盲ろう者のための本音ラジオ 第2弾 ―家族と私 編―
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出演:山本 裕子(ゆうこ)さん
村岡 美和さん
早坂 洋子さん
司会:高山 久美子
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タイトルコール「盲ろう者のための本音ラジオ」家族と私編!
(♪テーマ音楽。軽やかなピアノのイントロ。アップテンポの楽しい曲。そこにアナウンスの声がかぶる)
- 高山
- 「視覚障害ナビ・ラジオ」こんにちは!高山久美子です。
視覚と聴覚に障害のある盲ろう者は全国で推定1万4千人、情報入手に大きな制約のある中、孤立している人も多いと言います。
昨年の夏、この番組で「盲ろう者のための本音ラジオ」をお送りしましたところ、
仲間がいることに励まされた、勇気をもらった、など、たくさんの反響を頂きました。ありがとうございます。
そこで今日は、その第2弾です。
今回のテーマは「家族と私」。家族とのコミュニケーションの方法、子育てのご苦労、家族との関わりなど、年齢や仕事も異なる3人の女性と語り合っていきます。
お話の内容は、すべてテキストでホームページにご紹介しています。ぜひ音声とあわせてご利用下さい。
スタジオには、通訳介助の方を含めて9人の方にお越しいただきました。全員が女性ということで、さながら女子会のような雰囲気です。どんなお話が聞けるのか、最後までお楽しみ下さい。
(♪テーマ音楽おわる)
《ゲスト紹介》
- 高山
- では、ゲストの皆さんをご紹介しましょう!
まず、山本裕子さん。46歳で、はりきゅうマッサージ師をなさっています。夫と高校生と中学生の息子さんの4人家族。網膜疾患による先天性の弱視で、現在は進行して光を感じられるという状態です。難聴も進行してきて、この数年は補聴器を使い始めた他、手のひら書きや指点字も使うようになったそうです。今日はFM補聴器と手のひら書き、そして点字を併用した通訳を受け、ご自分の声でお話しされます。よろしくお願いします。
- 山本
- よろしくお願いします。
- 高山
- 続いて、村岡美和さん42歳。全国盲ろう者協会 事務局に勤めて10年。全盲ろうの夫と2人暮らしです。先天性の聴覚障害で、14年前から網膜色素変性症で弱視となりました。村岡さんは手話で話され、和田みささんが通訳してくれます。よろしくお願いします。
- 村岡
- よろしくお願いします。
- 高山
- そして、3人の中で一番若い、早坂洋子さん33歳。宮城県で、マッサージ師として働いていらっしゃいます。7年前に、宮城盲ろう児・者友の会を立ち上げ、それ以来会長として、啓発活動などをなさっています。弱視難聴のお父さん、難聴のお母さんとの3人暮らしです。早坂さんは弱視難聴で、今日はパソコンで通訳を受け、ご自分の声でお話されます。よろしくお願いします。
- 早坂
- よろしくお願いします。
- 高山
- 今回のテーマは「家族と私」ということですが、村岡さんは今日皆さんと、どのようなお話しをしたいですか?
