家族を生きる~盲ろうの夫とともに
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(2018年10月21日(日))
- 遠田
- この紙芝居のラストというのが、ヒロくんとパパの大きな笑顔のツーショットで終わっているんですが、このヒロくんが今は高校生になったということでしたけど、あらためて、お父さんとお母さんについてどう思ってるのか、実はお話を聞いています。
【大翔くんインタビュー】
- 大翔
- 僕の父は目が不自由で耳もちょっと悪いってのは、僕が生まれたときからずっとそうなんで、それが普通っていうか、逆にそうじゃなかったら変な感じがする。何でしょうね。それが当たり前、それで思い悩んだりとかはないですね。
- 遠田
- すごいなあと思うところって、どんなところがありますか?
- 大翔
- あんまり自由の利かない体で、例えば洗濯干すだとか、家事を手伝ってて、そういうとこは尊敬しますけどね、はい。世間のお父さんがどうなのかわかんないですけど、たぶん母も助かってるんじゃないですかね。
- 遠田
- お母さんはどういう方?
- 大翔
- そうですね、明るくて楽しい母ですね(笑)。母親は、僕には、自分が楽しいから仕事してるみたいに言うんですけど、それでも大変そうに感じる時があるので、僕が大人になったら、母がもっと…楽になるようにっていうか、働かなくてもいいような生活っていうか…なればいいですね。僕が働いて(笑)。そんな感じですかね。
- 遠田
- 将来の夢ってあるんですか?
- 大翔
- 将来の夢ですか?絶賛考え中、みたいなとこはあるんですけど。母から、男の通訳介助の人が少ないみたいな、そんなこと言ってたんで、それでアルバイトとかできたらいいのかなあなんて思ったりはしましたけど、ずっと人生で、そういう福祉関係の仕事をやっていきたいって思ったことはないですかね。母も父もそういう関係の仕事に詳しいですし、冗談交じりな感じで、「福祉のお仕事はそんなにお給料が良くないよ」みたいな(笑)。
言われるんでね。別にそれが理由ってわけじゃないですけど、ちょっとは考えたことありますね、そういうのは。
- 遠田
- この家族を一言で言い表すとすると、どういう家族になるんだろう?
- 大翔
- 和みのある家族(笑)。ちょっと、分かんないですね~(笑)
【インタビュー終わり】
- 遠田
- 「なごみの家族」っておっしゃっていましたけど。福祉関連のお仕事はね、ちょっと処遇の面からなかなか大変そうだなあなんていうお話がね、ちょっと、残念かなと思ったんですけど、そういう、夢とか仕事とかについて家族でお話をするっていうことはありました?
- 渡井
- そうですねえ。やっぱり通訳・介助者って、普通のお仕事よりも、かなりお給料の面で(笑)、毎日毎日仕事が入るっていうわけでもないですし、入ったとしても一日2時間で終わるときもあれば8時間あるときもあるしっていう感じで、私も、主人もそうだと思うんですけれども、将来こういうふうになったらいいよとか、こういう道に進みなさいとか、そういうことは一切言ってないので、もう子どもたちに、自分がやりたい仕事に就いてほしいなあと思ってます。
- 遠田
- まだヒロくんは「絶賛考え中」ということでしたけど、これからね、道をしっかりと見出していくと思うんですけれど。
- 渡井
- そうですね。
- 遠田
- はい。そしてもうひとり、夫の秀匡さんにも話を聞いています。
【秀匡さんインタビュー】
- 遠田
- どんな結婚生活だったと思ってらっしゃいますか?
- 秀匡
- うーん。もともと自分が、両親と一緒に生活するというカタチ…いわゆる普通の家族のカタチというのは、あまり経験してなかったので、結婚して、子どもたちと家族で生活するっていうのは、憧れというか。
お互いに思いやったりとか、家族っていいなあと思いますね。やっぱり、障害があるので、子どもたちにはあまり負担はかけたくないなあってのはあるので、自分たちがやりたいことをやらせてあげたいなとは思ってます。
- 遠田
- じゃあ、応援するっていうことですね。
- 秀匡
- そうですね。
【インタビュー終わり】
- 遠田
- 秀匡さん、家族っていいなあっていう一言、とっても実感がこもっていたのが、私、印象的だったんです。
- 渡井
- そうですね。主人は、もう小学校入る前からだと思うんですけど、寮生活を送っていたようなので、視覚障害のお子さんが集まる寮とかにいたみたいなので、あんまり、家族と一緒に毎日ご飯を食べるっていうことが、小さいときはそんなになかったみたいですね。
- 遠田
- だからなおさら、今一緒にいて話したりっていうことが喜びでもあるんでしょうね。
- 渡井
- ですかね~?ふふふ(笑)
- 遠田
- 秀匡さんも、子どもたちには自分がやりたいことをできる限り叶えられるように応援したいっていう、この辺りは、ご夫婦同じ感覚でいらっしゃるんですね。
- 渡井
- そうですね。
- 遠田
- 家族の物語、渡井さんご自身としては、どんなふうに日々を重ねていきたいと思ってらっしゃるんでしょう?
- 渡井
- やっぱり家族って、一緒にいてちょっとホッとするっていうか、自分の言いたいことを言い合える、っていう場所だと思うので。これから子どもたちが大きくなっていくと、いずれは巣立っていくので、そこはちょっと寂しいなあっていう気持ちはあるんですけれども、もう子どもたちも大きくなって家を出たら、そこで、新しい家族を作っていってほしいなあと思います。
- 遠田
- それぞれがね、家族を作って、また広がっていくわけですけど、冒頭にご紹介した、盲ろう者についての特別授業、これももちろん続けていかれる?
- 渡井
- そうですね。ご依頼があれば、ぜひ。どこでも行きたいと、私的には思っています。
- 遠田
- そのときは、秀匡さんは、一緒に活動するっていうことは?
- 渡井
- 主人は実は1回も行ったことないんですね(笑)。恥ずかしいからちょっと嫌だって言われて。
- 遠田
- でも、これからね、また時を経て、歳を重ねていったら、もしかしたら二人になったから一緒にっていうことになるかもしれませんけども。
- 渡井
- どうですかねえ(笑)。
- 遠田
- これからも家族としてのいい時間を重ねていっていただきたいなと思います。
今日は、「家族を生きる~盲ろうの夫とともに~」と題しまして、盲ろう者向け通訳・介助者の渡井真奈さんにお話を伺いました。渡井さん、ありがとうございました。
- 渡井
- ありがとうございました。