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ろうを生きる 難聴を生きる「聞こえないセンパイの課外授業 難聴の医師」※字幕

    「聞こえないセンパイの課外授業」をアンコール放送。聞こえない学生の多くが抱える“進学や就職に対する不安や悩み”を、さまざまな分野で活躍する聞こえないセンパイが解決します。今回のセンパイは、難聴の医師 狩野拓也さんです。患者の命を預かる医療の現場で培った“聞き間違いなどミスを防ぐコツ”を伝授します。聞こえる人も参考にできるヒントが満載です。夢を実現するための、白熱した授業の模様を放送します。

    出演者ほか

    【出演】狩野拓也,【語り】高山久美子

    番組ダイジェスト

    聞こえないセンパイの課外授業 難聴の医師

    「(聞こえる人に)イジメられるとか、大学に行きたいけど、悩んでいます。」

    「聴者(聞こえる人)と同じ仕事を任されたとき、一緒にやっていけるか不安です。」

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    聞こえない学生たちが抱く、進学や就職の悩み−、先輩たちが解決します!
    聞こえないセンパイたちの課外授業。社会で活躍する、ろう・難聴者が、子どもたちに独自に編み出したスキルを伝える新シリーズです。
    第1回に登場するのは、難聴の医師、狩野拓也さん、27歳。愛媛大学病院の耳鼻科に勤務する若きドクターです。

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    さらに、デフリンピックのバレーボール日本代表、キャプテンとしても活躍する、まさに文武両道!

    先輩と生徒の白熱した授業が始まります。

    狩野拓也さん
    「確かに僕たちは耳が聞こえないけど、持っているものはたくさんあります。」

    聞こえない人、そして聞こえる人にも、ためになるヒントが満載です!

    シリーズ第1回の舞台は、狩野さんの地元にある、広島南特別支援学校。日本にまだ10人ほどしかいないといわれる、聞こえない医師の授業が始まります。

    狩野さん
    「ちゃんと言いたいことが、うまく伝えられるか不安ではあるんですけれど、少しでも子どもたちが、今後、生きていく上で何か助けになるような、支えになるようなメッセージが送れたらいいかなと思っています。」

    白衣をまとい、いざ生徒たちのもとへ!
    参加するのは、ろう学校の中・高生10人です。

    狩野さん
    「お願いします。
    僕の名前は、狩野拓也と言います。よろしくお願いします。僕も生まれつき難聴です。」

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    口話での授業を手話通訳がサポート。まず、生徒たちに将来の夢を発表してもらいます。

    狩野さん
    「お金を貯めて海外旅行?」

    山田さん(高2)
    「アメリカのニューヨークに行きたいです。」

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    麻生さん(高1)
    「(卓球で)デフリンピックに出るために、ユースとかいろいろ。ユース代表になるために今、大会で頑張ってます。」

    佐々木さん(中3)
    「医学が好きです。」

    狩野さん
    「医学?看護師さん?」

    佐々木さん(中3)
    「はい。」

    これから夢を実現するために必要なことを伝授していきます!

    2限目

    狩野さん
    「僕から皆さんに、何か単語を言います。それを何と言ったか、書いてください。」

    まずは口の動きを見て単語を当てるクイズ。これと夢の実現に、一体どんな関係が…?

    狩野さん
    「1問目『スイカ』。」

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    狩野さん
    「正解は『スイカ』。おおむね正解。」

    ここからは狩野さんの声を消します。視聴者の皆さんも予想してみてください。

    狩野さん
    「???」

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    狩野さん
    「答えは『つばめ』。皆さん正解。」

    (拍手)

    狩野さん
    「最後、これ、ちょっと難しい。5文字行きます。
    ?????
    聞こえたように書いてみてください。
    じゃあ、皆さん答えをどうぞ。
    一人だけ正解!」

    正解したのは、看護師が夢の佐々木さん。

    狩野さん
    「鼻にある、できものを取るための道具。鼻鉗子(はなかんし)。」

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    狩野さん
    「最後の問題、難しかった人。どうして難しかったと思いますか?」

    麻生さん(高1)
    「初めて聞く言葉だから。」

    狩野さん
    「お、すばらしい。
    スイカの『ス』と、ツバメの『ツ』、多分、僕たちは聞き取れないはず。でも、なんでみんな正解したか。『スイカ』っていう単語を知っているから。『鼻鉗子』っていう言葉を知らないから、皆さん聞き取れなかった。何が言いたいかって言うと、知識ってすごく大事なんです。僕たちは聞こえない。会話を完璧に聞き取ることが、ほぼできない。何で埋めるか。知識で埋めていくしかない。これから大人になっていくにつれて、とにかく、いろんなことを勉強してください。みんなに言いたいこと、伝えたいこと。『予習』が大事。知識を持っておくのが大事。」

