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ろうを生きる 難聴を生きる「皆で楽しもう!全力応援・2020!」※字幕

    いよいよ来年に迫る2020東京オリンピック・パラリンピックを、聞こえない人も聞こえる人と一緒に楽しむための特集です。陸上、円盤投げの日本記録保持者である湯上剛輝選手ら、オリンピック出場を期待されるデフアスリートをご紹介します。その他、大会のボランティアや指導者の育成など、聞こえない人たちの最新の取り組みをご紹介します。リポーターを務めるのは、聴覚に障害のある後藤佑季さんです。

    出演者ほか

    【出演】後藤佑季

    番組ダイジェスト

    皆で楽しもう!全力応援・2020!

    世界を舞台に活躍する、日本の聞こえないスポーツ選手=デフアスリートたち。悲願の“オリンピック”出場も、もはや夢ではありません。今日は、2020年に向けて沸く、スポーツの特集です!

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    リポーター 後藤佑季
    「いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが来年(2020年)に迫り、日本中、盛り上がっていますよね。でも、パラリンピックに聴覚障害のある選手たちの競技はありませんし、なんとなく取り残されているような気分の方、いらっしゃいませんか?ご心配なく!今日は聴覚に障害のあるリポーター、私、後藤佑季が、聞こえない人たちも聞こえる人たちも一緒に楽しめる!ということを様々な側面からご紹介します。まずは、そう、期待のこの選手が登場します!」

    デフアスリートの中で、最もオリンピック出場が近いと言われているのが、陸上、円盤投げの湯上剛輝選手です。

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    重度の難聴で、小学2年の時に人工内耳の手術を受けました。

    湯上剛輝選手
    「大丈夫、大丈夫。」

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    仲間とふざけ合う湯上選手。明るい性格のムードメーカーです。みんなを和ます、この笑顔がトレードマーク。

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    湯上剛輝選手
    「愉快な仲間たちばかり。」

    しかし、試合になると表情は一変。実は湯上選手は“聞こえないことを自分の強み”と捉え、“ある工夫”をしています。投てきの直前、バッグに何かをしまい込み、サークルに向かいます。人工内耳です。あえて聞こえない状態を作り、集中力を研ぎ澄ましているのです。

    湯上剛輝選手
    「陸上競技っていうのは、たくさんの種目をいっぺんにやるので、誰かがいい記録を出したらワーってなるし、歓声だったり、審判の声も入るので、結構ざわざわしてるんですよね。僕も重度の聴覚障害を持っているんですけど、外してしまうと何も聞こえないんですね。何も聞こえない状態っていうのは、他の選手にない強みだと思っていて、それはなぜかというと、自分の世界に入りやすい、集中しやすい。そういう強みがあると思っています。」

    その“集中力”を存分に発揮し、快挙を成し遂げたのは、去年(2018年)6月のことでした。コンディションの良さを感じていた湯上選手。投げられるのは全部で6回です。その3投目。61メートル02の日本記録をたたき出しました。

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    湯上剛輝選手
    「あの時は一投一投よくて喜ぶけれど、投げる瞬間にスーッと入れるような、すごい集中力があったと思います。」

    一流のスポーツ選手がよく「ゾーンに入った」といわれる状態で臨んだ5投目。飛距離を1メートル以上伸ばし、記録は62メートル16。

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    この日、更新したばかりの日本記録をさらに塗り替え、大記録を打ち立てたのです。聞こえないハンディを“強み”に変えることで手にした栄冠でした。
    実はまだ、聴覚障害者がオリンピックに出場したことはありません。湯上選手には今、大きな期待が寄せられています。

    湯上剛輝選手
    「僕がオリンピックに出ることができれば、(聞こえない)日本人で初めてオリンピックに出ることになるんですけど、そういう姿を見て、自分でもオリンピックに出られるんだと、そういった希望を持って欲しいですし、なんで自分が障害をもって生まれてしまったんだと、そういう風に考えてしまう時期が必ず来ると思うんです。そういう子どもたちに対して、何も気にしなくていいよと。それは自分の個性だから、強みに変えて頑張って欲しい。」

    もう1人、注目のデフアスリートが、男子100メートルでろう者の日本記録を持つ、佐々木琢磨選手です。

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    2017年、トルコで行われた4年に1度の聴覚障害者のスポーツの祭典、デフリンピックで目覚ましい活躍を見せ、一気に注目を集めました。男子400メートルリレー決勝。アンカーの佐々木選手は2位でバトンを受けると、優勝候補のウクライナを抜き、トップに立ちます。

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    この種目で史上初となる金メダルを日本にもたらしたのです。そして、デフリンピックでの活躍をステップに、オリンピックを目指すことを決意しました。

    佐々木琢磨選手
    「不可能はない。可能性がある。だからオリンピックを目指したいと思いました。難しいことに挑戦するのが好きです。簡単なことだけの人生では成長できないと思うんです。」

