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ろうを生きる 難聴を生きる▽“手話×ラップ”プロジェクト 前編※字幕スーパー

    日本ではほとんど例をみないスペシャルなプロジェクトに密着しました!カリスマ・ラッパーの晋平太さん、そして聞こえない2人の女子学生が挑戦したのは、なんと手話によるラップ作りです。リズムに合わせて言葉を刻むというラップ独特の表現に悩みながら、3人が試行錯誤を繰り返します。とある舞台で披露するために、特訓を重ねた2か月に密着しました。前編では、日本語と手話の表現の違いに悩む3人の努力の日々を放送します。

    出演者ほか

    【出演】ラッパー…晋平太,【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    “手話×ラップ”プロジェクト 前編

    ♪ 教えてよ 笑ってる意味
    聞こえない 私の耳

    若い世代を中心に絶大な人気を誇る、ラッパー晋平太さん

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    そのラップにあわせて表現しているのは、ろうの女子高校生と大学生。

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    “手話でのラップに挑戦する”というプロジェクトです。

    ♪ 聞かせてよ 君の話
    少しの手話でも とても嬉しい

    ラッパー 晋平太さん
    「自分たちから見て、こういう世の中になって欲しいんだよっていうのがメッセージになると思うのね。そしたら『あぁ!』って、みんなの刺さる。刺そうよ!」

    どうすれば自分たちの思いをラップとして表現できるのか?4月に迎える舞台に向け、特訓を重ねていました。

    ろう学校 高等部3年 原島朋花さん
    「もっと笑顔があった方が楽しさが伝わるかな…。」

    大学1年 樺沢環さん
    「難しいね…。」

    リズムに合わせて言葉を刻むという、ラップ独特の表現に悩む2人。日本では、ほとんど例をみないプロジェクトに挑んだ2か月を置いました。

    アメリカで、差別や貧困をテーマにしたメッセージを音楽に乗せる表現として誕生したラップ。今や世界の音楽シーンを席巻。海外のライブでは、手話通訳がパフォーマンスする機会も増え話題になっています。フィンランドでは、ろうのラッパー、サインマークさんがメジャーデビューを果たし、その強いメッセージは、世界中に大きな衝撃を与えました。そんな中、日本でも手話でラップを!とプロジェクトを立ち上げたのが、数々のバトルで優勝を勝ち取ってきたカリスマ、晋平太さんです。

    ♪ 無事に帰れると思うな!

    晋平太さん
    「ラップは僕の中で、自分の思いを伝える道具で、だからこそ皆に勧めてたり、町おこしであったり、誰にでもできると思っているから、ろう者もできるんじゃないかな。手話の動きってラップに似てるじゃんとか、すごい単純なところから入って。」

    プロジェクトが本格的にスタートしたのは2月のはじめ。興味を持ち、参加を決めた2人と晋平太さん、初対面です。

    晋平太さん
    「はじめまして。私の名前は晋平太。仕事はラッパーです。よろしく。」

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    原島朋花さん
    「私の名前は原島朋花です。立川ろう学校、高等部3年です。よろしくお願いします。」

    樺沢環さん
    「昭和女子大学に通う、1年生です。樺沢環と言います。よろしくお願いします。」

    樺沢さんは、大学のダンス部に所属。リズムを感じながら、聞こえる部員たちと一緒に練習に励んでいます。原島さんも、小学校の頃からダンスを習ってきました。体で表現することが大好きな2人ですが、ラップへの挑戦はもちろん初めてです。

    原島朋花さん
    「手話ラップで、ろうの人たちに伝わるか不安です。」

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    樺沢環さん
    「やっぱり不安もあるけど、晋平太さんが、私たちの気持ちをどんなラップにしてくれるか、楽しみです。」

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    ここから2か月にわたる3人の挑戦が始まりました。

    晋平太さん
    「ラップって、自分の本当に思っているメッセージを伝える音楽だから、俺たちがそういう(聞こえない人の)気持ちを知れる機会って少ないからさ、それを音楽にのせて、みんなに分かってもらえたら。」

    ステージ本番まで、あと50日。

    晋平太さん
    「やっぱり健聴者との触れ合いってあまり無いの?」

    樺沢環さん
    「そうですね。(ろう学校では)ほとんど無かったです。」

    晋平太さん
    「ほとんど無い。」

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    この日は、2人がろう者としてこれまでに経験してきたことや、そのことで感じてきた思いを書き出します。

    晋平太さん
    「『無理じゃない?』って言われると、樺沢さんはどう?」

    樺沢環さん
    「悔しいです。」

    晋平太さん
    「悔しい。」

    樺沢さんは小学校から高校まで、ずっとろう学校で過ごしてきました。大学入学で、聞こえる人たちの世界に飛び込みましたが、これまでと違う日常に戸惑っていました。

    樺沢環さん
    「いつも、ろう者に囲まれて生活してきたので、聞こえる人は外国人のような、どこか違う世界の人のように感じました。(大学では)特別扱いをされているように感じます。他の人とは違って、自分でも分かるくらい孤立して、孤独なんです…。聞こえる友だちもいるんですが、でもやっぱり、私は特別で…、聞こえる人との違いを感じることが多くて…。自分のように聞こえない人だけじゃなく、いろいろな人がいる。それが当たり前になったらいいかなと思います。」

