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ろうを生きる 難聴を生きる「“異言語脱出ゲーム”に挑戦セヨ」<字幕スーパー>

    「こんな楽しく障害者とつながれたイベントはない!」いま体験型コンテンツとして注目を集める謎解きイベント「異言語脱出ゲーム」。聞こえない人と聞こえる人が手話などの知識が必要な謎を協力しながら解き、楽しみながらコミュニケーションしあう仕掛けだ。謎を作るチームを率いるろう者の菊永ふみさんは、仲間とともに今夏を目指しNHKと「テレビ版異言語脱出ゲーム」を制作中。その挑戦を追う。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    “異言語脱出ゲーム”に挑戦セヨ

     

    問題、□に入る言葉はなに?

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    ヒント、“男”の手話はひらがな一文字を表すある指文字と同じ形。
    答えは番組の最後で!

    このクイズは、いま人気の体験型謎解きゲームの中で出題されたもの。“異言語脱出ゲーム”。ろう者と聞こえる人=聴者がチームを組んで謎をクリアしていきます。必死に互いの知恵を寄せ合ううち、手話が分からなくても自然なコミュニケーションが生まれる仕掛けです。

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    ゲームを作っているのは「異言語Lab.」。代表をつとめる菊永ふみさん、ろう者です。とにかく謎解きゲームが大好き。

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    菊永ふみさん
    「音声さんとか司会とかカメラマンが謎を解いていく中で指令を入れて。」

    ろう者や難聴者を取り巻くコミュニケーションの壁を「ゲーム」で楽しく超えていきたい。

    菊永ふみさん
    「異言語脱出ゲームを使って、いろんな人が関わり合える機会をたくさん作っていくことで、いろんな方法があるという気持ちがあれば、きちんと向き合えるということだと思います。」

    菊永さんと仲間たちの挑戦を追いました。

    東京・渋谷のオフィスビル。菊永さんがゲームの準備に駆け回っていました。

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    イベントのたびに異なるストーリーを仕立てます。ユニークな世界を作り、参加者を非日常の物語の中にいざなうのです。ろうのメンバーが、進行役やヒントを与える役を担います。

    菊永ふみさん
    「様子を見て、みんなも『どうぞ』などと言って演技をして、『どうしてるの?』とか興味を持って話しかけて下さい。」

    きょう参加するのは、愛知からきた中学生。ろうの国を訪ねて謎を解いていく、というゲームに挑みます。

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    手話は学校で少し習った程度という生徒たち。まずは物語の世界へ。

    「もし、異なる言語の人と出会ったら、皆さんはどうしますか?」

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    「すみません。道が分からないんです。駅はどこですか?」

    「こんな時、皆さんは怖いですか?」

    謎解きがスタート。手話を交えた謎が、イラストやタブレットで出されます。答えをろうのスタッフに伝えられれば、次の謎に進めます。でも生徒たちは、「きちんとした手話でなければ」と、なかなか話しかけられません。

    生徒
    「『3』と『2』のアレじゃない?」

    ろうのスタッフ
    「いま話してること、僕にも伝えて。身振り手振りでいいから、僕に話してよ。」

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    どんどんコミュニケーションをとらないと、制限時間に間に合いません。スタッフに身振り手振りで答えを伝え始める生徒たち。

    ろうのスタッフ
    「よく分かったね、正解!」

    気がつけば、ろうのスタッフと自然にやりとりを始めていました。

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    ろうのスタッフ
    「お花をありがとう。私からもプレゼントがあるの。」

    生徒
    「ありがとうございます。」

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    生徒
    「下手な手話でも、分からなくて身振りだけでも、一生懸命伝えようとすることができれば、難しい会話はできなくてもコミュニケーションはとれるんだと思いました。」

    菊永ふみさん
    「会話のキャッチボールを見て『やったー』と思いました。喜んだり迷ったり、そんな細かい積み重ねが、表情や身振りに出ていた。それを見ることができたので、うれしくなりました。」

