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日本初、全盲ろうの盲導犬ユーザーとなって ―門川紳一郎さん―

日本初、全盲ろうの盲導犬ユーザーとなって ―門川紳一郎さん―

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出演:門川紳一郎さん(NPO法人 視聴覚二重障害者福祉センターすまいる 理事長)
聞き手:高山 久美子

高山
特集です。今年春、視覚と聴覚両方に障害がある「全盲ろう」の男性が、初めて盲導犬の訓練を終え、盲導犬ユーザーとして新たな一歩を踏み始めました。
全く見えず、聞こえずの人が盲導犬を使うのは、日本では初めてのことです。
今日はスタジオにその門川紳一郎さんと盲導犬のベイス。
私の質問を指点字で門川さんに伝えてくれる通訳の宮崎由美さんにお越しいただきました。
門川さんは1965年、大阪生まれの、今、51才でいらっしゃるんですね。
生まれつき弱視でしたが、4歳の時に耳が聞こえなくなって、今の視力は、光覚、光を感じる程度です。
大阪市立盲学校を卒業し、大学に進学。
大学卒業後の1989年、アメリカに留学して、ヘレンケラー・ナショナルセンターや、聴覚障害者を対象とするギャローデット大学で、手話やリハビリテーションを学び、さらに、ニューヨーク大学で修士号を取得されました。
そして、帰国後の1999年、盲ろう者がつどい、情報交換できる拠点としてNPO法人すまいるを大阪に設立されました。
高山
門川さん、アメリカでは、目が見えなくて耳が聞こえない盲ろう者が盲導犬を使うという例が多くあるそうですが、日本では初めてのことなんですよね。
門川
そうみたいですね。日本で僕が盲導犬と歩いてみたいなと思うようになって、いろんなところに訓練をお願いしてみたんですけど、ほとんどのところがあまり好意的ではないというか、まあ断られたと言ったほうがいいんですかね、特に関西中心にいろんなところに当たってみたんですけど、駄目でした。
高山
断られても、盲導犬を使いたいという望みがあったわけですよね。
門川
以前は、白杖を使ってですけど、いろんなところに単独で出かけて行っていたんですが、視神経萎縮なんですけど、だんだんと単独での歩行が難しくなっていったんですね。
もともといろんなところに歩いて出かけていくのが好きで、じっとしてるのが嫌いと言ったほうがいいか、歩けなくなるとストレスになるし、どうしたらいいのかなと考えていて、そんなときに思い出したのが、アメリカで出会った友人バピン。彼は全く見えない、全く聞こえない全盲ろうなんですが、盲導犬を使ってマンハッタンを歩いていたんですね。彼のことを思い出して、盲導犬と歩いてみようかな、何とか訓練をさせてもらえないかなと考えるようになったんですね。
でもどこに当たっても、あまり好意的でない。
そんなときに日本盲導犬協会を紹介してもらったんですね。
高山
はい。その訓練を担当されました日本盲導犬協会の訓練士、田中真司さんのお話です。

(田中さんインタビュー音声)

田中
難聴だったり、ほとんど聞こえづらいとかという方は何人か盲導犬ユーザーではいるんですけど、今の日本で全く聞こえない人というのは門川さんだけだし、これまでの歴史でも、おそらく1人いたか、いないかぐらい。そういう意味で、安易に受けちゃって、結果、けがをしちゃうとか、事故に遭っちゃうとか、他人に危害を加えちゃったりとかということは避けなきゃいけないので、二の足を踏んでしまうというのもあったんじゃないかなとは思います。
高山
受け入れようという、その決め手となったのは何だったんでしょうか。
田中
そうですね。一番はやっぱり門川さんの人柄というか、人間力を応援したいなというふうに、面接をして話をしてる中で感じたことと、門川さん自身が今までずっと1人で白杖を使って単独歩行の経験がすごく豊富だったというのもあって、気持ちと技術というのが兼ね備わってたというか、門川さんだったらできるんじゃないかなというふうに思ったというのが一番ですね。

(田中さんインタビュー音声おわり)