今月のトピックス 特集:世界の盲ろう者とともに
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(2018年9月30日(日))
2.世界盲ろう者連盟の事務局長を経験して感じたこと
- 高山
- ところで福田さんは5年前にこのヘレン・ケラー世界会議があった時に、事務局長になりましたよね。
- 福田
- はい。
- 高山
- 振り返っていかがですか?
- 福田
- いろんな思いがあります。5年前、事務局長になった時は、私は盲ろうの支援に繋がってそんなに時間がたっていなかったので、盲ろうの文化、やり方とかが、わからないまま飛び込んでしまったので、いろいろな葛藤とか、不満みたいなものもありました。それを同じ役員にぶつけたりもしましたが、みなさん私を戒めるわけでもなく、すごく温かく聞いてくれて、私が事務局長として、いろいろせっついたりしても、「アキコ、こういう事だよ」って説明してくれる。私はすすまない事にイライラする事もあったけれども、そういう事を言っちゃダメって言われる事は一度もなくて。寛容であること、どんな人も受け入れる事、誰も排除しないという事、自由に発言できる場所があるというのは、一番大切なんじゃないかなって今は思っています。どんな人も拒まない、盲ろうのコミュニティというか文化というものが素晴らしいなというふうに、今は思っています。
- 高山
- そしてその世界会議が終わって2ヶ月後に、「アジア盲ろう者団体ネットワーク会議」が、全国盲ろう者大会と同時開催で、千葉県の幕張メッセで開催されましたよね。その暁子さんの世界の事務局長をなさった経験が、アジア会議にも活かされたという事でしょうか。
- 福田
- はい、そうです。5年間の間、いろいろな国、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アメリカ、様々な国とコミュニケーションをとってくる中で、とても重要な事に気づいたんですけれども、それはアジアの盲ろう者の声がとても少ないという事。アフリカ地域では、アフリカ盲ろう者連合ができていたり、ヨーロッパはヨーロッパでとても強いものがあるし、ラテンアメリカにもあるし。世界の人口の60%がアジアにいると言われているにもかかわらず、アジアの盲ろう者というのはどこにいるんだろうと、何をしているんだろうって、全くわからずにいたという。それがすごく、アジアから出ている事務局長として、アジア地域の盲ろう者に、もっと自分の時間とエネルギーとを使いたいっていう思いがすごく強くなりました。
- 高山
- それで、アジア盲ろう者団体ネットワーク会議が開かれたという事なんでしょうか。
- 福田
- そうですね。