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ろうを生きる 難聴を生きる「聞こえないセンパイの課外授業・ラグビー」※字幕

    IT、医療、スポーツなど、いろいろな分野で活躍する ろう者・難聴者の先輩が、ろう学校の生徒たちに、夢をかなえるための授業をする、シリーズ「聞こえないセンパイの課外授業」。今回はラグビー選手の大塚貴之さんが登場します。強豪、帝京大学ラグビー部出身で 現在は、選手兼指導者として活躍中。ラガーマンならではの視点から、社会で活躍するためのポイントを生徒たちに伝授します。

    出演者ほか

    【出演】大塚貴之,【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    聞こえないセンパイの課外授業 8 ラグビー大塚貴之

    シリーズ「聞こえないセンパイの課外授業」今回登場する先輩は…
    難聴のラガーマン、大塚貴之さん。29歳。
    聞こえない選手だけで競い合う、デフ・ラグビーの日本代表選手です。学生時代は強豪、帝京大学ラグビー部に所属。140人を超える部員の中からレギュラーの座を勝ちとり、活躍しました。
    現在は、子どもたちにラグビーの楽しさを教えるNPO団体に所属し、普及活動に力を注いでいます。

    デフ・ラグビー日本代表 大塚貴之さん
    「聞こえないからこそ、できることがいっぱいあることを彼らにもっと知ってほしい。」

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    ラグビーを通じて培った“やりたいこと”をあきらめず、突破する力。そのための工夫と知恵を伝授します。


    群馬県立聾学校

    ラグビーボールを持って現れた大塚さん。一体、どんな授業が始まるのでしょうか。

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    大塚貴之さん
    「元気?」

    参加するのは、高等部12人の生徒たちです。

    大塚貴之さん
    「いきなりなんですけど、今から体を動かしましょう。ゲームをしましょう!どう動いてもOKだけど、ぶつからないように気をつけてください。」

    チームに分かれてパスゲーム。どんなふうにボールを回しても構いません。けれど、落としたら攻守交代。パスが10回つながれば勝ちです。

    大塚貴之さん
    「1、2、3、4。」

    ボールを受けた生徒たちは、すぐにパスを出そうとしますが、続きません。

    大塚貴之さん
    「交代!」

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    大塚貴之さん
    「仲間とパスが通らないときがあったけど、どうしたら通りますか?」

    生徒
    「自分のチームの人が、パスを出しやすい所にいること。」

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    大塚貴之さん
    「これはパスが通ったけど、もし間に人がいたら、どうしますか?」

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    生徒
    「人がいたら、よけてパスをします。」

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    大塚貴之さん
    「OK、分かった。空いている所に行くためには『あること』が大事です。その『あること』とは何でしょうか?」

    生徒
    「周りを見ること。」

    大塚貴之さん
    「そうだね、周りを見ること。もう1回やってみましょう。1、2、3。」

    仲間がパスしやすい位置はどこか、敵がいないスペースはどこか。次第に互いの動きを予測しながら、ボールを回せるようになってきました。

    大塚貴之さん
    「6、7、あー、交代。
    4、5、6、7、8、9、10。」

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    大塚貴之さん
    「僕が何で、このゲームをしたかというと、ある狙いがあります。その『ある狙い』とは、何か分かりますか?どうぞ。」

    生徒
    「みんなをよく見る力。周りをよく見る力。」

    大塚貴之さん
    「いい答えを頂きました。皆さん拍手。『視野を広げる』ことですね。実際ラグビーのルールで、ボールを持っている人は、自分より後ろの人にしかパスができません。僕は聞こえないので、常に周りの仲間の位置を確認して、パスしています。聞こえる人だったら、声だけで大体どこにいるのか、イメージができます。でも、僕はできないので、視野を広げることを大事にしています。」

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    生徒たちの多くは音や声が聞こえず、周りに責められてしまう経験をしていました。

    「私が小学部のときに習い事に行っていて、友達から声をかけられたけど、私が気づかずに行ってしまったので、『昨日、声かけたのに何で無視したの』と言われたことがありました。」

    生徒
    「僕の場合、家でチャイム、ピンポンが鳴ったときに僕は物事に集中していて、チャイムが鳴っていることに気づかなくて『無視した』と言われる。『迷惑をかけている』って言われることがあります。」

