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ろうを生きる 難聴を生きる「アニメが伝える難聴のこと」※字幕スーパー

    ♪インコをリンゴにききまちがえた♪補聴器や人工内耳をつけていても全部聞こえているわけではないんだ♪…。難聴の人が聞き間違いやすい言葉や誤解されやすい状況を、親しみやすいメロディーとアニメで伝える3分動画。これを見て難聴のことが初めて分かったという子どももいれば、「自分の気持ちを代弁してくれた」と共感する難聴の子どもいます。難聴の子どもたちは、どんな思いを秘めていたのか、胸の内を聞きました。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    なんちょうってなんなん? アニメが伝える難聴のこと

    今、ある動画が話題になっています。

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    ♪インコを リンゴに 聴き間違えた
    似ていることば 区別が「なん」
    なんちょう なんなん?
    なんちょう なんなん?
    口の動きは 同じです

    「なんちょうなんなん」というタイトルの3分の動画。難聴者が日常生活で聞き間違えやすい言葉などを紹介しています。
    去年(2021年)SNSで公開されると半年で1万回以上再生。難聴者からは「自分の気持ちを代弁してくれた」という声が。

    「すごく共感したなって思いました。インコをリンゴに聞き間違えたとか、私も聞き間違えることがあったり。難聴のことを知ってもらいたいから、(この動画)見せていきたいなって思います。」

    動画を見て難聴のことが初めて理解できたという子どもたちもいました。

    「自分の想像していた難聴のイメージを大きく変えてくれた気がしました。」
    「補聴器を付けているから、ほとんど聞こえるだろうと思っていたので驚きました。」

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    なんちょうってなんなん?
    3分の動画をきっかけに難聴の子どもたちが、胸の内に抱えてきた思いを聞きました。


    動画を企画したのは、難聴の子を持つ親たちで作られた家族会です。

    難聴の子を持つ家族会 そらいろ 会長 岩尾至和(いわお・ゆきかず)さん
    「こんにちは。」

    家族会の会長、岩尾至和さん。妻と娘の3人で暮らしています。

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    小学一年生の岩尾橙(ともり)さん。生後4ヵ月で重度の難聴と診断され、普段は補聴器を付けて生活しています。

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    会話が分かりづらいとき、岩尾さんはある工夫をしています。

    岩尾至和さん
    「分かんなかったら指文字使って、『何?かがみ?』とか聞いたり。橙は『か』と『が』がちょっと言いにくい。たぶん聞こえてないと思う。『か』とか『が』とか(確認して)、『か』ねって感じで、これが言いたかったんだなていうのが分かる。」

    Q:学校楽しい?

    橙さん
    「面倒くさい。図工と友だちのおうちにいく。」

    岩尾至和さん
    「図工と友だちの遊びに行くのが。」

    橙さん
    「楽しい。」

    去年、小学校に入学した橙さん。聞こえる児童がほとんどのなかで戸惑うことも。

    岩尾至和さん
    「聞こえにくくて困ったことあった?」

    橙さん
    「あった。」

    岩尾至和さん
    「どんなとき?」

    橙さん
    「先生の声が聞こえなかったときに、『はい』ってみんな大声で言いよるのに、『ん?』ってなって変なことしてしまう。」

    以前保育園に通っていたときも、聞こえにくいために困った出来事があったと岩尾さんは言います。

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    岩尾至和さん
    「運動会のときも、うちの娘が音楽に合わせてダンスをするときがあったんですけども、娘にちょっと悩んでて、やっぱり遅れるんですよね、振り付けが。音だけだと絶対難しいなと思って。先生が『次はこうだよ』とか、リズムを刻んでおく。『こういうことできないですかね?』と言ったら、非常に難色を示されてですね。」

    音楽が聞き取りにくい橙さんのために、近くで大人が合図を出せないかとお願いしました。しかし保育園側は「ダンスの見栄えが悪くなる」と言って受け入れてくれなかったそうです。

    岩尾至和さん
    「(難聴について)知っている人がものすごく少ないから、説明しても分かってもらえないことがあるのかなと。理解を広げなきゃいけないのかなって思ったんですよね。」