    2020年、東京大会で活躍が期待されるのは選手だけではありません。およそ20万人が応募したボランティア。競技の運営や、移動のサポート、医療スタッフまで役割は様々です。実は聞こえない人たちも大勢ボランティアに登録しています。この日は、どのような分野で力を発揮できるかアイデアを出し合いました。

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    早瀬久美さん
    「みなさん、こんばんは。」

    デフリンピックの出場経験があり、日頃は病院の薬剤師として働く、早瀬久美さんは、得意分野で力を発揮したいと考えています。

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    早瀬久美さん
    「例えば、薬を飲まなくてはいけない人がいれば、でも忘れてしまっている所を見たら『時間だから薬を飲もう』と声をかけて、こんな風にサポートしたり。これはコミュニケーションを超えて自分ができることですね。コミュニケーションを壁と思うことは無いと思うんです。自分ができることを探して積極的にやっていくことかな。それが大事だと私は思いました。」

    世界から、障害のある人もない人も集まる一大イベント。ボランティアは、成功のカギを握る重要な存在です。

    参加者
    「外国の人とコミュニケーションを取るのは、聞こえる人よりも上ではないかと思っています。身振りや表情が、ろう者は豊かですから、そういう技術を生かしていけたらいいなと思っています。」

    参加者たちの前向きな言葉に、大会での聞こえないボランティアの大いなる活躍が目に浮かぶようでした。

    リポーター 後藤佑季
    「様々な人と触れ合うボランティアの中に聴覚に障害のある人がいれば、聞こえない人と聞こえる人の垣根が無くなっていくことにつながると感じました。
    そして円盤投げの湯上選手、この笑顔!

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    皆さんも感じたかと思いますが、とにかく笑顔がすてきなんです。人工内耳を使っているという点でも私と同じ境遇なので、より応援したくなりました。
    2020年東京大会では、湯上選手をはじめとする現役のアスリートにも期待がかかりますが、その先、将来もっと多くの聞こえないアスリートたちが活躍するための、新たな動きも活発になっています。このスポーツです。」

    サッカーの指導者を育成する講習会。そこに、ひとりのろう者が参加していました。都内のクラブチームで監督を務める、伊賀﨑俊さんです。

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    講師
    「どこが攻めにくくて、どこが攻めやすいか、認識できるだけのスペースを与えてください。」

    専門的なコーチングのノウハウを手話通訳が細かく伝えます。実はこれまで、講習を受けたくても情報保障がないため、多くの人が諦めてきました。しかし、昨年の6月から手話通訳の費用が補助されることになり、聴覚障害者がより参加しやすくなったのです。7日間の講習でライセンスの取得を目指します。

    伊賀﨑俊さん
    「自分のマークを決めて!」

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    伊賀﨑俊さん
    「デフの指導者が一人でも多く増えてくれば、デフの選手にとっても分かり合える部分もたくさんあるので、手話とか口話とか、そういったコミュニケーションがさらに良くなりますし、理解が深まっていきます。デフの選手のプレーのレベルも上がっていくと思いますし、それを続けていけば、将来オリンピックであるとか、ワールドカップの世界に出場できるレベルになれるんじゃないかなと思っています。」

    聞こえない子に、手話で指導できる人がいれば、聞こえる子と一緒に競える子が、ぐっと増えます。すてきなことですよね。

    シドニーオリンピックの金メダリスト、井上康生さん。

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    お見事!大きな体を投げ飛ばしたのは、ろうの女の子です。

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    この日行われたのは、2020年を機に、デフリンピックの存在を、聞こえる人たちにももっと知ってもらおうというイベントです。

    鈴木大地スポーツ庁長官
    「ぜひとも、パラリンピックのみならず、聴覚障害者のスポーツについても、ご参加やご支援の輪を広げていただくことを期待しております。」

    今、デフアスリートを中心に、デフリンピックを日本で開催しようという活動が始まっています。

    井上康生さん
    「どれだけ覚悟を持てるか、そこが大きいと思います。」

    スポーツを通じ、聞こえない人と聞こえる人の輪がひとつになり始めています。

    「みなさんでデフリンピックを盛り上げよう。エイエイオー!」

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    リポーター 後藤佑季
    「手話のできる指導者が増えれば、将来、世界の舞台で活躍する選手が次々に出てくるでしょうし、デフリンピックが日本で開催!となれば、きっと2020年を目前にした今と同じように日本中が沸きますよね。オリンピック・パラリンピックの開催をきっかけにした様々な動き。スポーツを通じて、聞こえない人と聞こえる人の間にある壁がどんどん無くなっていくとすれば、すばらしいことです。聞こえない人も聞こえる人も、2020東京オリンピック・パラリンピックで一緒に盛り上がりましょう!!」

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