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特集・鈴木祐花のこの人に会いたい~門川紳一郎さん~

特集・鈴木祐花のこの人に会いたい~門川紳一郎さん~

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放送日 2024年1月28日(日)

ゲスト・門川紳一郎さん
聞き手・鈴木祐花さん
司会・高山久美子
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高山
特集です。今日は初企画「鈴木祐花のこの人に会いたい」。
「てくてく盲導犬ライフ」でお馴染みの鈴木さんが、お会いしたかった人に直接インタビューします。
今日、鈴木さんがインタビューするのは、盲ろうの門川紳一郎さんです。
門川さんは、1965年大阪生まれの58歳。
視覚と聴覚に障害があり、現在の見え方は光覚、光を感じる程度で、耳は聞こえません。大阪市立盲学校を卒業し、大学に進学。1989年、アメリカに留学して、ヘレンケラー・ナショナルセンターや、ろう者のための大学として知られるギャローデット大学で、手話やリハビリテーションを学び、さらに、ニューヨーク大学で修士号を取得しました。現在は社会福祉法人全国盲ろう者協会に勤務され、2012年からの十年間、国の「障害者政策委員会」の委員を務めました。そして門川さんも盲導犬ユーザーで、趣味は、ランニング、スイミングなどだそうです。
それでは、鈴木さん、よろしくお願いいたします。
鈴木
はい。門川さん、こんにちは。
門川
こんにちは。きょうは、よろしくお願いします。
鈴木
はい。私もお会いできるのを楽しみにしてきました。早速ですが、門川さんは、盲ろうということですが、日常のコミュニケーション手段から教えていただけますか?
門川
僕の場合は、話をするときには自分の声でお話します。全く聞こえないし、目も見えないので、話を聞くときはいろんな方法を使ってます。手のひらに文字を書いてもらう「手書き文字」、きょう今ここでは「指点字」で鈴木さんのお話聞いています。ほかに、ろうベースの人や、聴覚障害の人たちと直接コミュニケーションが取りたいときは、手話を使います。鈴木さんは、僕のような盲ろう者に会ったことはありますか?
鈴木
実は盲学校の1年先輩で、全盲難聴の先輩がいました。全学年が合同の授業などでは自己流で指点字の通訳をしていたんです。先輩からありがとうと言ってもらったときに、私でも役に立てるんだなと思って、うれしかったことを覚えています。
門川
素晴らしい出会いだったんですね。
鈴木
そうですね。
門川
僕も、盲学校では聞こえないという存在は僕だけでしたけれど、隣の席のクラスメートが、授業の内容を手のひらに書いて要約して伝えてくれたり、寄宿舎でも先輩、後輩らと交流ができて、本当にうれしかったことを、今でも思い出すことがあります。
鈴木
なるほど。そうなんですね。視覚障害単一の場合も、そうだと思うんですけれども、やっぱり施設に通所しようとしても、なかなか障害のことを理解してもらえないですとか、地域によって生活訓練ですとか、サービスも受けられるものも違いがあるなと感じています。福島県内でも、私は数人の盲ろう者にしか会ったことがありません。まだまだ外に出られない盲ろう者がいたり、支援につながっていない盲ろう者もいると思います。そのような課題についてどのようにお考えでしょうか?
