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ろうを生きる 難聴を生きる「緊急事態宣言 私たちにできること」※字幕スーパー

    新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言後、ろう・難聴者の暮らしに、さらに大きな影響が広がっています。番組では、緊急アンケートを実施。全国各地の当事者の方から集まった、いま直面している悩みや困り事、また、逆境を乗り切る知恵や工夫を紹介します。さらに、ろうの専門家とオンラインでつなぎ、悩みを解決できる方法を考えていきます。

    出演者ほか

    【出演】江副悟史,【ゲスト】弁護士…田門浩,宮城教育大学准教授…松﨑丈,看護師…皆川愛

    番組ダイジェスト

    緊急事態宣言 私たちにできること

    感染拡大が続く、新型コロナウイルス。16日、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されました。
    番組で、ろう者・難聴者を中心にアンケートを実施したところ、400件を超える回答が届きました。

    「生活の中で、ろう者が困難を感じることがあちこちで起きており、私も困っています。」

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    「もし、これからコロナウイルスが長くつづいたら、情報を得られる人と得られない人で格差が必ず出てくる。」

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    不安、孤立感、つながりたいという思い―
    アンケートをもとに、2週にわたって番組をお届けします。

    「今 学校に行けず、友達とたくさんおしゃべりできず、ストレスを感じてます。でも今は我慢!コロナに負けずに頑張るぞ!」

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    日本ろう者劇団 代表 江副悟史
    「司会をつとめる、ろう者の江副悟史です。新型コロナウイルスによる影響が大きくなっている今、全国のろう・難聴者はどのような状況におかれているのでしょうか。番組に寄せられた434人の声をお伝えするとともに、これから私たちは何ができるかを考えます。皆さん、感染の不安などを抱えていらっしゃいましたが、『聞こえる人とは違う事情で困っていること』についてアンケートしたところ、このような悩みが浮かび上がってきました。1位 コミュニケーションの不安、2位 情報が入手できない、3位 オンライン(会議・講義など)になって内容がつかめない。」

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    江副悟史
    「今日はこうしたお悩みについて、当事者や専門家の皆さんと一緒に考えていきます。弁護士の田門浩さん(左)。聴覚障害者のコミュニケーション問題に詳しい、宮城教育大学 准教授の松﨑丈さん(右)。そして、アメリカからのご参加もあります。看護師であり、ギャローデット大学院に日本財団の奨学金を得て留学中の皆川愛さん(真ん中)。よろしくお願いします。」

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    江副悟史
    「アンケートを見ますと、『コミュニケーションの不安』の中でも、特に『実際に感染した場合』について強い不安の声があがっています。」

    50代 ハーフさん
    “PCR検査結果を待っている。陽性だったら意思を伝えるのが困難。医師の声も聞くこともできないだろう。入院中、通訳をお願いできる環境を!”

    看護師 ギャローデット大学・大学院 皆川愛さん
    「もし新型コロナウイルスに感染した場合、(医療現場もバタバタしていて)通訳が依頼できないことがありえます。ろう者ができることは、コミュニケーションの希望を、例えば通訳・筆談・音声認識など はっきりと伝えることです。」

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    皆川愛さん
    「一つの例として このようなものがあります。これは『指さしボード』ですね。症状などをイラストにしたものです。体調や気分を表す『程度』を指さすことによって、(症状の)『重い』『軽い』などを伝えることができるようになっています。」

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    江副悟史
    「ろう者にとっては、これを使って意思を伝えることができるんですね。松﨑さん、どうですか?」

    宮城教育大学 准教授 松﨑丈さん
    「そうですね。国からの協力も必要だと思います。以前、東日本大震災の時には、厚生労働省から、避難所における ろう者・難聴者のための情報保障・コミュニケーション支援について周知を求める事務連絡が出されました。今回も同じような方法が必要だと思います。」

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    20代 たかほまれさん
    “0570で始まる相談窓口では、電話リレーサービスが使えず困る。”

    江副悟史
    「(相談窓口で)電話対応しかないというケースについて、法律の面からはいかがですか?田門さん。」

    弁護士 田門浩さん
    「日本には『障害者差別解消法』があります。行政機関などでは、合理的配慮をする法的義務が定められています。保健所では電話だけではなく、メールやSNSで相談を受けることができるように整備しなければなりません。」

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    松﨑丈さん
    「行政機関だけではなく、現場にいる人たちが ろう者・難聴者の困っていることを知る必要があります。そのためにも、ろう者・難聴者の立場からSNSでいろいろな発信をしていくことが大切だと思います。」

    江副悟史
    「一方、手話通訳を頼んでもいいのか心配する声もあがっています。」

    40代 meggさん
    “いつも病院に行く際、手話通訳士を伴うが、この時期に頼みづらい。通訳士もマスクを外したくないはず。”

    田門浩さん
    「現在、厚生労働省が遠隔手話サービスを利用した意思疎通支援の強化のために、6億円の予算案を提出しています。法律的に見ても、こうした環境整備は歓迎すべき動きであり、今後 遠隔手話通訳の体制を整えていくことが急務だと考えています。」

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    江副悟史
    「いろいろな体制の整備が求められますが、実際に罹患した場合 どのような対応になりそうか、現場に詳しい方に話を伺いました。伊丹市の病院で看護部長をつとめた 江木洋子さん、コーダの手話通訳者です。VTRをご覧ください。」


    手話通訳者(市立伊丹病院 元看護師) 江木洋子さん
    「症状があったときには、手話の派遣のコーディネーターさんのところにファックスかメールで連絡が入る。(コーディネーターが)最寄りの病院にお電話をされて、『どういうふうにしたらいいのか』という判断をお聞きして、それを依頼された ろう者の方に返事をする。」

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    入院したらどうなる?

