「医療的ケア」 基礎情報と相談窓口

もくじ

医療的ケアとは

いわゆる「医療的ケア」とは、法律で定義されているものではありませんが、一般的に学校や自宅などで日常的に行われている、たんの吸引・経管栄養・気管切開部の衛生管理等の医行為(※)を指します。

医師や看護師などの免許を持っていない人が、意図的に医行為を繰り返し行うことはできませんが、平成24年度の制度改正によって、そうした免許を持っていない人でも、たんの吸引など5つの特定行為に限っては、研修を受けた上で都道府県知事に認定されると、「認定特定行為業務従事者」として、一定の条件の下で実施することができるようになりました。(文部科学省「学校における医療的ケアの必要な児童生徒等への対応について」より)

※医行為
医師の医学的判断及び技術をもってするのではなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為。医療関係の資格を保有しない者は行ってはいけない。

増加する医療的ケア児・者

近年の新生児医療の進歩により、以前であれば出産時に救えなかった多くの命が救えるようになりました。その結果、生まれた後、医療的ケアを必要とする人たちが増えています。そうした人たちのことを“医療的ケア児・者”といいます。その数は増加傾向にあり、2020年には、在宅の医療的ケア児(0~19歳)の数はおよそ1万9000人と、10年前の1.8倍に増えています。

(※「医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する報告(田村班)」、及び厚生労働省 障害児・発達障害者支援室による推計)

法律と制度

かつての法律や制度は、こうした人たちが地域で暮らすことを十分に想定して作られてきませんでした。そのため、保育園や幼稚園、学校、施設などに通おうとしても「対応できない」と断られ、望む教育を受けられなかったり、居場所がなかったりする子どもたちがいました。また、福祉サービスが少ないために家族にも重い負担がのしかかり、特に親が長時間の介助のために身体的にも精神的にも追い詰められ、働くことも難しいケースが全国でありました。

こうした実態を受け、2016年6月に障害者総合支援法と児童福祉法が改正され、医療的ケア児の存在が初めて法律に明記されました。また、2021年6月には「医療的ケア児支援法」が新たに成立し、国や地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うことになりました。制度の狭間で見過ごされてきた“医療的ケア児・者”を福祉や教育の現場で支え続けていけるか、今後のあり方が問われています。

相談窓口・支援団体※NHKサイトを離れます

支援団体・ネットワークなど
全国医療的ケア児者支援協議会

医療的ケアを必要とする人と家族が笑って暮らせる社会を目指して、さまざまな情報発信や提言、研修会などを行っています。

NPO法人 医療的ケアネット

医療的ケアが必要でも、あたりまえに豊かで安全・快適に暮らしていける地域社会を目指して、セミナー・学習会の開催や、さまざまな情報発信をしています。

バクバクの会

人工呼吸器をつけて生きる人、その人たちとともに生きる人たちの会です。子どもから大人の方まで、地域であたりまえに生きるために必要なことを様々な人たちと一緒に考え、伝えています。

特定非営利活動法人 アンリーシュ

医療的ケア児を育てる家族へ、Webメディアや動画配信を通じて育児に役立つ情報や福祉に関する基礎知識を提供しています。

ウイングス

医療的ケアが必要な子とその家族のためのボランティア団体です。家族と支援者が集まるイベントの開催や、行政等への提言・要望をおこなっています。家族会の全国マップも掲載しています。

(民間の支援団体等については、番組の取材先を中心に掲載しています)

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