生命操作 -復刻版-

ケーススタディ30例

06 「子宮を貸すビジネス」

アメリカには代理母を斡旋する業者が数多く存在し、子どもを産めない女性にかわって子宮を貸し、子どもと引き替えにお金を受け取る代理母ビジネスが認められている州がある。
1987年、バージニア州カンバーランドに住むデニス・マウンスさん(24才)は、約8000ドルの借金の返済に困り、ミシガン州ジャクソンにある代理母斡旋業者ジーンサーチ社の広告に応募した。彼女は、依頼人の夫の精子を人工授精して妊娠したため、生まれてくる子どもの産みの親であり、遺伝的な親でもあった。
デニスさんは代理母契約をする数年前に、心臓の治療を受けていた。そして、彼女は妊娠8カ月のときに心臓の具合が悪化し、病院で診察をしてもらった。心電図の検査には250ドルが必要となったが、斡旋業者ジーンサーチ社は、料金の支払いを拒否し、また当時お金に困っていたデニスさんには支払うことができず、結局心電図の検査は受けられなかった、と後に母親のパトリシア・マウンスさんは語った。その後まもなく、デニスさんはアパートで死んでいるのが発見された。死因は心筋肥大だった。
デニスさんの母親は、斡旋業者ジーンサーチ社と診察した医師を相手取り、契約によって約束されていた出産前の代理母への医療ケアを十分におこなわなかったとして、訴訟を提起したが、後に取り下げた。
このケースは、報酬を目的に、健康に不安をかかえた女性が、代理母になったことから起きたと考えられる。

女性が、他人の子どもを妊娠・出産するために子宮を貸す「代理母」は認められるでしょうか。また「代理母」を引き受けることで、その女性の身体に起きる危険は、誰が責任を負うのでしょうか。

クローズアップ現代「急増 代理出産~規制と現実のはざまで」2014年9月30日

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