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ろうを生きる 難聴を生きる「ダンスで垣根を越える 前編」※字幕スーパー

    今年の夏、プロのダンサーとして活躍する難聴のGenGenさんが、聞こえないダンサーと聞こえるダンサーを集め「混成チーム」を結成しました。外国出身のメンバーもいます。1か月後のイベントに向けて、総勢11人のダンサーは違いをこえ、1つになることを目指しました。しかし、センターを任されたろう者と聞こえるメンバーの動きがあわず、大苦戦。GenGenさんは互いに歩み寄ることで乗り越えてほしいと願います。

    出演者ほか

    【出演】GenGen,【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    ダンスで垣根を越える 前編

    この夏、開催したダンスベント。全国からプロ・アマ合わせて65組が出場しました。
    その中に、ある特別な思いを抱いて挑んだチームがあります。ろうや難聴の聞こえないダンサーと、聞こえる人との混成チームです。メンバーには外国出身者もいます。
    チームを率いるのは、プロのダンサーとして活躍する難聴のGenGenさんです。

    プロダンサー GenGenさん
    「国籍も違うし、聞こえない人も聞こえる人もいるけど、仲間を思いやることで一緒に頑張れる。」

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    目指したのは、互いの違いを越え、息の合ったパフォーマンスをつくりあげること。しかし…。

    「ごめんね。」

    聞こえる人
    「バラバラ?」

    聞こえない人
    「バラバラだね。」

    それは簡単なことではありませんでした。

    「どれだけ3人で一緒に息を合わせて踊れるかが、やっぱり難しい…。」

    プロダンサー GenGenさん
    「うちら(聞こえない人)は、聞くんじゃなくて、感じる。聞こえる・聞こえないは違うから。負けるな!」

    1つになろうと奮闘する若者たち。ひと夏の挑戦を2週に渡って紹介します。


    7月上旬。この日は初めての全体練習。メンバーは10代から20代の11人。学生も社会人もいます。

    「自分は中国です。」

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    「(2人は)フィリピンです。」

    「もう1人来る人が韓国。」

    「日本人の人は?」

    「はい。」

    「はい。」

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    聞こえるメンバーは8人。同じダンス教室に通う仲間です。

    「今回(聞こえない人と一緒に踊ることが)初めてです。」

    そして、ろう者2人と難聴者1人。ふだんは手話でダンスを習っています。

    「聞こえる人とのダンス経験があまりないので楽しみです。」

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    11人の多様なメンバーが1つのチームとなり、1か月後の本番を目指します。

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    チームを率いるのは、プロダンサーのGenGenさん。難聴者です。

    プロダンサー GenGenさん
    「50分から始めることにします。」

    「はい!」

    ふだんは聞こえない人にダンスを教えています。今回あえて混成チームを作ったのには、特別な思いがありました。

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    プロダンサー GenGenさん
    「(聞こえる・聞こえない)のカテゴリーで決められている感じになっているかな。ろうの人はこれで、聞こえる人はこれで、ダンスでもボンって、離される。ダンスでつながれるよっていうのを、みんながやれるように。助け合えればできることだから、大事にしたい。」

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    練習が始まりました。まずは、振り付けの指導から。

    プロダンサー GenGenさん
    「1。」

    ゆっくり動きを見せながら、声で指導します。

    プロダンサー GenGenさん
    「5、6、7、8。」

    動き出しのタイミングや細かな説明は、手話を交え、聞こえないメンバーに伝えます。

    プロダンサー GenGenさん
    「自分がかっこいいと思う動きを、鏡を見て、やりやすいようにしてください。」

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    プロダンサー GenGenさん
    「自分で、1人で、集中!」

    GenGenさんは、それぞれの実力を確認するため、ちょっとしたテストをすることにしました。
    まずはプロの2人がお手本を示します。

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    評価が高ければ主要なメンバーに選ばれます。最もキレよく踊ったのは、大学生の樺澤環さん。ろう者です。

