盲ろう者のための本音ラジオ ―もっと毎日を楽しみたい編―
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(2014年8月24日(日))
《第二部 全国盲ろう者大会 ―みなさんの声―》
- 高山
- それでは、ここで他の方々の声もご紹介したいと思います。
盲ろう者の皆さんが「盆と正月がいっぺんにきた!」というぐらいに楽しみにしていらっしゃるのが、全国盲ろう者大会。
23回目となる今年は神戸市で開かれ、盲ろう当事者およそ270人と通訳介助者650人の計920人。それに地元ボランティアを足すと、1100人ほどが参加しました。
実は私も2年前の愛媛大会で初めて取材をして、去年の千葉、今年の神戸と連続で行ってきました。
年に一度の再会を楽しむ盲ろう者の皆さんが、会場のそこここで、それぞれの方法で、会話を楽しんでいらっしゃいました。
それが実にいきいきとしていて、並々ならぬエネルギーなんですよね。
そこで、参加者の皆さんにも、どんな楽しみがあるのか、聞きました。
一部の方は通訳者の声です。まず女性からです。
会場インタビュー(女性3人)
1) 編み物とかが趣味で、たとえばこのカバンだけではなくて、編み物を作ったりとか、いろんなことしています。パッチワークなんかもしています。手芸が趣味です。
2) 難聴であり、20年前に失明したんです。ヘルパーさんとかガイドさんとか連れて、食べ歩き、楽しんでいます。
3) 大阪に作業所があるのね。いろいろなこと、仕事やっているのが楽しい。太鼓の練習もしているの。それが楽しいです。
- 高山
- 続いて、男性です。
会場インタビュー(男性4人)
1) 視覚障害者のボウリング部に所属していて、1ヶ月に2回練習をしています。盲ろう者は私一人です。ストライクを出すとスカッとします。
2) 僕は19歳です。いろいろな色の電車に乗るのが好きです。色は教えてもらいます。電車のゆれる違い、早いとか遅いとか、カーブとかもわかります。大阪に行く快速急行の電車に乗るのが好きです。
3) 10年以上前から盲ろうになりました。全国のお城、日本各地の城めぐりを、あちこち行きました。いろいろ触ることができますよね。どんな形なのか?古いのか、新しいのか、感覚で感じることもできますよね。お城も、城内に入って、触って、上の天守閣にのぼって、気持ちよくて、自分の人生は楽しめるという感覚が持てたので、そういうことで楽しみをみつけました。
4) 趣味は魚釣り。いろいろなところで、たとえば、メバルとかいれば嬉しいです。釣った魚は、家に持ってかえって、家族と一緒に、夕食をする予定です。
- 高山
- 皆さんいかがでしょうか。実にいろんな趣味、楽しみがありましたけれども、特に印象に残ったものはありましたか。
- 福島
- 「てっちゃん」の仲間がいてよかったね、森君。
- 高山
- そうですね(笑)。あとは何か。
- 福島
- 僕は個人的には魚釣りですよね。魚釣りが私もしたいなと。
- 高山
- ふうん。
- 福島
- 釣ったあと、ちゃんと食べられる魚でね。
- 高山
- やっぱり魚釣りは、釣ったあとに食べられるっていうのが、いいですよね。
- 荒
- 私は海産物が嫌いなので、魚をとったあとの感動とかおいしい食事とかわからないですが。
私の趣味はフランスが好きで、で、エッフェル塔の形をしたものを触ったりとか、あとはマカロンを食べたりするのが好きです。で、そういうものを集めるのが幸せですね。
- 高山
- なるほど。フランスが好きだから、エッフェル塔のものを集めたりとか。
- 福島
- マカロンって何だ。あ、お菓子?
