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ろうを生きる 難聴を生きる「聞こえない子と見えない子が紡ぐハーモニー」※字幕

    去年スタートした聴覚障害のある子どもを中心とした合唱団「東京ホワイトハンドコーラス」。手話に加え、子どもたちが考えたパフォーマンスで歌の世界を伝えます。この活動は南米ベネズエラが発祥。指導者のコロンえりかさんは、6月にベネズエラを訪問し、本場の活動を学びました。そして7月からは、視覚障害のある子供たちも参加。子どもたちが、一緒にハーモニーを作り出すために奮闘する姿を追います。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    聞こえない子と見えない子が紡ぐハーモニー

    去年(2017年)、東京芸術劇場で行われたコンサート。舞台に立つのは、聴覚障害のある子どもたちを中心とした「東京ホワイトハンドコーラス」です。

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    「手歌」という独特の表現で、会場の人たちを魅了しました。手話に加え、自分たちで考えたパフォーマンスで歌の世界を伝えます。
    子どもたちを指導するのは、ソプラノ歌手のコロンえりかさん。

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    そして、ろうの俳優、井崎哲也さんです。

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    この2月、「上を向いて歩こう」の練習が始まっていました。今年(2018年)も12月に開かれるコンサートに向けた新曲への挑戦です。

    「涙が出て、ひっこんじゃう。」

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    歌詞を手話に置き換えるだけでは伝えきれない感情や情景を表現する方法を、みんなで考えます。ふだん、音楽にあまり触れる機会のない子どもたちですが、「手歌」を作ることを、心から楽しんでいます。
    番組では、その様子を放送し、その後も取材を続けてきました。そんな中、7月、新たなメンバーが加わることになりました。視覚障害のある子どもたちです。聞こえない子と見えない子たちが、どうやって一緒にハーモニーを作りだしていくのか、子どもたちの挑戦を追います。

    5月、東京芸術劇場。聴覚障害のある子どもたちの練習が続いていました。

    コロンえりかさん
    「みなさん、こんにちは。」

    最初は、一つ一つの言葉を考えるところから取り組み始めた子どもたち。歌全体のことを考えながら表現を深めていく段階の練習に入っていました。

    「上を向いて歩こう。こんなふうに、動きを入れたらいいと思う。」

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    「涙がこぼれないようには、本当は涙がでちゃってるから、だから涙を拭いながら上を向いて、首を振る動きをつけたらいいと思う。」

    「上を見上げる、涙があふれる、上を向いて、涙をこらえて歩く。」

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    「上を向いて歩こう、涙が出ないように。」

    子どもたちが考えた、たくさんのアイデア。コロンさんと井崎さんは、どの表現を使うとメロディーやリズム、そして歌の世界観に合うか、話し合います。

    コロンえりかさん
    「『涙』は涙にして、『泣きながら』がこれでいいかもしれないですね。」

    井崎哲也さん
    「(みんなの中の)一人が『ひとりぼっちの』と表現し、後ろにいる人が順に『夜』と表現するのがいいですね。」

    次の練習の日。2人でまとめた「手歌」を披露します。

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    子どもたちはこれを、また繰り返し練習するのです。本番の12月まで、少しずつ少しずつ、進んでいきます。
    6月、南米ベネズエラの地方都市、バルキシメトです。

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    ここに、コロンさんの姿がありました。
    じつは、ホワイトハンドコーラスは、この地で生まれたのです。訪れたのは、エミリオ・ソーホー音楽院。音楽を通じて、貧困家庭に生まれた子どもや障害のある子どもが社会とつながれるようにと、活動を続けてきました。23年前、この音楽院から生まれたのが、ホワイトハンドコーラスです。世界各地で公演を行い、高い評価を受けています。この日、コロンさんに演奏を披露してくれました。

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    聴覚障害者だけでなく、さまざまな障害のある人たち、そして障害のない人たちもともに一体感のあるハーモニーを紡ぎだします。
    コロンさんは、日本でもこんなグループを作りたいと考えています。そして今年は、視覚障害のある子どもたちを、メンバーに加えようとしていました。でも、異なる障害のある子どもたちが一緒にうまくやっていけるのか、不安も感じていました。聴覚障害のあるメンバーが、コロンさんの不安に答えてくれました。

    聴覚障害のあるメンバー
    「聴覚障害者にとって、他の障害者と一緒に行うことはとても大切です。それぞれが学んでいく過程の中でお手伝いできるのは、すばらしいことなんです。そしてホワイトハンドコーラスを見た人に、美しいと思ってもらえれば、とてもうれしいです。」

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    7月、東京芸術劇場。視覚障害のある子どもたちを中心とした活動がスタートしました。指導するのは、𡈽野研治さん。

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    大学で音楽療法を教える一方、声楽家としても活動しています。幼稚園児から中学生まで、16人の子どもたちが歌います。“声隊”と呼ぶことにしました。まずは、聴覚障害のある子どもたちとは別々に練習を重ねます。

    ♪ 春は~れんげの花が咲き 秋は~紅葉が燃え上がる

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    日本大学芸術学部 教授 𡈽野研治さん
    「れんげは下ですよね、土の上ですよね。紅葉はちょっと上、空はもっと高い所にある。」

    見えない子どもたちにとって、歌詞に表れる情景を想像しながら歌うことができるかが課題です。
    一方、「手歌」を作っている子どもたちは、“サイン隊”と名付けられました。新しい曲「夕焼け小焼け」に取り組んでいます。

    「3本、2本、1本、小さくなって、バイバーイ。」

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    また一からコツコツと表現を考え、歌の世界を魅力的に伝えようと、練習を続けていました。
    9月、初めてお互いの歌を合わせる合同練習です。普段あまり会う機会がない、見えない子と聞こえない子。コロンさんたちは「バディ」と呼ばれる2、3人のグループを組んで、コミュニケーションをとってもらうことにしました。“サイン隊”の子が肘を握って合図します。

    「まさき君、ペアのみさきちゃん。」

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    まだちょっと、ぎこちない感じです。“サイン隊”の子どもたちは、ペアの相手に手話を教えることにしました。

    「(手を)下げる。」

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    「おはよう。」

    「こうじゃなくて、こう。片手だけ。」

    “声隊”の子どもたちは、相手の手を触りながら手話の形をイメージします。

    「曇ってこう、フワフワフワ~。」

    「フワフワフワ~。」

    「曇って綿みたいな、フワフワフワ。笑うときはニッて、口がニッてなる。」

    いよいよ向かい合って、今まで練習してきた曲を一緒に披露します。“声隊”と“サイン隊”、初めての共演です。

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    コロンえりかさん
    「始まるよ。始めていいですか?」

    “声隊”の子どもたちは、相手の手の動きを思い浮かべながら歌います。“サイン隊”はそれを見て、音の世界を想像しながら「手歌」を披露します。

    「みんなが歌うところを見ていて、声は聞こえないけど、きれいだろうなと思いました。私も見ていて、いい気持ちになりました。お客さんも喜んでくれると思います。」

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    「手話の練習が楽しかったです。」

    撮影スタッフ
    「何を覚えたの?」

    「雲はこうです。空はこう。花は結構難しくて、こうですね。」

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    撮影スタッフ
    「これからもっと手話勉強したい?」

    「はい。」

    お互いの表現を感じとり、より深く「歌」を理解した子どもたち。一緒にハーモニーを作りあげる舞台は、12月です。

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