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ろうを生きる 難聴を生きる▽“振動と光”を使って、みんなでおうちダンス※字幕

    緊急事態宣言下で、ろう学校が休校になり、子どもたちはストレスをためていました。「音」を「振動と光」に変換して伝える装置「Ontenna(オンテナ)」を開発した技術者の本多達也さんは、運動不足とストレスを解消するコンテンツの制作を開始。歌手の星野源さんの「うちで踊ろう」のリズムを装置で再現し、子どもたちにダンスしてもらおうと考えました。ろうのダンサーの協力も得て開発を進める、本多さんの姿を追います。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    振動と光を使って、みんなでおうちダンス!

    「授業を始めます。」

    ある装置を身に着け、楽しげにダンスする ろう学校の生徒たち。

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    これは、去年販売が開始された「オンテナ」。音を振動と光に変え、装着している人に伝えるものです。大きな音がすると大きく振動。小さな音がすると小さく振動。256もの振動と光のパターンで音の特徴を表します。

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    このオンテナを使って、ステイホームの期間に新たな試みを始めようとしていたのが、開発者の本多達也さんです。

    大手電機メーカー社員 本多達也さん
    「こういったコロナの状況になったときに、オンテナをどういったところで使えるかというのを改めて見直して、考えてみるより手を動かしてみようというので動き始めた感じです。」

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    新型コロナウイルス まん延により、聴覚障害のある子どもたちは楽しめることが少なくなっていました。装置を改良することで、家の中で楽しくダンスを踊ってもらえたらー
    本多さんが選んだのは、あの話題の動画。

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    ろうのダンサーemiさんに声をかけ、プロジェクトが始まりました。

    emiさん
    「まったく歌が聞こえなくても、こんな楽しみ方があるんだと気づいてもらえると思うんです。」

    開発に奮闘する本多さんを追いました。


    いま私たちの生活にさまざまな影響を及ぼしている、新型コロナウイルスの まん延。ろう学校が休校になり、聴覚障害のある子どもたちはどのように過ごしているのか?
    4月下旬、本多さんは装置の開発に協力してもらっている子どもたちに現状を聞いてみることにしました。

    宗政にこさん(10)
    「1日2回熱を測って、せきが出るか、だるさがあるか、チェックしています。」

    宗政にこさん 10歳。ろう学校の小学部に通っています。

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    学校から出された宿題を終えると、部屋でゲームをして過ごすことが多いといいます。

    本多達也さん
    「運動はどんな感じでやってますか?」

    母 和子さん
    「歩いたり」

    宗政にこさん(10)
    「バレーボールしたり」

    本多達也さん
    「毎日やるというよりは、晴れていたら外へ行って、みんなで遊ぼうかという感じなんですね。」

    母 和子さん
    「毎日は出てないです。」

    宗政にこさん(10)
    「1週間に1回」

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    本多達也さん
    「えっ少ない!1週間に1回なんだ。」


    水野樹君 9歳。やはり家の中で過ごすことが多く、そのことで気分の波が激しくなっているといいます。

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    父 歩さん
    「体を動かしてストレスを発散している世代の子なので、そのぶん、そういうところに寄っちゃうんだろうなとは思っていて、割とちっちゃなことで怒ったりはするんですよね。」

    もうひとつ問題がありました。インターネットの映像コンテンツなどの多くには字幕がついていません。聴覚障害のある子どもたちが家の中で楽しめるものが少ないのです。

    本多達也さん
    「自分たちに何ができるのか、どういった形で関われるのかを考えるようになって、そして、考えてみるより手を動かしてみようと。」

    そこで、本多さんが注目した映像があります。

    「うちで踊ろう」星野源さん
    “♪たまに重なり合うよな 僕ら”

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    歌手で俳優の星野源さんがインターネットを通じて発表した「うちで踊ろう」。日本中で話題になったこの曲を、聞こえない子どもたちにも踊ってもらおうと考えたのです。

    しかし、問題が…
    装置が歌声やギターに反応して、絶えず振動してしまうため、リズムが分かりにくいのです。

    オンテナには機能がふたつあります。装置本体が自動的に音に反応し、振動したり、光を出す機能。

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    もうひとつが、コントローラーから信号を送り、振動させたり、光らせたりする機能です。

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    ろう学校の音楽の授業では、先生が曲の雰囲気などもふまえて、ダンスしやすいように調整しながらコントローラーのボタンを押し、振動させていました。

    今回は、そうはいきません。
    事前にすべてをプログラムする必要がありました。リズムが微妙に変化する部分もデータとして入力。星野源さん独特のメロディーが想像できるよう細かな調整をします。

