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ろうを生きる 難聴を生きる「手話放送ミックス授業編・後編」※字幕スーパー

    Eテレで話題となったドラマ「昔話法廷」。「さるかに合戦」をモチーフに、カニの親子を殺した猿が法廷で裁かれます。この番組の手話放送を元に、ろうの子どもたちと聞こえる子どもたちがミックス授業!後編では、手話通訳を介した話し合いに挑戦!同じ小学6年生同士、それぞれの言語(日本手話と日本語)で、自分の考えを伝え合います。

    出演者ほか

    【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    手話放送ミックス授業編・後編

    手話で拍手しあう聞こえる子どもたちと、ろうの子どもたち。ふだん交流のない小学6年生どうしが一緒に学ぶ特別企画。今日は2週連続放送の後編です!

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    今回、子どもたちは同じテレビ番組を使ってそれぞれ授業をしています。NHKで初めての“手話つき”ドラマ「昔話法廷」。

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    ナレーション
    “裁かれる被告人は、猿。”

    「さるかに合戦」をモチーフにした、ちょっと不思議な物語です。

    子ガニの声
    “僕はあいつを絶対に許しません。”

    猿に柿を投げつけられ、家族を殺されたカニは、裁判で「猿を死刑にしてほしい」と訴えます。

    一方、猿の妻は声と手話、2つの表現で思いを語ります。


    “生きて償わせてやってほしいんです。”

    手話
    “死ぬまでカニの家族を助け続けさせてやってほしい。”

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    明晴学園
    「なるほど。」

    新城小学校
    「だいぶ重苦しくなってる。」

    初めて見る“手話つき”ドラマ。猿はどうしたら「償える」のか?―

    前編では子どもたちがそれぞれ考えを巡らせ、話し合う様子をお伝えしました。

    新城小学校
    「猿ができることで、料理。」

    明晴学園
    「木を育てる。」

    今日は後編。いよいよ、みんなで集まって話し合う合同授業です。

    明晴学園
    「来た来た!」

    新城小学校
    「こんにちは。」

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    どんな議論が繰り広げられるのでしょうか?

    今回授業を行うのは、私立のろう学校・明晴学園。授業の前に、あるゲームが始まります。

    明晴学園 小野広祐先生
    「象さんゲーム、知ってる?」

    指をさされた人が手で象の鼻を作り、両隣の人が耳を作ります。

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    明晴学園 小野広祐先生
    「遅いな、もっと速く。」

    明晴学園 小野広祐先生
    「このゲームをしたのは、ろう者が日常的に人や物を指さすからです。聴者(聞こえる人)のみんなは指をさされて驚かないようにね。話し合いのときに指をさされたら、『どうぞ話してください』という意味です。」

    スムーズに話し合いを進めていくためのルールを学んでいきます。

    明晴学園 小野広祐先生
    「声でも手話でも、発言を終えるときには“終わります”の手話をします。」

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    さあ、いよいよ授業開始。手話通訳を通じて、お互いやりとりをしていきます。

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    今回、話し合うのは猿の妻のこのセリフについて。

    猿の妻の声
    “本当に後悔しています。ですから、どうか生きて償わせてやってほしいんです。”

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    猿は柿を投げつけ、カニの親子を無残に殺してしまいました。それを許せない、残されたカニの長男。猿にはどんな「償い」ができるのか考えます。
    実は猿の妻のセリフは、手話では声よりも具体的な表現になっています。

    手話
    “死ぬまでカニの家族を助け続けさせてやってほしい。”

    この表現を踏まえて考えてきたことを発表。新城小学校の吉楽(きちらく)さんから。

    (新城小学校 1つめの意見)

    新城小学校 吉楽悟さん
    「僕たちが話し合って出た1つめのキーワードは、『将来のカニの家族を助ける』です。将来、もしも(カニに)子どもができたときに働いたりして、カニの家族の世話をする(こと)や、カニが年をとったときなどに、介護とかをするっていう面で考えました。えーと、確か…えーと何だっけ?こうだっけ?こっちか!“終わります”。」

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    続いて、明晴学園の森永さん。

    (明晴学園 1つめの意見)

    明晴学園 森永うららさん
    「『柿の木を育てる』です。たくさんの柿の実を育てて、カニの子にあげたらいいと思ったからです。」

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    新城小学校にも同じ意見がありました。

    柿の木は物語の中で、カニの母が最も大切にしていたものです。

    子ガニの声
    “あの柿の木も、僕たちに食べさせようと一生懸命育てていたんです。”

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    新城小学校 山口紗季さん
    「カニの家族は(母ガニが殺されなかったら)そのまま幸せに暮らしたと思うので、柿の木を植えることで、その時間をまたカニの子どもに与えることができると思ったからです。“終わります”。」

    発表が続きます。

    (新城小学校 2つめの意見)

    新城小学校 野口茜寧さん
    「『母の代わりをする』。母がいなくなってしまったから、料理や洗濯など、カニの子ども1人でする必要があるから。そのために猿が手伝うってことで出ました。“終わります”。」

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    (明晴学園 2つめの意見)

    明晴学園 森こころさん
    「『一緒に暮らす』です。できるだけ毎日会って、食事の面倒をみるとか。お母さん代わりのように一緒に暮らすということです。終わります。」

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    この発表に新城小学校の野口さんから意見が出されました。

    新城小学校 野口茜寧さん
    「猿と一緒に暮らすのは、カニはそもそも猿が嫌いだから、一緒に暮らしたらどんどんストレスしかたまらないと思ったから、一緒に暮らすのはやめたほうがいいと思いました。」