    そこで岩尾さんは、難聴の子どもを持つ親に呼びかけて家族会を結成。難聴について多くの人に知ってもらいたいと議論を重ねるうちに、ある方法を思いつきました。

    岩尾至和さん
    「面白い動画を作って誰でも見れるようにしたら、結構広がっていくんじゃないかなと思って、『いいな!動画を作ろう』。」

    クラウドファンディングで動画制作のための資金を募ると、全国から200人以上が支援を申し出てくれました。

    ♪ガヤガヤ騒音 とっても苦手
    補聴器つけると ノイズも「ちょう」
    なんちょう なんなん?
    なんちょう なんなん?
    きんちょう しんちょう やり過ごそう

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    動画の制作にあたった白川東一(しらかわ・もとひろ)さん。CMなどを手掛ける映像ディレクターです。白川さんにとって、難聴についての動画制作は初めてのこと。まずは難聴を理解したいと、あるものを試してみました。

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    難聴者の生活を疑似体験できる、バーチャルリアリティーです。

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    クラクションの音が聞こえれば、後ろからくる車に気づくことができます。しかし、音が聞こえにくい人の場合は…。

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    映像ディレクター 白川東一(しらかわ・もとひろ)さん
    「音がないっていうことが、“気づかないこと”なんだということを初めて知ったので、僕自身がターゲットだと思って作っていくのが、一番身近なものになるんじゃないかなと考えて進めました。」

    そして思いついたのが、幅広い世代の人々が楽しみながら学べる、短いアニメーションでした。
    家族会から聞いた体験談をもとに、難聴の子どもによく起こりがちな出来事を表現していくことにしました。動画の前半は難聴者が日々直面する課題。後半は、どのような配慮が求められるかという解決編にしました。

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    映像ディレクター 白川東一さん
    「この『前に回って話してくれたら』というシーン。非常に重要だなと思って。押しつけがましく伝えるのではなくて、日常の中で溶け込むように解決していけるといいなと。かなりこのシーンは気をつけて、個人的に頑張って作りました。」

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    ♪補聴器や
    人工内耳を
    つけていても
    全部聴こえているわけではないんだ

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    ♪だから

    ♪前に回って 話してくれたら
    一人ずつ会話 始めてくれたら

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    ♪じゅんちょう!
    かいちょう!
    ぜっこうちょ!
    もっともっと話しができるから

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    完成した動画はSNSを通じて、多くの人に見られています。
    福岡市内にある、難聴の子どもたちが通う学習教室です。

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    小学校6年生の浜津梨咲(はまつ・りさ)さんです。先月この動画を見つけて以来、繰り返し何度も見たといいます。

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    浜津梨咲さん
    「すごく共感したなって思いました。インコをリンゴに聞き間違えたとか、そういうところとか、私も聞き間違えることがあったり。同時の会話も最初の1年生のときは聞き取れないことが多かったし。」

    ♪一人づつ会話 始めてくれたら

    学校の友だちに動画を見せたところ、しばらくして嬉しい出来事が。

    浜津梨咲さん
    「みんな同時の会話を始めてるときに、1人の友だちが『ちょとたんま』みたいな感じで止めてくれて、『1人づつしゃべらない?』みたいな感じで、私を助けてくれたのが一番記憶に残ったエピソードです。」

    4月から中学校に進学する梨咲(りさ)さん。まもなく新しい環境での生活が始まります。

    浜津梨咲さん
    「中学生になると、どんどん話が早くなるのではないかなと思って不安があります。難聴のことを知ってもらいたいから、(この動画を)見せていきたいなって思います。」

    動画を授業の教材に使う小学校もあります。

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    去年10月。家族会の岩尾さんは地元の小学校に講師として招かれ、難聴について講演しました。

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    子どもたちから送られてきた感想文です。

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    「補聴器を付けているから、ほとんど聞こえるだろうと思っていたので驚きました。」

    「私は町などで障害を持つ人を見かけたら、少し避けてしまうことがありました。この教室を機に、積極的に手伝ったりしてあげたいと思いました。」

    岩尾さんは家族会のメンバーたちと今回の動画を制作していく中で、改めて気づかされたことがあります。

    岩尾至和さん
    「『聞こえる人も聞こえない人も、お互いにコミュニケーションをとるには練習が必要だ』と。まさにそうだなと僕もすごく思ったんですけど、『こうなんだよ、はい』とやって、パッとできることはない。誰でもそうなんですけど。『なんちょうなんなん』を聞いて、『こうしよう』と思ってくれる心がたぶん生まれる。」

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    ♪なんちょう なんなん
    なんちょう なんなん?
    何でも話せる世界って

    ♪なんちょう なんなん
    なんちょう なんなん?
    ちょう楽しくって素敵な世界

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