朗読に参加した声優のみなさんからのメッセージ

梶 裕貴さん
 今回、「NHKハート展2020」に読み手として参加させていただき、とても光栄です。書かれている中で生まれたであろう楽しさや悲しさなど、作詩者の方々のさまざまな感情を想像しながら読ませていただきました。どの詩も、読んだ人間の想像力が掻き立てられる、本当にすてきな作品ばかりでした。
 詩をいただいてから、1つ1つの作品の世界を自分の中でイメージして、準備をしてきました。「あさのおと」は、詩に表現されている情景を、読む人が自由に想像して楽しめる作品で、とてもおもしろかったです。「オノマトペ」は、最初、かわいらしい雰囲気の作品だなと思っていたのですが、現場で「後半部分に作詩者の丸山勇希さんの強い意志が込められている」とお聞きしてからは、まったく違う印象に変わりました。読み手として、丸山さんの心の叫びを“声”という形でも伝えられたら、という気持ちで、最後の一文を読ませていただきました。

 今まで、詩を朗読させていただく経験はあまりなかったのですが、“語感”や文章の“間”などに隠されている作詩者の方の思いや人生を、体と心で感じながら表現することは難しくもあり、とても楽しかったです。

 そして、書き手や読み手の年齢や性別によって感じ方が違うからこそ、さまざまな感性が生まれ、その違いすらも魅力になっていくのであろう詩の世界は、本当にすてきなものなんだなと、強く感じました。そんな魅力的な詩の世界を、朗読という形で、みなさまにお届けするお手伝いができていたらうれしいです。ぜひ「ハート展」で、作詩者の皆様の思いを感じてみてください。

梶 裕貴
東京都出身。2004年、声優デビュー。主な出演作はTVアニメ「進撃の巨人」エレン・イェーガー役、「七つの大罪」メリオダス役など。2012、2013年度と2年連続で声優アワード主演男優賞を受賞。

神谷 浩史さん
 人の気持ちを動かすコンテンツの根底にあるのは想像力だと思います。作詩者の方は、年齢も性別も障害もさまざま。ですから、実際に作詩者の方が書かれた文字を見て素直な気持ちで想像力を働かせて朗読してみました。直筆の文字からは作詩者の方のパーソナルな印象が伝わってきて、その方のプロフィールとともに、詩が書かれた背景のイメージを膨らませてくれました。

 朗読させていただいた作品の中でも特に、子どもが書いた詩は物事の感じ方が面白かったですね。秋元那由汰さんの「すうがく」の、数学を詩にする発想は新鮮ですし、最後の「ピーンとのびる」というフレーズに、背筋を伸ばして何かに向かう姿勢っていいなと共感します。また、細見悠尋さんの「わたりろうかにいたバッタ」は、自分の生活テリトリーに現れた虫を大人とは違った視点で捉えていると感じました。お母さんのひと言で外食を連想する感性って子どもらしいですよね。
 とはいえ、子どもが書いた詩でも大人っぽく感じられるものがあったり、その逆もあるので、年齢や性別など作詩者の方の情報は念頭に置きつつも、朗読の際は詩から受けた印象をフラットに捉えて声に乗せたつもりです。みなさんがご覧になる展示作品の印象を補えるような朗読になるよう心がけたので、みなさんも素直な気持ちで受け取っていただければうれしいです。

神谷 浩史
千葉県出身。1994年のデビュー以降、声優、歌手、ナレーターとして活躍。TVアニメ「夏目友人帳」シリーズの夏目貴志役、「進撃の巨人」のリヴァイ役など、人気アニメの主要キャストを数多く担う。

高山 みなみさん
 初めて10編の詩を読ませていただいたとき、とってもストレートで飾らない言葉が、ハートに直球で届くなと感じました。どれも気持ちのいい詩ばかりでした。
 また、ご家族への思いが伝わってくる作品が多かったのも印象的でした。「お母ちゃん」、「お母さん」、「まま」「ぱぱ」「にいに」「あやの」、「妻」などご家族が出てくる詩からは、愛情が伝わってきますよね。特に領家優斗さんの「ままにいって」はかわいい作品で、朗読するのを楽しみにしていたんですよ。
 詩を読むにあたっては、それぞれの作詩者のイメージを大事にしたいと思い、聴く方に情景を思い浮かべていただけるように意識したつもりです。また、詩に書かれた言葉や表現を大事にしつつ、朗読する私自身の感情が作品の世界に入り込みすぎないよう心がけました。作詩者の方が詩を書かれた時の感情があると思うので、聞く方が混乱してしまうかな、と。普段から声優のお仕事で芝居をしているので、入り込み過ぎない読み方はなかなか大変でしたが、そんな工夫を込めて読ませていただきましたので、私たち読み手が声に込めたものをプラスして詩を鑑賞していただければうれしいです。

