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どうやって抜けだす? 「回復」に必要なもの

今まで一人で苦しんできたのではありませんか?

「不健康なとらわれを必要としない生き方」を作っていくためには、どうすればよいのでしょうか?
その方法は一つではなく、人によって合うやり方もそれぞれです。しかし、絶対に欠かせないのは、「正直に言える場所があること」「孤立しないこと」です。

正直に言える場所とは、アディクションに関する「本音」を話せる場所のことです。「またやってしまった」「やめてるけど辛い」「やりたくてたまらない」「やめたくない」「やって何が悪い」「もう死にたい」など、本当の気持ちを打ち明けても責められたり叱られたりせず、そのまま受け止めてもらえる「安全な場所」のことです。
代表的なものとしては、自助グループ(セルフヘルプグループ)が挙げられます。当事者会、ピアサポートグループなどとも呼ばれます。アルコール、薬物、ギャンブル、摂食障害など、同じ問題を抱えた人たち同士が出会い、ミーティングや情報交換を行いながら回復を目指していく集まりです。全国にさまざまなグループがありますので、インターネットなどで検索してみるとよいでしょう。
また、医療機関行政機関民間のカウンセリングセンターなどでは、心理相談やさまざまなプログラムを行っています。NPO法人支援団体で電話相談やミーティングを行っているところもあります。

こうした安全な場所で、思っていることを何度も言葉にしていくことで、自分の抱えてきた「生きづらさ」の輪郭が少しずつ見えてきます。そのためには、誰かに話を聞いてもらったり、共感してもらったり、受け止めてもらったりすることが必要です。
また、同じくらい大切なのが、似たような苦しみを抱えた人の話をたくさん聞くことです。そのことによって、自分の抱えてきた「生きづらさ」をどんな言葉で表現すればいいのか、少しずつ掴めてきます。何よりも、「こんなふうに苦しんできたのは自分だけじゃない」と感じられること、同じ苦しみを抱えてきた人に気持ちを分かってもらえることは、生きるための最大の支えになるといっても過言ではありません。そうした意味でも、自助グループなどを通じて、本音で語り合える「仲間」を得ることはとても大切です。

そして、こうした場所や方法を一つではなく、たくさん持っている人の方が回復しやすいと言われています。アディクションを必要とするのは、生き抜くためにそれしか依存するものがなかったからともいえます。逆説的な言い方ですが、「依存から回復する」ということは、「依存先をたくさん増やしていく」ことなのです。

あなたは今までたった一人で苦しんできたのではないでしょうか?
そして、誰にも分かってもらえず、心を閉ざしてきたのではないでしょうか?

最後にもう一度繰り返しますが、アディクションに苦しむ人に必要なのは「叱責」や「処罰」ではありません。必要なのは「助け」なのです。
あなたを助けてくれるところはたくさんあります。最大の「自分を大切にしないこと」は、辛いときに誰にも助けを求めないことです。辛いときに助けてほしいと言うことは、弱いことでも恥ずかしいことでもありません。

どうか勇気を出して、誰かとつながってください。
そして、あなたが今よりほんの少しでも心穏やかに生きられるようになることを祈っています。