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    大塚貴之さん
    「それは聞こえない人あるあるだよね。みんな聞こえないので、集中しやすいのはいいことだと思うんだけど、そうすると、周りが見えなくなってしまうということもあるので、集中しつつ、周りに気配りし、視野を広げられるようになってほしいなと思います。そうすることで、自分が活躍できるチャンスも増えます。」


    【1限目のポイント】
    視野を広げ“聞こえない自分”のまま 活躍できるチャンスを広げよう

    大塚さんがラグビーを始めたのは中学の時。クラブチームに所属し、聞こえる人たちの中で経験を積んできました。大学時代まで、チームメイトとのコミュニケーション方法は口話だけ。

    本格的に手話を学び始めたのは、デフ・ラグビーの日本代表に選ばれてから。すると、新たな才能が開花。チームとのコミュニケーションがとりやすくなり、指導者としても力を発揮します。

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    こうした活躍がNPO団体の目にとまり、ラグビー教室のコーチに就任。聞こえる人との営業や、交渉も任されるようになりました。そんな大塚さんが武器にしているのが…
    メールです。正確に、確実に、早く返信することで周囲の信頼を集めてきました。海外のデフラグビー・チームとも英語でやりとりし、仕事の幅を広げています。

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    社会に出ても自分の力を存分に発揮してほしい。
    2限目はそのためのヒントを伝授します。

    大塚貴之さん
    「コミュニケーションの選択肢を増やすこと。コミュニケーションの幅を広げるということは、仕事の幅も広がるということですね。」

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    自分たちが使えるコミュニケーション方法は何か、さまざまな手段を知っている生徒たち。しかし、使うのはためらわれると言います。

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    生徒
    「口話は早いから読めないし、筆談も大変相手に負担をかけてしまうから大変かなと、諦めてしまった。」

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    大塚貴之さん
    「僕も若いとき、自分から筆談をしようとするのは、ちょっと勇気が要るときがありました。自分はメールしかできないから、オンライン会議はできませんとなってしまうと、自分に任されることが減っていきます。(例えば)アメリカの手話ができると、そういう関係の仕事が増える。自分の持っているものを見つめ直して、他に出来ることはないかなと考えながら、次のステップに行けるように頑張ってほしいと思います。」


    【2限目のポイント】
    コミュニケーション方法を増やし 自分の可能性を広げよう


    ラグビーで培った経験が、勇気や自信につながったという大塚さん。あと一歩が踏み出せないとき、大切にしてきた心構えがあるといいます。

    大塚貴之さん
    「皆さんにとって、ラグビーはどんなイメージですか?」

    生徒
    「今回パスゲームをやってみて、視野とか、チームと協力してやらないと、ゴールも勝つこともできないスポーツだと思いました。」

    大塚貴之さん
    「ありがとうございます。拍手。ラグビーは15人でします。15通りのポジションがあります。スクラムを組む人、ボールをとる人、キックする人、足が速い人。このように皆さん、それぞれの自分の強みを生かせるポジションがある。自分が活躍できる場所が、必ずあります。どうぞ。」

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    生徒
    「自分の個性を出すとき、いちばん大事なのは、周りの目を気にしない、ということだと思うのですが、そういうときに周りの目を気にせず、自分の気持ちを強く持つって、どうやったらできますか?」

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    大塚貴之さん
    「職場の仲間いわく、僕のことは、聞こえないことは分かっているけど、それで仕事ができないのではなく、いつも常に誰よりも視野を広くし、気を配っていてくれている。自分が気付かないところまで細かく気付いてくれるのが、大塚のすごいところだ、と言ってくれています。仲間にはないものを自分は持っている。もうすぐ皆さんは社会人になると思います。大学に行く人もいるかもしれない。その中で視野を広げること、そして、コミュニケーションの選択肢を増やすこと。この2つが合わされば、必ず自分が活躍できる場所があります。その活躍できる場所が見つかれば、より楽しい人生を送ることができると思います。ありがとうございました。」

    生徒
    「授業を受けてみて、ラグビーにはいろんな人の個性があると知って、私もこれからの将来に向けて、自分の個性を大事にして頑張っていきたいです。」

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    生徒
    「健聴者とコミュニケーションする機会があったら、積極的に自分から声をかけて、筆談とか、その他ノートテイクなどのコミュニケーション手段を使って、コミュニケーションを諦めないでやっていきたいと思います。」

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    聞こえない自分だからこそ、輝ける場所がある―
    大塚センパイからのメッセージです。

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