    プロダンサー GenGenさん
    「環が1番。」

    プロダンサー SHIZUKAさん
    「良かった。1番良かった。」

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    力強さと表現力が評価され、チームのセンターに選ばれました。音楽が聞こえない環さんは、自分なりの工夫で踊っています。体で感じるわずかな振動や他のダンサーの動きを見ながらリズムにのります。

    ろう者 樺澤環さん
    「自分を見せられるように努力して、練習を重ねていきたいです。」

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    GenGenさんは、聞こえない中でみんなと踊る大変さを誰よりも理解しています。それでも決して諦めず、前に進む大切さを伝えていきたいと考えています。
    幼い頃から聞こえにくかったGenGenさん。周囲に壁を感じることが少なくありませんでした。

    プロダンサー GenGenさん
    「イジメとかも、普通の人と育ってきて、その人と同じじゃないんだって思わされたり。聞こえないだけで違う扱いを受けるんだって思ったことは心が折れかけたけど、その過程があってこそ、『なにくそ!』という言葉があるんですけど『なにくそ精神』で、嫌われてもいいから『俺はこうだ!』みたいにやってきた。」

    プロを目指し、高校生の頃から数々のオーディションに挑戦しました。しかし、聞こえないというだけで断られることも多かったといいます。プロとしてのステージに立てたのは、25歳の時。メンバーたちに自分の障害を伝え、何度もコミュニケーションを重ね、一緒に舞台をつくりあげました。そのときの一体感をGenGenさんは今も忘れられません。

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    “聞こえる・聞こえないは 決して壁ではない-”

    そのことをメンバーそれぞれに感じてもらいたいと願っていました。


    音楽に合わせた通しのレッスンが始まりました。GenGenさんが発表の曲に選んだのは、こちら。

    「ひまわり」遊助
    ♪青い空と雲 太陽つかまえんぞ
    君がいるから 俺は笑う
    悲しいお別れも 最高の出逢(であ)いも
    ココに生まれた奇跡 La,La ありがとう

    新たな挑戦をするチームにふさわしい ポジティブな曲です。ダンスには手話も取り入れました。
    「青」、「空」、「雲」、そして「笑う」。

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    ここにもGenGenさんの狙いがあります。

    プロダンサー GenGenさん
    「今回、聞こえる人たちも手話に触れたっていうことも1つの大事なポイントと思っているので、感動的なものだったり、バックグラウンドだったり、そういうものを全部含めて振り付けにしています。」


    練習開始から10日。この日、チームに大きな問題が起こります。
    センターを任された3人。ろう者の環さんと、峯本貴也さん。そして、聞こえる 野口智絵美さんです。

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    動きをぴったり合わせたい、大事な見せ場ですが…。

    峯本貴也さん
    「ごめんね。」

    野口智絵美さん
    「バラバラ?」

    樺澤環さん
    「バラバラだね。」

    何度やってもズレてしまうのです。
    例えば、この場面。手前の智絵美さんが先に動き、聞こえない2人が遅れています。

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    同時に上体を起こす、この動きでも…。今度は環さんが大きく出遅れていました。

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    ろう者 樺澤環さん
    「自分が踊ることに一生懸命で、周りが見えていないところも多いので…。」

    ろう者 峯本貴也さん
    「難しいです…。音楽に合わせるのが難しくて…。今は(聞こえる)智絵美さんを見て、合わせています。」

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    聞こえない2人は、目で見てタイミングを合わせているため、どうしても遅れてしまうのです。

    聞こえる人 野口智絵美さん
    「どれだけ3人で一緒に息を合わせて踊れるかが、やっぱり難しい。」

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    何度繰り返しても、ズレは一向に直りません。なんとかメンバー同士で答えを見つけて欲しい。GenGenさんはじっと見守ります。
    聞こえないメンバーと聞こえるメンバーの3人は、息の合ったダンスを完成させることができるのか。

    プロダンサー GenGenさん
    「うちら(聞こえない人)は聞くんじゃなくて、感じる。聞こえる・聞こえないは違うから。誰かがボンって努力。負けるな!」

    次回、チームはいよいよ本番のステージへ。

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