    江木洋子さん
    「コロナになったら(医療関係者は)防護服を全部(身につける)、そしたらもう顔の表情も分からないし、それ以上に『自分はコロナなんだろうか』ってすごい不安で、高齢者の方は字を見ただけではイメージができない方もいるので。例えばですけど、やっておられる病院もあると思うんですけど、私ちょっと描いてみたんですけど、『点滴』って書いて、『点滴』っていうのはこういうことですよって見て分かるようにすると、『こんなカードまで持ってきてくれた』って思うだけでも安心できるんじゃないかなって思います。」

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    現在、病院での手話通訳は?

    江木洋子さん
    「市立伊丹病院の場合は(病院に常駐する通訳者は)フェイスシールドで通訳をされていると聞いています。伊丹市は聴力障害者協会婦人部の方が作ってくださった透明のマスクがあるので、これを今日は使いました。つけてみましょうか。こんな感じで、ぴっちりと隙間がないようにできているので ありがたいなと思います。」

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    伊丹市では、市の聴力障害者協会のメンバーが透明マスクを手作りしました。市販の材料で作ることができます。
    詳しい作り方は、YouTubeチャンネル「ItamiCity PR伊丹市広報課」より「手作り透明マスクの作り方」動画をご参照ください。

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    江副悟史
    「VTRを見て、まず田門さん、感想はいかがですか?」

    田門浩さん
    「私は弁護士という職業上、法律に関してはいろいろな相談を受けます。対面して話すときに表情は非常に大切です。医療現場と同じだと思います。透明マスクというものがあれば非常に助かるなと思います。」

    皆川愛さん
    「医療現場では(ろう者でも聞こえる人でも)患者は次に何が起こるのかが分からず、不安です。医療関係者は(自分が)分かっているから説明する必要がないと考えず、(次に何をするかを 患者に)きちんと伝えることが大切だと思います。」

    松﨑丈さん
    「透明マスクですけれども、東日本大震災の時に避難所などの受付で透明マスクが無く、困ったことがありました。こうした透明マスクは必要だと思います。手話通訳者の健康を守るためにも、通訳の質を落とさないためにも非常によいことです。これから、さらによい透明マスクが開発され、普及すればよいと思います。」

    江副悟史
    「ありがとうございました。」

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    江副悟史
    「今回、英語でのお便りもいただきましたので ご紹介します。」

    40代 Gentlemanさん
    “日本では、ビデオ・リレー・サービスが普及していないため、病院や銀行の予約が難しいです。そしてASL手話通訳を見つけるのは さらに大変です。”

    江副悟史
    「また、動画でメッセージをくださる人もいました。その中から休校中の子どもたちへのビデオレターをご紹介します。」

    奈良県立ろう学校
    「みなさん元気ですか?コロナウイルスの影響で休みが続いていますが、大丈夫ですか?ちゃんと手洗いしていますか?検温していますか?」

    「コロナの影響で外出できなくなってつらいけど我慢。今度みんなが登校するのを先生たちは待ってるよ。」

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    「みんな、先生たちのメッセージ届いたかな?今みんなに会えないけど、でも 心はひとつ!」

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    江副悟史
    「ろう学校でも在宅勤務が進んでいますが、子どもたちの不安を少しでも和らげたいと、必要なときに学校に来た先生たちがメッセージをくれました。ありがとうございます。
    最後に、今回お便りの中で、情報が届かない不安の声をたくさんいただきました。緊急事態宣言が最初に出された7都府県のうち、埼玉県の知事会見には唯一 手話通訳がついておらず、通訳をつけてほしいとの声が複数寄せられました。そこで今回番組では、県知事に質問を送りました。回答がこちらです。」

    県の聴覚障害者協会から3月10日に要望書も出される中で、対応について尋ねたところ、「関係各所との調整を経て 4月30日の臨時議会に関係予算を提出。議決されれば速やかに手話通訳を配置する」との回答でした。

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    ※関係予算は可決・成立。
    5月1日以降の知事会見などには手話通訳者が同席します。

    江副悟史
    「感染拡大を防ぐためにも、緊急かつ命に関わる情報は視覚的にわかるよう 情報の発信・伝達をお願いしたいです。『ろうを生きる難聴を生きる』でも取り組んでいきます。」

    新着ダイジェスト