- 高山
- マカロンは、そう、福島さん、マカロン、お菓子ですね。
- 福島
- いや、甘いものに余り興味ないんで。
- 高山
- あははは(笑)
- 福島
- 私はもっぱらワインなんで。
- 荒
- 甘いものが好きです。
- 高山
- 荒さんは、フランスのワインはどうですか。
福島さんは、ワインのほうがお好きだそうなんですけど。
- 荒
- えーと、福島先生みたいにワインはがぶがぶ飲まないので。
- 高山
- あははは(爆笑)。がぶがぶは飲まないですか。
- 荒
- ええ。
- 福島
- はははははは(爆笑)ちょっとバレているな(爆笑)。
- 荒
- 神戸にもエッフェル塔の形をしたワインオープナーみたいのがあって、すごいかわいかったんですけど、お金使い過ぎだと言われて、泣く泣くあきらめました。
- 高山
- そうですか。ワインオープナー、エッフェル塔の形をした。なるほど。まあ、でもお酒はそんなに飲まないから、マカロンとか甘いもののほうがいいというわけですね、荒さんはね。
- 荒
- ええ。ワインは、はい飲まないので、たしなむ程度で、かわいらしく。
- 高山
- かわいらしく。
- 荒
- マカロンのほうがいいですね。
- 高山
- そうですね。
- 福島
- フランスの中で、ほかにどんなことが好きですか、荒さんは。
前、ラベンダーのこと言っていたね。
- 高山
- ラベンダー?
- 福島
- フランスにラベンダーの畑があるとか。あれは、あなた、行ったことないんだよね、まだ。
- 荒
- えーと、フランスは1回も行ったことなくて、えー、ずっと憧れていて、南仏にラベンダー畑があるんですが、そこで埋もれて寝っ転がるのが夢です。
- 高山
- それは、行ってみたいですよね。
- 福島
- 今度はそこでロケやろう。
- 高山
- あはははは(爆笑)
- 福島
- ははははは(笑い)
- 高山
- いいですね、それ!みんなでラベンダー畑で寝転がって。
- 福島
- うんうんうん。
- 高山
- 楽しそうですね。
ところで、荒さんは今年初めて盲ろう者大会に参加して、いかがでしたか。
- 荒
- いろんな盲ろうの方とお話をする機会があって、自分だけがこういう障害を持っているんじゃなくて、ほかの人もいろいろ大変な思いをしながら、でもそれぞれ楽しくやっているんだなっていうことがわかったので、すごい楽しかったです。
- 高山
- 福島さんは、「全国の盲ろう者の生の声を聞く」分科会、ずっと参加なさっていましたけれども、今年はどんな印象でしたか。
- 福島
- そうですね。さっきね、森君があの、インターネットを使って自分のいるところを調べたりするという話をしていましたが、そういうね、パソコンを使う力をね、身につけるのがなかなか難しいので、パソコンの訓練を受けれるような生活訓練のセンターが欲しいなんていう要望が出ていましたし、全国各地で通訳介助者のサービスがあるんですが、ものすごい格差があって、使える時間とか内容とか5倍から10倍ぐらいの地域によって格差があるんで、どこに住んでいても通訳介助のサービスを受けれるようにしてほしいといった、そういった要望が出ていましたよね。
- 高山
- はい。切実な声でしたよね。また、こうした議論と同時進行に、別の分科会では、「パラリンピックを目指す盲ろう選手たち」や、「盲ろう者たちの結婚」についての分科会も非常に盛り上がっていたのが印象的でした。笑いあり希望ありで、実に楽しく、感銘を受けたんですけれども、あのぉ、荒さんも結婚の分科会に出ていましたよね。彼氏はいるというお話でしたけれども、独身女性として参考になるところはありましたか。
- 荒
- そうですね。うーん。何か、家にばかりいないで外に出るようにして、出会いを求めるようにしましょうみたいなことを言っていたので、結婚だけではなくて、いろんな人とかかわることはやっぱり大切だなと思いました。
- 高山
- うーん、そうですね。
森さんには盲ろう児と家族のための会「ふうわ」の担当として、2日間会場内でカフェテリアを出していましたよね。学園祭の模擬店みたいな感じでとてもにぎわっていましたね。やってみて、手ごたえはいかがでしたか。
- 森
- 予想以上にたくさんの人が来ていて、こちらとしても皆さんの需要に応えられたなぁと思います。これからも、子供だけでなく、誰でも楽しめるような企画を考えていきたいと思っています。
- 高山
- 来年はどんなことをなさるのか、楽しみですね。
- 森
- はい。