ハートネットメニューへ移動 メインコンテンツへ移動

ろうを生きる 難聴を生きる「手話にかける青春2021 前編」※字幕スーパー

    10月に開かれた「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」本大会、注目の2チームに密着した2本シリーズの前編。過去3度の優勝を誇る強豪、奈良県立ろう学校が演じるのは、外の世界に憧れるペンギンたちの物語。空を飛びたいという夢と現実との葛藤を自分たちに重ねます。もう1チームは埼玉の特別支援学校坂戸ろう学園。減少しているろう学校を守りたいというメッセージを訴えます。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    手話にかける青春 2021<前編>

    ♪たとえどんなことがあっても
    ♪希望を見つけて生きていれば

    photo

    手話歌やコント。そして演劇。

    「って、オイッ。どぎゃんするね。どぎゃんするね。あわわわわわわ。大波だぁ~!!!!ばっしゃーーーん。」

    photo

    10月に開かれた「全国高校生 手話パフォーマンス甲子園」。

    「さやかちゃんは、男の子が好き?女の子が好き?それとも両方?」

    「もっと増えてみんなと手話で繋がることのできる世界になったら良いな!うんうん!」

    “手話の正確さ・分かりやすさ”や“表現力”を競う全国大会です。

    8回目となる今年(2021年)も、リモートで開催。ろう学校だけでなく、地域の学校も参加し、全国53チームの頂点を争います。

    photo

    番組では、今大会、注目の2チームに密着しました。

    photo

    埼玉県立 特別支援学校 坂戸(さかど)ろう学園。
    “ろう学校を大切にしていきたい”というメッセージを演劇で訴えました。

    「ろう学校を無くさないで」
    「そのまま… 永遠に紡いで…」

    photo

    もう1チームが、過去最多となる3度の優勝を誇る、奈良県立ろう学校。

    「空を見たら 自分も飛べるんじゃないかと…」
    「本当は 飛べないこと 分かってるのに」

    photo

    高校生たちが手話のセリフや表現に込めたメッセージ。2回に渡って、その思いに迫ります。


    去年(2020年)、3度目の日本一の座に輝いた、奈良ろう学校の演劇部です。優勝メンバーが中心となり、連覇を狙います。
    前回大会、審査員に高く評価されたのが表現力の豊かさです。

    「カンパネルラ―!」

    photo

    指先・表情、そして全身をフルに使った感情表現。これが奈良ろう学校の演劇です。

    Q 目標は?

    「2連覇です!もちろん。」

    「去年は優勝できて、すごくうれしかったです。今年2連覇したいです。去年よりも、もっと演技を磨いて、みなさんに納得してもらえるような優勝を目指したいです。」

    photo

    今年の演目は「空も飛べるはず」。ペンギンたちの物語です。狭い水族館を出て遠くに行きたい。そのために空を飛ぼうと言い始めます。

    「みんな 空を 飛んでみたくない?」
    「もし俺たちが飛ぶことができたら あの岩を飛び越えて 外の世界に行けるでしょ」
    「あの岩を飛び越えるなんて」
    「ムリ!」
    「だから ムリだって!」
    「俺たちはペンギン」

    photo

    「みんな俺をバカにしているんだろ?」
    「ちがう!」
    「だから 飛べる機能がないのに。」
    「飛べるわけないだろ!」
    「決めつけるな!」
    「もっと現実を見ろよ!」

    photo

    「空を見たら 自分も飛べるんじゃないかと…」
    「本当は 飛べないこと分かってるのに」

    脚本を書いたのは、顧問の綿井さん。部員たちの実際の悩みに重ねて物語を作りました。
    部長の平木愛梨(ひらき・あいり)さん。演じるのは、外の世界に憧れを抱くペンギンの「チョコ」です。平木さんは高等部3年生。中心メンバーとして、去年、チームを優勝に導きました。

