生命操作 -復刻版-

ケーススタディ30例

15 「わが子の臓器を役立てたい」

お腹の胎児が無脳児とわかったとき、親は何を望むだろうか。

カナダ、オンタリオ州のシャウテン夫妻は妊娠32週のとき、お腹の赤ちゃんが無脳児であることが判明。彼らは医師と相談の結果、生まれてまもなく亡くなる子どもの臓器を移植を必要とする子どもに役立てることにした。1987年10月、赤ちゃんは生まれ、ガブリエルと名付けられた。
生後まもなくガブリエルは、自発呼吸があったにも関わらず、人工呼吸器が取り付けられた。それは臓器を移植のためにいい状態で保つためだった。そして生後2日目、脳死判定のため、人工呼吸器が外され、呼吸のないことが確認された。ガブリエルは、臓器移植のために、人工呼吸器をつけたまま、アメリカ、ロサンゼルス郊外のロマリンダ大学医療センターに運ばれた。
同じ頃、妊娠9カ月のアリス・ホルク夫人がカナダのバンクーバーからロマリンダ大学医療センターに到着した。胎児は先天的な心臓形成不全症候群のため、生まれてもその日のうちに死亡するだろうと診断されていた。
ガブリエルの心臓摘出手術にあわせて、アリス夫人から帝王切開により、赤ちゃんが取り出された。名前はポール。すぐにポールへの心臓移植手術が始められた。生まれて8時間後には、ガブリエルの心臓はポールの胸の中で鼓動を始めた。

この後、ロマリンダ大学では12件、無脳児からの臓器提供がおこなわれようとした。しかし、一週間以内に脳死判定されたのは2人だけで、その2人の臓器も移植に適さない状態になっていた。脳死判定を待てば、移植に適した完全な臓器を摘出することは難しいことが判明した。以降、ロマリンダ大学では、無脳児からの臓器提供はおこなわれていない。

無脳児は、臓器提供者として認められるのでしょうか。

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