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    異言語脱出ゲームが生まれたきっかけは、菊永さんが感じてきたある思いです。中学、高校と、ろう学校で学び、ろうの友だちの中で過ごした菊永さん。聴者とも学び、一緒の時間を過ごしたいと、一般の大学に進学。卒業後は、ろうの子どもたちの施設で働き始めました。

    菊永ふみさん
    「手話を使って関わった聴者の世界と、ろうの世界、両方を行ったり来たりしながら、そこが微妙に分かれていて、二つの世界があるな、と感じていました。」

    そんなある日、聴者の友人に誘われ、謎解きゲームを初体験。―“なんて楽しい世界!”。その後、ある企業のプログラムで、ろうの子どもと社員が楽しむイベントを考える事になりました。社員と一緒に、独自の謎解きゲームを作ったところ大好評。次第に仲間が増え、ゲームも本格的に。

    現在、両親と3人暮らしの菊永さん。

    母 秀美さん
    「最近ずーっと、なんだっけ?脱出ゲームが始まってから、いつも帰りが遅くなります。」

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    家族の中で、菊永さんだけが、ろう者です。実は、ろう学校に進む前は、地域の小学校に通っていました。

    母 秀美さん
    「気が強い子だったよね。でも悩んだりしてましたね、友達との関係で。普通の小学校に行ったんですけど、だんだん大きくなるにつれて、話が分からない。補聴器つけていても分からないということで、私のつらい気持ちを分かる人はいないんだって。そうだよね。」

    菊永ふみさん
    「ティッシュペーパー。」

    母 秀美さん
    「涙が出ちゃったね。」

    父 謙(ゆずる)さん
    「やっぱりそれはあるのかなぁ。沈んでる表情をね、学校から帰ってきても、してた時期があってね。そういうところが高校終わるころからバネになったのかも。」

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    菊永さんを突き動かしているのは、人とつながりたいという気持ちです。

    菊永ふみさん
    「この人が、何を考えていて、何を話しているのか。どういうことが好きで、どういうことが嫌いでとか、その人に対する興味があっても、言語が異なるため、知ることができない。そういう悔しさがあると思います。」

    ゲームをより本格的にしたいと、去年(2018年)異言語ラボを立ち上げた菊永さん。拠点は、起業を目指す若者を支援するシェアオフィスです。菊永さんの思いと、ゲームの楽しさにひかれ、スタッフは35人に増えました。

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    様々な企業からコラボのオファーも相次いでいます。いま、夏に向けてある挑戦が始まっています。コラボするのはNHK。テレビ版の異言語脱出ゲームを作ろうという企画です。

    「カメラマンと音声の担当の人がいて、あと、出る人がいて、ディレクターの人が下にいます。『何か言ってください』みたいなことは、こういう風に出したりして、やります。」

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    テレビやスタジオを使ってどんな謎やゲームができるのか。

    菊永ふみさん
    「参加者がAD(アシスタントディレクター)になって、音声さんや司会やカメラマンに、お話しながら謎を解いていって、最終的に指令を入れて、何をするか分からないけど、成功に近づけるみたいな。」

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    どんな設定がいいか、アイデアを出し合います。

    菊永ふみさん
    「役を決めて『あなたはカメラマン、AD、照明』とか。」

    メンバー
    「ハプニングがどんどん起こっていくのを解決していくとか?」

    メンバー
    「何か参加者に指示があるとか、プロデューサーに見せて、『意味分からない』『何書いてあるの?』みたいな。」

    メンバーが生かしたいと思ったのは、スタジオで使われていたカンペ。

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    菊永ふみさん
    「コミュニケーションは何かというところに重きを置いたゲームなので、カンペというのは、伝えるためには重要なアイテムだと思います。どんな謎を仕掛けるか、考えなきゃと思います。がんばらなきゃ。」

    人と人がつながりあう「謎」を求めて。夏には公開予定です。お楽しみに!

    さて、番組最初のクイズの答えは?

    菊永ふみさん
    photoは、手話では『男』、指文字では『た』。photoは、手話では漢数字の『二』。指文字では『に』。なので『男』『二』=『谷(たに)』。同様に『女』『七』の手話を指文字で読むと、正解は『いし(石)』。分かりましたか?難しかった?」

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