことがあるなんて到底信じられない」という反応なのだと改めて実感をしました。
ですから今回の番組では、何よりもまず、多くの人に知ってもらい関心を持ってもらって、子どもって大事にしなきゃいけないんだ、こうしたことをなくすためにはどうしたらいいのかなと、そういう気持ちになってもらうことが大事なのだと強く感じました。

 

――第1回の放送では子どもに手をあげてしまった父親たちが児童相談所の勧めでやってくるというグループカウンセリング「男親塾」なども取り上げました。

これについても、くわばたさんの「子どもの立場に立ったら許せないんじゃないか」という言葉に、なるほどと思いました。親の立場、子どもの立場、それぞれの見方があるので。
もちろん被害を受けた子ども、その受けた傷はごめんで解決するような簡単なことではない。許せない、という気持ちもわかりつつ、一方で親も苦しんでいるということを理解して考えていってほしい。
そういう意味では、私は、今回の番組は、されてしまった側としてしまった側、両方の人にメッセージが投げかけられる番組になるんじゃないかと思います。

 

――第2回「“ハイリスク妊婦”からのSOS」では、妊婦さんを、あるいはその後の子育てを、いかに家族や地域で支えていくかという話が出ました。

私は、いまの社会のありようから来る影響というものを改めて感じましたね。
現代は、一見自由に見えて実はすごく心細い生活をそれぞれの家族が送っているのではないでしょうか。そこに、虐待という芽が忍び込んでくるのではないか。

昔は、ちょっとお節介じみていたかもしれないけれど、みんなで子育てができるように声を掛け合っていたし面倒を見合っていた。あるいは、子どもが生まれたら、近所のみんなが「良かったね」と言ってくれた。
私は、子どもを育てていて大変だよね、だからお母さんをみんなで大切にしようね、そういう社会を取り戻すことが大事だと思います。

ちなみに今回いろんな話ができましたが、悔いがあるとすれば国や自治体の政策に対しての要望について会話ができなかったことですね。

 

――それは例えばどういう……。

いろんな事情があっても、妊娠したら安心して子どもが産めるんだよという支援を整備してもらいたいということですね。日本は妊娠をしている人にも子育てをしている人にも、まだまだ手厚い施策があるとは言えないと思います。そこをまず基本として行ったうえで、個々に事情がある人にはさらに応援しますよ、というふうになっていかないといけない。

 

――今回の番組は、どんな人に見てもらいたいですか。 

何より、「この問題をまだ知らない人たち」ですね。くわばたさんが「えっ」と思ったのと同じで、そんなことがあるの?という、まずはそこから知ってもらわないことにはスタートしないと思います。 

あとは児童相談所というのが、どんなことをしているところなのか、正しく知ってもらうきっかけになってくれたら嬉しいですね。

 

《川崎二三彦さんプロフィール》
京都の児童相談所で30年以上ケースワーカーとして働く。
現在は、子どもの虹情報研修センターの研究部長を務める。

 

 


 

◎番組の詳細は
 →2013年5月6日(月曜)再放送5月13日(月曜)
  第1回 深刻化する虐待 児童相談所はいま

 →2013年5月7日(火曜)再放送5月14日(火曜)
  第2回 “ハイリスク妊婦”からのSOS

 →2013年5月8日(水曜)再放送5月15日(水曜)
  第3回 埋もれた“性的虐待”

 →2013年5月13日(月曜)再放送5月20日(月曜)
  第4回 虐待の傷と向き合う(生放送)

 →2013年5月20日(月曜)再放送5月27日(月曜)
  第5回 言葉が持つ力―育児漫画家・高野優さん―

 →2013年5月30日(木曜)再放送6月6日(木曜)
  第6回 みなさんの声にこたえて

 

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