生命操作 -復刻版-

ケーススタディ30例

22 「私の臓器を売って何が悪い?」

移植用の臓器が不足するなかで、一部の国で、本人の同意のもと臓器とひきかえに金銭の授受がおこなわれてきた。

長年、インドは「腎臓の倉庫」と言われてきた。
1994年まで、インドには臓器移植を制限する法律が存在しなかったため、貧しいひとが、二つあるうちの一つの腎臓を売るということがおこなわれていた。1990年NHKが取材したときは、腎臓が20万円、その男性の年収の5倍の金額だった。

1994年インドでは、臓器売買を禁止する法律制定をおこなった。
しかし、こうした法律を制定してしまうことによって、臓器売買が闇で成立してしまうという反対もあった。反対者の中には腎臓移植を受けた患者でつくる団体も含まれていた。この団体には約120人が加入しており、内65%が他人から腎臓提供を受けた人である。
実際、その後も、姉の結婚資金のために腎臓を売った男性の話が新聞に載るなど、臓器売買の話はあとをたたない。

1998年の時点で、フィリピンでは臓器売買を取り締まる法律はなく、腎臓を提供するとき、親や兄弟姉妹だけでなく友人からの提供もよいとされ、善意の提供なら謝礼として金銭が支払われても、あくまで当事者どうしの問題とされていた。当時、マニラのスラム街のある村では、150人以上の人が、現地のブローカーの斡旋で腎臓を提供し、謝礼は30万円だった。2007年には、フィリピンにおける臓器移植の約半数は外国人のためのものだったという報道もあった。その後、2008年に外国人への生体ドナーからの臓器提供を禁止する法案が出され、2010年6月より施行されている。

一方、臓器の売買とは異なるが、中国では、長い間、死刑囚からの臓器提供を行ってきた。しかし、2014年12月、中国臓器提供・移植委員会の黄主任が、翌年の1月1日から全面的に停止することを明らかにした、と中国メディアが伝えている。

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