門川
そうですね。僕もそうなんですけども、目と耳の両方に同時に障害があるってのは自分だけかなって思って過ごしているっていう人が結構いらっしゃるんじゃないかなと思います。視覚と聴覚と両方併せ持ってるっていう人は、外見からは分からないですよね。だから、盲ろう者の存在というのがなかなか社会認知されにくいんじゃないかなと思うんですね。だけれど、よく考えてみると、全国盲ろう者協会ができる前ぐらいから、かなり盲ろう者のことは、知られるようになってきてるんじゃないかなと。これはマスコミの影響も大きいし、なによりも、盲ろう当事者が積極的にいろんなところに出ていくようになってるということが大きいんじゃないかと思います。
鈴木
少しずつこう、外に出られるようになっていくことで、その人自身の世界も広がっていきますし、社会にも盲ろう者という人がいるんだっていうことが伝わっていきますよね。
門川
ですけど、一つ問題があって、それは何かというと、盲ろう者自身に情報が伝わらないということなんですよ。世の中がどうなってるかといったこと含めて、いろんなことを知らない。一般の人たちは、スマホを持っていたらすぐにいろんな情報を得ることができちゃいますけど、盲ろう者の中には、スマホを使うことがまだ難しい人もたくさんいらっしゃいますし、自分で情報を取得するのが難しいので、周りの人が盲ろう者にいろんな情報を伝えていただけたらいいんじゃないかなと思うんですね。それが課題かなと思ってます。
鈴木
はい、ありがとうございます。ところで、門川さんも私も、盲導犬ユーザーということで、盲導犬についてお話を伺っていきたいと思います。
門川
はい。
鈴木
盲ろうの盲導犬ユーザーというのは、珍しいですよね。門川さんは、なぜ盲導犬との生活を希望されたんでしょうか?
門川
僕は自分が盲導犬ユーザーになるとは思っていませんでした。盲導犬なんかなくても自由に歩き回ることはできると豪語してました。ところが、東北の大震災の前くらいから、だんだん自分の平衡機能が衰えていって、階段の上り下りも含めて、歩くのがすごくしんどくなりました。でも、だからといって、介助ヘルパーの人に頼るんじゃなくて、自分でできることは自分でやりたい、それまで自分の好きなように行動していたから、なんとかして自分で歩いたり、活動したりしていきたいなと思っていて。では、どうしたらいいんだと考えていたときに、アメリカで勉強していたときのことを思い出しました。アメリカ時代の友人が、彼は全く見えない、全く聞こえない、全盲ろうだけれど、盲導犬のユーザーであり、マンハッタンをね、盲導犬と歩いていたんですよ。彼のことを思い出して、自分も盲導犬で歩けることができたらいいなと考え始めたんですね。だけれど、どこに相談をしたらいいかがわからなかった。そんなときに、弱視で難聴、ちょっと障害が軽い盲ろう者なんですけれど、その人が盲導犬と一緒にいて、驚いたんですよ。どこで訓練受けたんですかと聞いてみたら、日本盲導犬協会と教えてくれました。だけれど、僕自身、光と影が分かる程度しか視力がないし、耳は全く聞こえないし、難しいかなと半信半疑だったんですけれども、相談してみますと、「体験歩行をしてみませんか」と提案をしてくれて、時間かかりましたけど、訓練を受けさせてもらえることになりました。
鈴木
盲導犬と生活をするためには、育成団体によっても違ってきますけれども。盲導犬の訓練センターに1か月ほど宿泊をして、盲導犬の歩行やお世話を学ぶ共同訓練というものを受ける必要がありますよね。共同訓練を受けるために、何か準備はされましたか?
門川
はい。通訳介助者が必要ですから、来てもらって、宿泊もしながら、ほぼ1か月、過ごしてもらいました。
鈴木
そうやって門川さん、訓練受けられて、2016年の3月から盲導犬のベイスくんとの生活が始まったそうですね。
門川
今はベイスがいないと、外出したり行動したりすることもできない、僕にとってはかけがえのない存在になっているので。今、ベイスは9歳、もうすぐ引退なので、代替えを申請中です。
鈴木
門川さんはベイスくんと歩かれるときは、白杖も持たれていますか?
門川
はい。最初の頃は持ってなかったんですが、今は白杖で足元を確認したり、また、バランスが崩れそうになったときに、白杖で支えたりとかするために使えるから。
鈴木
なるほど、そうだったんですね。信号の判断っていうのは、どのようにされてるんでしょうか?
門川
信号はなかなか渡るのが怖い、すごく慎重になっています。信号の前で立ち止まり、風とか車が通っていくと、感覚的にわかることがあるので。そういった体の神経を一つにとがらせて、全体を見回してるというのが一つ。誰かを呼んで、ここ渡りたいんですけれど、渡してもらえませんかと言って、渡してもらったりすることもあります。あとは、アプリの活用ですね。信号が変わったことがわかるアプリがありますので、便利ですよ。青になったら振動するので、信号のほうに向けてアプリを構えたら、信号が変わると振動して分かります。
鈴木
例えば、道に迷ったときなど、ほかの人に声を掛けるというのが難しいんじゃないかなと思うんですけれども。そういうときは、どんなふうにコミュニケーション取っているんでしょうか?