    原島さんは、自分が抱えてきた思いをスマートフォンに書いてきていました。

    “耳が聞こえないから、何もできないという偏見を無くしたい。”

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    小さな頃からダンススクールに通い、パフォーマンスする楽しさを感じてきた原島さん。一方で、聞こえる人たちから向けられる偏見に違和感を覚えてきたといいます。

    原島朋花さん
    「『踊れるの?』って聞かれたり、聞こえないから体も動かないっていうイメージを勝手に持っている。その考え方を無くしたいです。」

    晋平太さん
    「偏見を無くしたいとか、じゃあ、どう無くしたい?それを提案できた方がすてきだ。『偏見を無くしたいんですよね』って具体的じゃないじゃん。それをもっと具体的に考えていこうよ。」

    原島朋花さん
    「小さなことでも、手話で『ありがとう』とか挨拶してくれるだけで、うれしくなるんです。」

    樺沢環さん
    「(大学の先輩が手話で)自然に『ありがとう』って言ってくれたときは、泣きそうになりました。大学という手話の無い世界で、久しぶりに手話を見て、うれしくて。『手話を覚えて欲しい』という気持ちがあるけれど、言えないかなぁ。覚えてほしいんだけど言えないんです。」

    はじめて知る、ろう者の思い。どうすれば、それをラップでうまく表現することができるのか―。まずはベースとなる、歌詞=リリックを晋平太さんが考えることにしました。

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    ♪ ひとりぼっちのマイノリティー

    ライムと呼ばれる「韻」や、メロディーに載せる「フロー」など、ラップ特有の表現を練っていきます。

    ♪ ひとりぼっち ひとりぼっち

    晋平太さん
    「『どうせ無理だよ』って、僕らですら、よく大人に言われたけれど、彼女らは、その何倍も何百倍も言われているわけで、『でも、どうにかしてきたから』っていう強いメッセージを持っているじゃないですか。体験を持っているし、ヒストリーがあって、それを伝える手伝い、『多分できるよ』っていう。」

    ステージ本番まで、あと28日。晋平太さんがベースを作ったリリックを3人で仕上げていく作業の日。

    晋平太さん
    「カッコの中、考えてきたの、見せて。」

    2人が感じてきたこと、そして、思い描く未来をラップに込めるため、アイデアを書き出していきます。

    晋平太さん
    「広がれ、新たな可能性。」

    原島朋花さん
    「ろう者についての理解が広がる可能性があるのかなって思って。」

    樺沢環さん
    「ろう者って、やっぱり聞こえる人と比べて、“可能性が低い”と思われているかもしれないけど、未来に向かって、新しいことを自分で作って、広げていけたら、いいと思う。」

    晋平太さん
    「『広がれ 可能性』なのか、『広げる 可能性』なのか。“多様性を認め合って、自分で可能性を開いていかないといけない”と思うんだよね、これから。」

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    樺沢環さん
    「『この手で!』みたいな感じ。」

    ♪ この手で広げる可能性

    晋平太さん
    「『この手で』にしようかな。 ♪ 認め合う 多様性 ♪ この手で広げる 可能性 にしよう! 歌詞完成。」

    日頃、ろう者として感じている戸惑いや悔しさ。でも、それを乗りこえてみせる!という強さや希望を16行に込めました。これから、いよいよ、このリリックを手話のラップにしていきます。

    晋平太さん
    「ここまでの手話を2人で話し合う。」

    原島朋花さん
    「『私の耳』『聞きとれない』かな。『聞く』『難しい』かな。この表現って使うかな?」

    樺沢環さん
    「手話歌では使うと思う。」

    原島朋花さん
    「でも、合わないかな。」

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    何種類もある表現から、ラップとしてより強いメッセージが伝わるものを選んでいきます。

    原島朋花さん
    「『私』『耳』『聞こえない』。」

    樺沢環さん
    「『聞こえない』って、どっちの表現が分かりやすいかな?」

    原島朋花さん
    「この手話の方は、ラップみたいじゃない?」

    樺沢環さん
    「そうだね。」

    晋平太さん
    「そういう方がいいよね。すばらしいと思う。どの言葉を使おうかっていうのは、ラップの歌詞でも気にしていることで、どれがベストなのか、それを探すのが、表現として楽しかったり、こっちの方がスムーズだし、意味も分かるよねとか、それはすごく大事なこと。」

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    晋平太さん
    「3、2、1。」

    ♪ 教えてよ 笑ってる意味 聞こえない 私の耳

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    晋平太さん
    「合うね、合うね!今みたいな感じ!」

    次回は…、順調に進むかと思われたプロジェクトで大きな壁にぶつかる2人。

    樺沢環さん
    「難しいね…。」

    どうやって、その壁を乗り越えていくのでしょうか!?

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