    狩野さんが伝授する夢、実現のためのスキル=「予習」。職場で行われる「カンファレンス」では、難しい専門用語が飛び交います。

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    「これ、どこを切開するの?」

    「仮声帯(かせいたい)あたり。声門上(せいもんじょう)の所、切ってほしい。迅速、出しながら。」

    マイクで補聴器に音を飛ばしていますが、正確に聞き取るのは至難の業です。こうした場面で「予習」が生きてきます。議題に上がりそうな用語を覚えておくことで、読み取りをスムーズにしているのです。

    狩野さん
    「手術でいうと『咽喉頭食摘 腹直筋皮弁再建(いんこうとうしょくてき ふくちょくきんひべんさいけん)』というのがあるんですけど、初見では、聞き取れなかったんですけど、勉強すれば、完全には聞き取れなくても、どういうことを論じているか聞き取りやすくなると思います。」

    3限目

    続いては、文章を正しく伝える伝言ゲーム。

    狩野さん
    「皆さんが普段、使っている方法で伝言、伝えてください。
    はい。OK?覚えた?」

    山田さん(高2)
    (手話)「120円のチョコレートと312円のクッキーを買った。」

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    日頃、学校で使っている手話で伝えます。

    狩野さん
    「正解発表をどうぞ。
    おしい!」

    慣れたやりとりのはずなのに、ところどころ間違いが…。

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    狩野さん
    「今度は何回聞き返してもOK。けど、今度は口話で、あえて厳しい条件で行きます。
    長い。」

    麻生さん(高1)
    「桃太郎と金太郎と…。」

    佐々木さん(中3)
    「もう1回言って。」

    麻生さん(高1)
    「桃太郎と金太郎とピコ太郎。」

    佐々木さん(中3)
    「ピコ太郎?」

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    麻生さん(高1)
    「遊んでいる。」

    狩野さん
    「OK。
    どうぞ。」

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    なぜ今回は正解できたのか?そこに社会で活躍するためのヒントが!

    狩野さん
    「これから君たちは社会に出ていきます。自分ひとり聞こえない人が、ぽつんと聞こえる人の中に入っていくことが、ほとんどです。その中で、大事な僕からのアドバイス、メッセージがあります。何だと思いますか?」

    佐々木さん(中3)
    「挑戦?」

    狩野さん
    「挑戦、いいね。」

    山田さん(高2)
    「積極的に行動すること。」

    狩野さん
    「僕が思うアドバイスはこれですね。『復唱』すること。何回も繰り返し確認していた。こうですか?こうですか?ってね。それが正解の要因になったんじゃないかなと思います。」

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    患者の命を預かる仕事をする狩野さん。聞き間違いによるミスは許されません。そこで日頃から徹底しているのが「復唱」です。

    狩野さん
    「処方、何にされますか?」

    「半夏白朮天麻湯(ハングビャクジュツテンマトウ)。」

    狩野さん
    「半夏白朮天麻湯で。」

    「はい。」

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    「14日。」

    狩野さん
    「14日。2週間分ですね?」

    「2週間。」

    自分の頭にも確実に入り、周りのスタッフの安心にもつながります。狩野さんが医師を目指すようになった原点は中学時代。授業中、聞き取れない内容を、友達に教えてもらううちに“ある思い”が芽生え始めます。

    狩野さん
    「やっぱり人の助けを借りていかないと、僕は学校生活が送れなかった。友達にも、ものすごい助けてもらった。それはもちろん、ありがたいことだけど、助けられているだけの関係に僕はすごくもやもやした気持ちを感じていた。僕も人の役に立ちたいと。」

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    そんな時、体育の授業で負った骨折を治してくれた医師に憧れを抱きます。そして猛勉強の末、夢を実現したのです。そんな狩野さんが、最後に生徒たちにあるプレゼントを渡しました。

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    狩野さん
    「パズルのピースって、必ず欠けているところがあります。人間って誰しも苦手なこととか、不得意なこと、できないこと、あります。僕たちの場合は耳が聞こえない。誰かに、ここの欠けたところを埋めてもらわないといけない。と同時に、パズルのピースには必ず出っ張っている所があります。これは、その人の持つ良いところ、できるところ、確かに聞こえないけど、自分が人に対して何をしてあげられるだろう。私は何ができるだろう。それをまず1つ考えてみてください。つらい時があっても、必ず君たちの助けを必要とする人たちがいる。君たちを待っている人たちがいます。そのことを覚えておいてください。」

    自分が持つ「聞こえない」という経験こそが、強みになるのではないか−。そう考え、狩野さんは、耳鼻科の専門医になる道を選んだのです。

    狩野さん
    「完成した!」

    (拍手)

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    佐々木さん(中3)
    「難聴でも大丈夫という言葉を頂いて、やれるんだと思いました。」

    「(大学進学を)諦めて就職することに決めたのですが、何年か後に大学に行きたいと思うようになりました。」

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    それぞれが持つ可能性を信じて、夢に向かって突き進んでほしい−。狩野さんが生徒たちに送るメッセージです。

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