    演劇部 顧問 綿井朋子さん
    「やっぱり見た感じ、セリフの入りが早いかな…。もうちょっと我慢して。」

    photo

    卒業後は大学に進み、プロの俳優になりたいという夢があります。しかし、将来に不安もあり、なかなか進路を決められません。大学に進んでも、十分な情報保障が得られないのではないか…。俳優の道に進んでも、聞こえる人の中で取り残されるのではないか…。
    平木さんが演じるペンギンのチョコも夢と不安の間で揺れ動く役です。

    photo

    「空を見たら 自分も飛べるんじゃないかと…」
    「本当は 飛べないことは 分かってるのに」

    チョコに自分を重ねながら演じます。

    3年生 平木愛梨さん
    「(チョコは)できるって思う一方で、内心は無理だっていうことは分かっている。でも、やれることをやろうって自分自身に言う。やはり、自分の人生と重ね合わせる以上、相手に伝えられるよう頑張ります。」

    photo

    先輩たちに交じって、新たに芝居に取り組み始めた部員がいます。平野桂さん。1年生です。

    1年生 平野桂さん
    「家族はみんな聞こえるので、声で話します。何か聞いても話がなかなか分からないことがあって、さみしい思いをする。だから、もっと積極的になりたい。家族ともっと話せるようになりたいんです。」

    photo

    引っ込み思案な自分を変えたいと、演劇部に飛び込みました。しかし、思いが空回り。

    3年生 中石健斗さん
    「『僕の責任だ』と思っているシーンでしょ?それなら相手をしっかり見てから!さっきは下しか見ていなかったよ。ちゃんと相手を見てセリフを言わないと!」

    課題は、目線の向きなど基本の動作。先輩たちについていこうと必死です。

    「水族館の雰囲気 水 恐怖」
    「はっきり覚えています」

    photo

    1年生 平野桂さん
    「OK!大丈夫です。」


    もうひとつの注目校が、坂戸ろう学園です。坂戸の特徴は、生徒が中心となってストーリーや演出を考えること。今年は、ろう学校を守りたいという切実な思いを演劇に込めました。

    photo

    「でも最近 ろう学校が減っている…」
    「もし ろう学校が無くなったら どうずるの?」
    「勉強ができない」
    「コミュニケーションも取れない わたしたちの居場所が無くなってしまう」
    「今ある ろう学校を無くさないで」
    「そのまま 永遠に紡いで…」

    このテーマを考えたのは、吉瀬千咲(きせ・ちさき)さん。高等部1年生です。吉瀬さんは、近年ろう学校で学ぶ生徒が減り、他の特別支援学校と統合されるケースが増えていることを知りました。

    1年生 吉瀬千咲さん
    「やはりショックですね。ろう者が集まって勉強する場所が大切なのに、そこを減らすっていうのは…。やっぱり残してほしいと思ってパフォーマンスにしました。」

    photo

    さらに、ろう学校の起源をさかのぼって調べるうち、18世紀のフランスで世界で初めて ろう学校を設立した、ド・レぺという人物を知りました。手話で学べる場をつくってくれた、ド・レぺの生涯に感銘を受けて、演劇にすることを提案。18世紀から現代に至る、ろう学校の物語をつくることにしました。

    photo

    坂戸ろう学校は2年前、初出場でいきなり3位入賞を果たしました。宇宙からやってきた“手話星人”を登場させるという自由な発想が高く評価されたのです。

    photo

    そのときのメンバーは、今、高等部3年生。1年生の吉瀬さんたちをサポートしながら演出を練っていきます。

    3年生 伏島愛美さん
    「前回は先輩のみなさんがいたので、おまかせ、みたいな感じだったんです。今、高校3年で、進路のために彼女の手伝いがあまりできないけど、きちんと進んでいてすごいな、力があるなと思いました。」

    photo

    今、チームにはひとつの課題が…。
    “現代の日本”から、“18世紀のフランス”に場面を切り替える方法です。

    (演目 ド・レぺの小さな学校 ~永遠に紡ぐ)

    「世界で初めて ろう学校を建てたのは 誰だか知ってる?」
    「知らない…」
    「調べてみよう!」
    「授業が始まるよー」

    photo

    現代のシーンの終わりで照明を消し、ここからド・レぺたちのシーンが始まりますが…。メリハリがつきません。

    photo

    もっと良い演出はないのか…。話し合いが続きます。

    「タイムスリップする?」

    1年生 吉瀬千咲さん
    「そうそう、それをどうやってお芝居でタイムスリップを見せるのか…。車が走って未来に行くとか、映画あるでしょ?ボールがきっかけになるとか?」

    「事故が起きて、倒れて、目が覚めたら時代が(変わってる)あれ?って。(時代が)違う…。みたいな。」

    photo

    みんなでアイデアを出し合い、何度も試します。現在と過去がはっきりと切り替わり、しかも不自然でない仕掛けが必要です。どうすれば観客が違和感なく物語の世界に入り込めるか。大切にしたい物語だからこそ悩みます。


    次回は後編。いよいよ本大会です。生徒たちは思いを存分に伝えることができるのでしょうか?

    新着ダイジェスト