- 村岡
- はい。テレビやラジオの場で、盲ろう者3人が集まって、じっくり話をするということは珍しいです。また、家族というテーマについても、なかなかありませんね。私は主人と一つの家族をつくりました。それによって、人生が豊かになりました。新しい家族をつくることを諦める人もいます、そう聞いています。ですが、深刻に考えすぎず、気持ちを前向きに考えていけばいいんではないかと思います。今日は楽しみにしています。
- 高山
- お三方それぞれの家族とのかかわりなど、ありのままに伺っていきたいと思います。
《私たちの結婚》
- 高山
- さて、家族は、ある出会いがあって、恋愛し、結婚し「家族になる」訳ですが、まず山本さんから、ご主人との出会いのきっかけを教えていただけますか。
- 山本
- はい。私は働いていたときに、会社でカラオケ仲間として主人と知り合いました。カラオケに行ったり、ボーリングをしたり遊んでいるうちに、結婚相手として意識するようになりました。
- 高山
- ちなみにどんな歌がお好きなんですか。
- 山本
- 難聴が進行する前によく聞いていた歌しか歌えないですし、古い歌、それから、民謡が大好きです。お腹から声を出すとスッキリします。
- 高山
- いいですね、それは。そのご主人と29歳で結婚なさったんですね。
- 山本
- はい。
- 高山
- 山本さんは小中高と地域の学校に通われて、大学を卒業後は食品会社で営業をなさっていたそうですね。
- 山本
- はい。
- 高山
- で、その仕事先で出会ったということですけれども、一緒になろうと思った決め手は何だったんでしょうか。
- 山本
- 何だったのか・・・。
- 高山
- (笑)
- 山本
- もう忘れてしまいました(笑)。でも、一緒にいて、とにかく自分が楽で、本来の自分を出すことができるので、今でも毎日楽しいです。
- 高山
- 結婚するときに何か心配したことなどはありませんでしたか。
- 山本
- やっぱりかかりつけ医に相談したりとかもありましたけれども、主人はあまりいろいろなことを心配するタイプではありませんでしたので、何かがあっても主人が守ってくれると思って一緒になりました。
- 高山
- そして、今もラブラブで守ってくれているんですね。
- 山本
- はい。そうです。
- 高山
- (笑)早坂さん、村岡さん、いかがですか。
- 村岡
- 村岡です。どのようにコミュニケーションを取られているんですか。
- 山本
- はい。家では、私の左側にぐっと近寄ってもらって、ゆっくり話してもらうというような、コミュニケーションを取っています。
- 高山
- 独身の早坂さんとしては。
- 早坂
- ラブラブが長続きする秘訣を知りたいです。
- 一同
- (笑)
- 山本
- どうでしょう。難しいですけれども、2人でたくさん笑い合っていることがいいのかもしれません。それから、2人とも性格が全く正反対で、趣味も全く違うので、かえって、話題にこと欠かないという面はあると思います。
- 高山
- 村岡さんは結婚されて13年、全盲ろうのご主人と2人暮らしと伺っています。出会いは何だったんですか。
- 村岡
- 2002年、宮城県で開かれました全国盲ろう者大会で、主人と一緒にいた通訳介助の女性から私を見かけて、つないでくれたのがきっかけになります。
- 高山
- 通訳介助の方が恋のキューピッドだったんですね。
- 村岡
- そうですね、主人は障害を感じさせない明るい人です。1人暮らしをしていて自立できている人です。彼と一緒に人生を楽しみたいと思いました。
- 高山
- 素敵ですね。盲ろう者同士の結婚について、ご家族は何とおっしゃいましたか。
- 村岡
- そうですね、主人の両親からは何も言われませんでしたが、私の母は心配していました。一人娘としてかわいがって育ててもらいましたので。今は視力が少し残っています。今はまだいいんですが、将来、私も主人も2人とも盲ろうという状態になったときに、どのように生活していくのかいろいろと心配をしていることを聞いています。
- 高山
- どうやって説得なさったんですか。
- 村岡
- 主人と協力しあって、また、通訳介助者やヘルパーやそのほか、福祉なども力を借りて自立した生活をしたい、私は幸せになりたいということをはっきり伝えました。
- 高山
- 早坂さんはどのような感想を抱かれましたか。
- 早坂
- 2人ともとてもご夫婦仲がよくてうらやましいなぁと、私もそんな結婚ができたらいいなと思いました。
- 高山
- 出会いのチャンスってあるんですか。
- 早坂
- そうですね、いろいろありますけれども、今日はどこまで話せばいいでしょう?
- 高山
- (笑)
- 早坂
- まあ、10年くらい実は片思いをしていたんですね。
- 高山
- そうなんですか!?
- 早坂
- ただ、やっぱり勇気がなかったのと、自分に自信がなかったのと、もう少し女を磨いてからがいいかなと思っていたのもあったんですけれども(笑)。ただ、先ほどのお2人の話を聞いて、コミュニケーションがスムーズに取れるというのが一番だなと。その片思いの方は、どちらかと言うと、「憧れ」という感じで、結婚して楽に暮らせるかっていうと違うのかなと、最近、思うんですね。続きは今後のお楽しみということでお願いします。
- 村岡
- 村岡です。幸せは自分で決めることだと思います。
- 山本
- これからたくさんの方の中から、選りすぐりの方をどうぞお一人選んで、幸せになって下さい。
- 早坂
- ありがとうございます。