門川
幸い、僕は手を上げたり、声を出したりして、人を呼ぶことができて、人が来るまでじっと止まっていたりね、ベイスは大きいから目立ちますので、気が付いてくれることが多いです。問題は、人がいるかいないか。大阪や東京は人がたくさんいるので、人の助けを求めることはそんなに困らないと思うんですが、田舎とか人がいないところになると、大変だなと思いますね。
鈴木
私の経験だと、白杖で歩いていたときよりも、盲導犬と歩いているほうが、声を掛けてもらえるというのが多くなったなと感じているんですけれども、そのようなご経験はありますか?
門川
あります、あります。でも、僕、聞こえないので、自分が耳が聞こえないということを説明するのがすごく大変なんですよ。相手の人は、盲導犬歩行をしている人イコール、単一の視覚障害という思い込みがあるようで、聞こえないってことは、なかなか伝わりにくいんじゃないかなと思うので、難しい。だから正直、声掛けられたくないって思うときがあるんですけど、親切に声を掛けてくださるので、どこそこに行きたいのでどう行けばいいんですかとか、その人の背中、肩とか腕とか持って、誘導してもらったりするようにしてます。
鈴木
目も見えないし、耳も聞こえない、そういう盲ろうの人がいるんだなっていうこと、他の人にも伝わるきっかけにもなりますよね。
門川
そうですね。声掛けてくれる人には、できるだけ接するように、これからもしていきたいなと思っています。
鈴木
ところで、門川さんは盲導犬の受け入れを断られたという経験はありますか?
門川
たっくさんありますよ。拒否されると最初は腹が立って、日盲訓練センターとか、あとは、役所のほうに相談したことがありました。
鈴木
私も最初に5件連続で断られたときは、どうしようかなと思いましたけれども。いろんなお店に出掛けるようにしています。
門川
僕たちユーザーは社会の人たちに、盲導犬がいないと歩行が難しいということをわかってもらうように、いろいろ工夫をしていくことが大事かなと思います。盲導犬ユーザーも、社会にはいろんな人がいるんだということを知ることが重要ですね。世の中には犬が駄目な人も、法律を知らない人もたくさんいるので、お店に受け入れてもらいたいときは、実はこうなってるんですよ、受け入れていただけませんかみたいに、建設的に対話をしていくことが重要じゃないでしょうかね。
鈴木
そうですよね。お互い歩み寄って、建設的な対話をってお話がありましたけども、同じような気持ちでいます。最後に、盲ろう者や重度の障害者が、もっと自立したり、社会参加をしたりする上で、大切なことは何だとお考えでしょうか?
門川
多様性の時代だと考えていく必要があるんじゃないかなと思います。世の中にはいろんな障害者がいます。障害者だけじゃなくて、ジェンダーもいろんな人がいます。一人一人の生活を尊重して、それぞれなりにマイペースでやっていけばいいと思います。そのために、自分でできないことは、周りの人に助けを求める。支援をお願いするためには、信頼関係とかも大事ですし、助けてもらう立場にもあるわけだから、いろんな人とのつながり、これも重要ですね。で、盲ろう者にとっては、通訳、介助派遣の制度って制度がありますが、ほかにも利用できる制度はいろいろあるので、併用することによって、よりよい盲ろう者の生活をつくっていけたらいいと思います。
鈴木
きょうは、本当に貴重なお話を伺うことができてうれしかったです。やっぱりその人らしく生活できるように、私もどんなふうに関わっていけるのかなというところを考えていきたいなと思いました。どうもありがとうございました。
門川
こちらこそ、僕に声を掛けてくださり、ありがとうございました。
高山
今日の特集、「鈴木祐花のこの人に会いたい」。ゲストは門川紳一郎さんでした

(おわり)