「聴覚障害」 基礎情報と相談窓口

もくじ

聴覚障害とは

一般的に聴覚障害とは
・音が聞こえない
・聞こえにくい
ために、情報の取得やコミュニケーション、さらには学習や就労など、生活のさまざまな面で支障の出る状態のことです。
 
聴覚障害といっても聞こえ方は人によってそれぞれ異なります
・1対1の会話はできるけれど、大人数の会議は聞き取りにくい
という方もいれば、
・まったく聞こえない
という方もいます。
 
また、日常の生活でコミュニケーションをする場合にも、
・補聴器や人工内耳を装用し、音を取り入れている
・手話という言語を使っている
・口の動きを読み取る
・筆談をする
など、さまざまです。


よくある困りごと

聴覚障害ある人たちにとって、「よくある困りごと」には以下のようなものがあります。
 
➀日常生活で

・聞こえる人と同じ対応をされてしまう
外見上では聴覚障害があることがわかりにくいので、日常のコミュニケーションがうまくいかないことがあります。例えば、窓口などで筆談をお願いしても、口の動きを読んで声で反応してしまうと、相手がそのまましゃべり続けてしまう、問い合わせの折返しの返事が電話でかかってきてしまうなどです。

・どう聞こえにくいのかがわかりにくい
「聞こえにくさ」にはさまざまなケースがあります。音が小さく聞こえるだけではなく、音がひずんでしまうという方の場合には、たとえ補聴器をつけていたとしても聞こえにくいということもあります。

➁職場で

・聞こえる人たちのなかで思うように働けない
「ミーティングで話の内容が分からない」「コミュニティに入りにくい」「聞こえない(聞こえにくい)ことを理解してもらえない」といったことから、職場で孤独になってしまったり、望む仕事ができないことがあります。

・業務や昇進・昇格に差がある
やり取り面での業務対応が難しいのではないかと捉えられ、聞こえる人と比べて任される仕事の内容や量に差が出てしまったり、昇進・昇格の制度から取りこぼされているケースもあります。

コミュニケーションのポイント

「聴覚障害」とひとことで言っても聞こえ方はさまざまで、本人にとって必要かつ最適なコミュニケーションの方法は何かを周囲の人が理解することが大切です。

「唇の動きを読んでいるので、話をする時に口元をかくさない」「補聴器がついている側から話しかける」「飲食店など騒がしい場所では聞こえにくい」など、より具体的な方法がわかると、コミュニケーションがスムーズになります。

また、話者の声をタブレットなどに入力し、テキストで表示をする音声認識ソフト(アプリ)を利用するという方法もひとつの手段です。

相談窓口・支援団体※NHKサイトを離れます

生活を支援する制度・サービス
緊急時の通報「110番アプリシステム」

聴覚に障害のある方など、音声による110番通報が困難な方が、スマートフォンなどを利用して、文字や画像で警察へ通報可能なシステムです。
スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、氏名、電話番号、パスワード等を登録して利用します。文字でのチャットで、国内のどこからでも、通報場所を管轄する警察本部に通報できます。スマートフォンのGPSを利用し通報場所の位置情報を通知。写真の撮影・送付が可能。ネットワークの状況によっては、利用できないこともあります。

緊急時の通報(119番)

全国各地の消防本部で、音声による119番通報が困難な人のために、FAXやメールによる通報を受け付けています。スマートフォン・携帯電話からインターネット接続機能を利用して緊急通報ができる「NET119緊急通報システム」を導入している地域もあります。利用には登録や申請手続きが必要です。
地域によって異なりますので、お住まいの自治体の消防本部ホームページなどでご確認ください。

電話リレーサービス

「電話リレーサービス」は、耳が聞こえない人と、聞こえる人が電話できるように手話の同時通訳や文字のチャットを介して通話するもので、2021年7月1日から、24時間365日利用できる公共サービスとして始まります。
サービスを利用するには事前に登録し「050」で始まる専用の電話番号を発行してもらうことが必要です。6月1日より登録の受け付けが始まりました。登録には、スマートフォンやタブレット端末からアプリで申し込む方法と、書類を取り寄せて郵送する方法があります。

料金は2つから選べます。
・ひと月170円余りの定額料金を支払う代わりに、通話料が割安になるプラン
・利用時間に応じて通話料を支払うプラン
いずれのプランでも、緊急通報やフリーダイヤルは無料で利用できます。

映画を楽しむ

聴覚障害がある人でも映画を楽しめるよう、DVDに字幕を配信しているサービスがあります。登録されている作品について、ネット上から無料で字幕を読みこむことができます。
利用するには、以下のホームページから、ユーザ登録と専用プレーヤーのダウンロードが必要です。

難聴をもつ小・中・高校生の学校生活で大切なこと : 先生編

自分の聞こえや必要な支援について、わかりやすく言語化して伝えることが難しい子どもたちのために、岡山大学病院耳鼻咽喉科が作成した、学校の先生向けのパンフレットがダウンロードできます。
「全体集会の時、マイクの音量が大きすぎると音が響いて頭が痛い」「聞こえていないのに、周囲に無視をしたと受け取られることがある」といった学生生活での困りごとや、「具体物・指さし・身振り・ジェスチャーなどを活用する」「他の子の発言を復唱して伝え直す」といった、授業で必要な配慮について記載されています。

NPO法人 Silent Voice

ろう・難聴児の総合学習塾や、聞こえない人と聞こえる人が共に働く企業を対象にした研修・コンサルティングサービスを実施している団体。こちらのページでは、NPO法人Silent Voiceが企画し、難聴の当事者である志磨村早紀さんが監修を務めた「自分の聞こえを相手に伝えるためのサポートツールについて紹介しています。

相談窓口/支援団体
一般財団法人 全日本ろうあ連盟

ろう者の人権の尊重、文化水準の向上を図り、福祉を増進することを目的としています。

一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

全国の難聴者・中途失聴者の社会的自立の促進や福祉の向上、権利擁護に寄与することを目的とした団体です。

社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター

聴覚障害者の生活文化の向上、情報・コミュニケーション事業の推進を目的とし、各種の相談支援を実施している団体です。

Tokyo Deaf LGBT Bond

ろう難聴者でセクシュアルマイノリティーでもある人たちへの支援を行うため、当事者によって設立された団体です。関東を拠点に活動しています。
LGBTQ+に関する情報提供や、手話講座の開催、手話通訳の派遣事業などを実施。
HPの問い合わせフォームから、メール形式で、当時者による相談支援も行っています。

Deaf LGBTQ Center

ろう難聴者でセクシュアルマイノリティーでもある人たちの支援を行う、当事者団体です。2014年、日本で初めてのろうLGBTQ支援団体として立ち上がりました。関西を拠点に、全国や東アジアの当事者たちと広く繋がりながら、活動しています。「ろう×セクシュアルマイノリティー全国大会」の開催や、サポートブックの発行、手話通訳の派遣事業などを実施。HPの問い合わせフォームから、メール形式で、当事者による相談支援も行っています。

(民間の支援団体等については、番組の取材先を中心に掲載しています)

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