ハートネットメニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなのQ&A

更新日時:2023年1月17日

場面緘黙Q&A どんな治療法が効果的なのでしょうか?

Q どんな治療法が効果的なのでしょうか?

場面緘黙の治療は、どのようなことが行われるのでしょうか。効果的な治療方法を知りたいです。

専門家による回答

A 行動療法的なアプローチが効果的とされています。家庭や学校で安心できる環境を作ることも大切です

場面緘黙の症状については「家庭での会話」を「学校での会話」へと段階的に広げていく行動療法的アプローチが最も効果的です。「段階的エクスポージャー法」といって、不安の低い場面から不安の高い場面で発話チャレンジを行います。場面とは「人・場所・活動」の3つの要素で構成されています。すでに話せる場面から、1回につき1つだけ要素を変えて、スモールステップで発話のチャレンジを行います。「楽しく」「自信をつけながら」「場数を多く」行うことが大切です。

場面緘黙は、「専門家だけで治せる症状」ではありません。話せるようになりたいとういう本人の意欲のもと、家庭と学校が協力して発話チャレンジを行います。人と話せた経験をたくさん積んで、話す自信をつけていきます。そのため、シールやスタンプなどを用いて達成した結果を見える化する「トークンエコノミー法」も効果的です。

人前でガムを噛んだり、シャボン玉や笛など口を動かす遊びを行ったり、吐く息から無声音、発声から発話へと進める「シェイピング法」という方法もあります。子どもによって、数字数え、質問カードやカルタ、音読が発声しやすいこともあります。しりとりやなぞなぞでうまくいく子どももいます。

行動療法的アプローチを進める前提として、まず家庭と学校が協力して「安心できる環境」を調整することが大切です。発話以外の領域についても、子どもの支援ニーズを把握しましょう。心身の状態が安定せず、「段階的エクスポージャー法」が行えない状態の子どももいます。例えば、家庭で、かんしゃくや学習の困難、身体症状などがある場合は、緘黙症状改善に取り組む前に先にこれらに対応する必要があります。

また、社交スキルの不足のために場面緘黙の症状がある子どもや緘黙のために社交練習の機会が不足する子どもがいます。状況に応じた振る舞いや、子どもが社会生活を営んでいくために必要なスキルを学ぶ「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」が有効な場合もあります。

不安症については、思考パターンに働きかける認知療法もよい影響があります。適度な運動、呼吸法や筋弛緩法、マインドフルネス・ヨーガやタッピングタッチ等の身体からのアプローチも、ストレスケアとして不安緩和に効果があります。

海外では投薬して不安を緩和する方法もあります。ただし、日本では「段階的エクスポージャー法」による改善を促すための投薬はほとんど行われていません。

一覧ページへ戻る