私は3年ほど前に結婚しましたが、結婚の直後に夫がうつ状態であると診断されました。原因は不明でした。不安を抱えながらも、なんとか夫を支えていこうと考えていました。しかし、想像以上の苦しみに耐えきれなくなり、1年3ヶ月で離婚となりました。
当時は患者をサポートする病院の先生、産業医の方がおられましたが、患者の家族をサポートすることはなされていませんでした。当時の私には相談できるところがなく、毎日が自分との闘いでした。夫の病気を理解できない・・・理解したい・・・本やネットで病気のこと、薬のこと、薬以外の治療法など、できるかぎり調べました。しかし、私や夫の両親に相談することがほとんどできませんでした。私の両親は度重なる夫の入院を知れば離婚をすすめることが予想されましたし、夫の両親は優秀かつ闊達な息子がうつ状態であることをあまり認めたくなかったようでした。入院を3度しましたが、3度目は誰にも知らせず、ひとりで見舞いに行く日が続きました。回復してもまた病気がもどってきてしまう・・・先の見えない状況と夫の病気が言わせてしまう心ない言葉、自分には相談するところがないという孤独感。毎日、布団に入るたび、涙が出るようになり、自分がつかれきっていることに気づきました。そして夫への愛情もすでに枯れてしまったように思いました。
離婚はしましたが、自分の中で「うつ」との闘いは終わっていないように思っていました。先日、テレビ(ETVワイド「“うつ”に負けないで〜働き盛り・こころのSOS〜」)で山口律子先生(患者サポート団体:MDA—JAPAN代表)が家族へのサポートについて説明されているのを聞き、やっと当時の私の状況を理解し、支えてくれる人がいることを知り、まだ前に進めると感じ、ほんとうにうれしかったです。「うつ」を経験することは、患者はもとより家族にとっても大変な苦しみですが、それは悪いことばかりではありません。実際、私はあまり他人に悩みを相談せずに内側にためこんでしまう傾向があることを自覚し、ゴミ箱が破裂する前にそれを出すことを学んだと思います。言葉遣いや相手の心の動きにも敏感になり、より深く周囲の人を感じることができるようになったと思います。
どうかこの病気がひとりひとりの患者さんからよいかたちで取り除かれ、幸せな日々を取り戻されていくことを願ってやみません。自分も微力ながら、この病気と向き合える人間であり続けたいと思います。
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