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    本多達也さん
    「より振動とかリズムを感じやすくなったと思います。」

    さらに、聞こえない子どもたちに楽しんでもらえるオリジナルの振り付けを作ろうと考えた本多さん。

    本多達也さん
    「今回、急なお願いでごめんなさい。」

    協力をあおいだのは、ろうのダンサーemiさんです。聴覚障害のある子どもたちにダンスを教えたり、一緒にステージに立ったりしています。

    emiさん
    「私にできるかどうか、少し不安もありました。歌やギターに合わせなくてはなりませんから。でも、挑戦してみたい。オンテナの力も借りてやってみようと決めました。」

    emiさんは ふだん、指でカウントを出しながらリズムを伝えています。

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    しかし、そうすると、子どもたちはカウントを見るのに精いっぱいになってしまい、自由な表現ができないこともあるといいます。

    今回は、装置の振動でリズムが伝わるので、踊りに集中できるはず。星野さんの曲の世界観をどう振り付けに反映するか…試行錯誤します。

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    emiさん
    「ろう者・難聴者といっても、聞こえの程度はまちまちです。まったく歌が聞こえなくても、こんな楽しみ方があるんだと気づいてもらえると思うんです。」

    「うちで踊ろう」星野源さん
    “♪たまに重なり合うよな 僕ら”

    手の平を柔らかく合わせ、人と人のつながりを表現。

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    “♪扉閉じれば 明日が生まれるなら 遊ぼう 一緒に”

    子どもたちに楽しんでもらえるよう、コミカルな振り付けも加えていきます。

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    ある程度まとまったところで、本多さんに連絡。装置の振動について、リクエストを伝えました。

    emiさん
    「8ビートのように(振動が)小刻みなほうが踊りやすいんです。歌の歌詞が聞こえなくても、これならリズムに合わせられそうだと感じてもらえるはずです。」

    本多達也さん
    「なるほどね。」

    emiさんの要望を受け、本多さんはデータを修正。振動の回数を増やし、リズムが変化する部分も、より正確に再現しました。

    本多達也さん
    「ちょっと いま不安な部分もありますね。実際に家の中で、作ったものが子どもたちにどれだけ受け入れてもらえるんだろうとか、あとは、ちゃんと笑顔になってもらえるんだろうかとか。」


    水野樹君(9)
    「おーパソコンだ!」

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    5月下旬、映像コンテンツと装置が子どもたちのもとに届きました。まだ試作段階のシステムを試してもらい、反応を探ります。

    「うちで踊ろう」星野源さん
    “♪たまに重なり合うよな 僕ら”

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    “♪扉閉じれば 明日が生まれるなら 遊ぼう 一緒に
    うちで踊ろう ひとり踊ろう 変わらぬ鼓動 弾ませろよ
    生きて踊ろう 僕らそれぞれの場所で 重なり合うよ”

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    “♪うちで歌おう 悲しみの向こう 全ての歌で 手を繋ごう
    生きてまた会おう 僕らそれぞれの場所で 重なり合えそうだ”

    本多達也さん
    「すごい!」

    水野樹君(9)
    「オンテナがブルブルして おもしろかったし、楽しかったです!」

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    本多達也さん
    「時間的にはどのくらい動いていたんですか?」

    宗政にこさん(10)
    「2時間くらい。」

    本多達也さん
    「結構やってるよね。」

    宗政にこさん(10)
    「なんか楽しくなっちゃって。」

    母 和子さん
    「始めちゃうと止まらない。」

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    本多達也さん
    「うれしい。」


    今回の企画に賛同し、この映像を見た星野源さんから手紙が届きました。

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    踊ってくれて、本当にありがとう。最高のダンスでした。
    この数年、歌や曲、音楽を作るときは、あなたのことを考えます。
    僕の音楽が聴こえない人がいる。それを思いながら曲を作ります。
    とはいえ自分のできることは限られている。
    せめて歌詞だけでもと思い、自分のライブ作品には歌詞も MCにも字幕をつける様になり、動画サイトのミュージックビデオにも字幕を表示できる様にしています。
    本当にできることはそれだけなのかと考えていたとき、この企画のお話をいただき、皆さんのダンスを見ました。
    そこにはリズムがあり、音楽があり、ダンスがありました。
    楽しそうで、見ているこちらもウキウキして、とてもとても感動しました。
    僕は、あなたが踊っている時の表情、動き、笑顔を忘れません。
    音楽をやっていてよかった。
    僕の曲をきいてくれて、踊ってくれて、本当にありがとう。
    星野源より
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    聞こえても、聞こえなくても、楽しく踊ろう!踊れるよ。
    本多さん、emiさん、星野さんからのメッセージです。

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