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放送内容

シリーズ・可能性を切りひらく
芸術を生み出し続ける ―画家・末冨綾子さん―

2014年10月19日(日)[ラジオ第2] 午後7時30分~8時00分
(再)2014年10月26日(日)[ラジオ第2] 午前7時30分~8時00分

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放送内容


写真1: スタジオで 左から末冨さん、遠田、塩田さん

写真2: レリーフ 街のにぎわい

ロープやタコ糸を使って、色彩豊かな絵画を描く画家・末冨綾子(すえどみ・あやこ)さん(全盲・51)。高校生の頃に進行性の目の病であることを医師から告げられ、「どうせ見えなくなるのなら、人の2倍絵を描いてやれ」と、大学・大学院とひたすらキャンバスに向かった。その後、留学先のパリで画家デビュー。この頃から徐々に光を失っていった。
8年前に失明。試行錯誤の末、ひもで形を描いて固定するという独自の技法を編み出し、精力的に創作活動を続けている。「視力の低下に合わせて、新たな技法を生み出してきた。それまでの経験や修練してきた技で、さまざまな困難を“すりぬけていく”過程に、芸術の面白さがある。」と語る。
私生活では、98年に結婚、翌年娘を出産。育児は、「美術ほど思い通りにはいかなかった」と振り返る。育児と創作活動を両立させるため、パリと京都で半年ずつ暮らす現在のスタイルを確立した。
絵の具の色は、数学者の夫(57)や娘(15)などに尋ねながら、理想の色に近付けるため何色も混ぜる。青を基調に街のにぎわいを白いひもで描写したレリーフ、カラフルな花々に囲まれステップを踏む男女…、生み出す作品はどれも奥深い。
パリでの成果を、毎年日本で発表している。10月初めにふるさと・山口県宇部市で開かれた個展には、多くの市民が来場した。観客の感想も交えながら、パリでの創作活動の様子やこれまでの軌跡、そして今後目指していきたいという“触る芸術の深化”について聞く。

収録を終えて

制作担当:遠田 恵子

強い人だと思った。繊細で柔軟な人、だとも。
末冨さんは、病で視力が低下していく中で、自身の見え方に合った絵画的技法を編み出し、芸術を生み出し続けている。視野が狭まり、色や形が次第に分からなくなっていく中で、思いを芸術というカタチにするという作業は、相当に気力・体力が要ることだと思う。時には心折れそうになったこともあるだろう。しかし、スタジオで艶然とほほ笑む末冨さんからは、そうした“悲壮感”のようなものは全く感じられない。
 10代で将来的に失明するという宣告を受け、「好きなことをやりなさい」との医師の言葉を心に刻み、「人の2倍がんばる!」と奮起した末冨さん。異国で病の進行を自覚し、絶望のあまりアトリエにこもってひたすらキャンバスに向かった末冨さん。思い通りに描けず音楽の世界に逃避した末冨さん。 その時々の挫折や努力が、それまで身につけた知識や技術の深化を促し、“ひもやロープで絵を描く”という画期的な結実をみた。妻となり、母となり、家族を得たことも、画家としての人生に厚みをもたせたに違いない。
これからは、触る美術の普及に取り組みたいという。絵を見ることはもちろん、絵を見るために出かけたり、誰かと語らったり、「“芸術”という富を、共有する喜び」を感じてほしいと語る末富さんの、強くて柔軟なことばをぜひお聴きいただきたい。

新コーナー つぼみ みつけた

今月から始まった新コーナー。視覚に障害のある子どもたちが、自分たちの感じたことを詩や作文にして自ら朗読する。
第一回の今回は、筑波大学附属視覚特別支援学校の児童2名と、宮城県立視覚支援学校の児童1人が朗読。
「つぼみ みつけた」のページへ

出演者
出演:
末冨 綾子さん(画家)
塩田 隆比呂さん(末冨さんの夫)
司会:
遠田 恵子
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