    先生
    「カニの気持ちを考えてくれたんですね。明晴のみんなは一緒に暮らせると思う?」

    明晴学園 森永うららさん
    「嫌っていう気持ちはあると思う。でも、カニは家族がいなくて、ひとりぼっちでしょ。だから、お母さんというよりは、おしゃべりとかして、例えばカニのお手伝いさんみたいな…。」

    先生
    「明晴は一緒に暮らすと考えたけれども、新城小からは『カニの気持ちを考えると、それはどうかな』という意見が出ましたね。確かにそうですね。」

    (新城小学校 3つめの意見)

    続いてまた、両校に共通した意見が出ます。

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    実は裁判の中で、事件の後、猿が残されたカニの長男に仕送りをしていたという事実が明らかになっていました。

    弁護人
    “仕事帰りに工事現場でアルバイトをして、毎月5万円ほどを工面していました。”

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    新城小学校 上田丈さん
    「猿がカニに学費とか病院代とか出し続けるという案が出ました。」

    明晴学園
    「なるほどね。」

    新城小学校 上田丈さん
    「『死ぬまでカニの家族を助け続ける』ということは、やっぱり生活を助けるということなので、生活を助けるためにはお金が必要です。そのためには、猿がカニにいろんなお金を出し続けることがいいんじゃないかと思いました。“終わります”。」

    先生
    「カニに必要なお金は何ですか?新城小は具体的に学費と言ってくれたけど。」

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    明晴学園 安田拓海さん
    「欲しい物を聞いたら、すぐに買ってあげる。終わります。」

    新城小学校 吉楽悟さん
    「お金を送り続けるといって、すぐに物が手に入るって言ったんですけど、もし、それをやったら、カニがダメになるような気がして。」

    明晴学園 安田拓海さん
    「(新城小の意見に対して)子ガニは遺影を持って裁判に来ていましたよね。遺影を粗末に扱うようなカニならダメになってしまうかもしれないけど、大事そうに遺影を抱えているので、すごく真面目に見えました。」

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    声と手話による初めての話し合い。最初は緊張気味でしたが、次第に、自分たちの意見を活発に出し合えるようになっていました。気になる意見に質問も飛びます。

    新城小学校 野口茜寧さん
    「『お母さんのロボットを作ってあげる』という意見が(新城小には)なかったんですけど、どういう意味で作ったんですか?“終わります”。」

    明晴学園 森こころさん
    「これは、お母さんがいなくなって、すごくさみしい思いをしているので。でも、猿と一緒に暮らすのは嫌だと思うから、すごく進んでいるAIの技術で、本物のお母さんのようなロボットを作ってあげたら、お母さんといるようで安心すると思いました。」

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    先生
    「お互いの意見を聞いた感想を教えてください。」

    明晴学園 安田拓海さん
    「お互い自分の学校では思いつかなかった意見が出てきて、新しい発見がありました。」

    授業の後、この機会にお互いの日常についても話してみることに。

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    明晴学園 安田拓海さん
    「お母さんがライトで知らせる目覚ましを使ってて、それがすごい光で驚いた。」

    「あるある。」

    新城小学校
    「ピカッ。」

    新城小学校 上田丈さん
    「俺は音楽を聴いて寝る人なんですけど、お母さんのやってる作業の音が聞こえて寝られないときがあるんですよ。それを遮断して寝られるようにするために(音楽を聴いて寝る)みたいな感じです。」

    明晴学園
    「なるほどね。」

    新城小学校 野口茜寧さん
    「お父さんがイビキうるさくて、お兄ちゃんが『寝られない』とか言って、『毎日 夜中 起こされてる』って言ってた。」

    明晴学園
    「2段ベッドが揺れるくらい歩く振動がうるさいときがあるよ。」

    「私はないよ。」

    新城小学校
    「ああー。」

    日常の中で違うところ、似ているところが次々と話題にのぼります。

    新城小学校 奈良部日菜さん
    「弟がいるんですけど、帰ってきてから食べるのを楽しみにしていたお菓子があって、そのお菓子を先に帰っていた弟に食べられたのがショックでした。」

    明晴学園
    「あるある!」

    「私たちもあるよ!」

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    明晴学園 金子陽音さん
    「私は6人家族で、ろう者は私だけです。家族が声で話していると中に入れなくて、さみしい。ろう者と話したいなって思うときがある。」

    明晴学園 松添菜央さん
    「プールに通っていて、聴者の友だちが2人いるんですが、最初その2人が声で話してて、私はわからなかったんです。しゃべりたくても、私からはなかなか話しかけられませんでした。母に筆談してみればと言われて、紙とペンを持っていったら、筆談で話せるようになりました。」

    先生
    「盛り上がってきたんだけど、時間になってしまいました。」

    明晴学園
    「ありがとうございました。」

    全員:拍手

    明晴学園 森こころさん
    「聴者と会ったことはあるけど、きょうみたいに合同授業で話し合ったのは初めて。緊張したけど、だんだん慣れてきて、全く違う意見もあれば、違うようで実は似ている意見だったんだ!って気付くところもありました。」

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    新城小学校 上田丈さん
    「すごく親近感がわいたというか、やっぱり近いんだなと思って、ちょっとうれしく思いました。こういう人(ろう者)と話せるのは楽しいじゃないですか。手話もっと覚えたいなと思いましたね。」

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    明晴学園
    「また会える?」

    「来年もやろうよ!」

    初めての合同授業。子どもたちにとってかけがえのない時間になったようです。

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