高山 みなみ
東京都出身。1987年に声優デビュー。以降TVアニメ「忍たま乱太郎」の乱太郎役、「名探偵コナン」の江戸川コナン役、劇場版アニメ「魔女の宅急便」のキキ役など、人気アニメの主要キャストを担当。

水田 わさびさん
 詩を書く方って、天才ですね!一見ストレートに見えていろんな思いが込められていたり、鋭い表現があったり。文字数は少ないのに、作詩者のみなさんの豊かな想像力と表現力で一気に詩の世界に引き込まれました。実は詩の朗読は、小学校の授業以来なんです。なので、「ハートにとび込め!」というハート展のテーマのように、朗読の世界に「えいや!」と飛び込む気持ちで取り組ませていただきました。なかでも、“いつものように”というフレーズが繰り返される、戸谷百花さんの「いつものように」という詩が印象に残りました。新型コロナウイルスにより日常が変わってしまった今、きっとみなさんの心にも残る作品だと思います。また、黒須裕くんの「いつくる?」はユーモアが感じられて、裕くんはとってもポジティブな少年なんじゃないかなと勝手に想像してしまいました。愛と夢と希望があり、まるでドラえもんの世界のようでした。
 どの作品も本当にすばらしくて、私にとっても大きな挑戦をさせていただくことができました。ぜひハート展で、詩を“見て”“聞いて”、詩を書くことや、朗読を好きになってほしいです。特に朗読は、「自分だったらこうする」とイメージを膨らませながら、聞いていただくのもいいかもしれません。算数のように正解はありませんから、自由に楽しんでもらえたらうれしいです。

水田 わさび
三重県出身。2005年4月より国民的アニメ「ドラえもん」でドラえもんの声を担当。他に「忍たま乱太郎」「あたしンち」「ヒカルの碁」など人気アニメで声優を務める。

山下 大輝さん
 それぞれの詩に世界観があって、とてもおもしろかったです!詩の世界にトリップしているような、作詩者のみなさんと一緒に冒険しているような気持ちで読ませていただきました。作品ごとに作詩者のみなさんが見てきた世界が広がっていて、色々な景色が浮かんできました。とても楽しい時間でした!
 思わずクスッと笑ってしまったのが、古田圭さんの「やなおしり」。バスのなかで我慢しきれずおならしちゃうという(笑)、ちょっと恥ずかしい出来事を直球で表現されているところが、とってもかわいいなと感じました。また、久保香奈子さんの「発信」の一節「叫び声が聞こえても驚かないでください。」には、僕も仕事上叫ぶことがあるので、状況や意味合いは違うかもしれませんが、思わず共感してしまいました。
 今回、詩の朗読は初めてだったのですが、絵本の朗読とはまた違って、詩の世界観を狭めないように、感情を寄せるところや客観的に読むところのさじ加減を考えながら読ませていただきました。作詩者の方が一番伝えたいものが何かをくみ取るために何度も詩を読んで、どの程度詩の世界に寄り添えば伝わりやすいかを考えながら読み分けたつもりです。
 詩と向き合うなかで、それぞれの詩に共感したり、こんな世界もあるんだと新しい発見ができたことで、僕自身のアンテナが広がったと感じています。もっと色々な作品を読んでみたいと思いましたし、他の方々がどのように朗読をされたのか、聞くのがとても楽しみです。
 みなさんも、詩を読んだり聞いたりして作品の世界を追体験するなかで、自分なりの共感や発見があると思います。詩の世界と自分自身の何かが繋がっていると感じられる、そんな体験になれば素敵だなと思います。

山下 大輝
静岡県出身。2012年に声優デビュー。TVアニメ「弱虫ペダル」シリーズの小野田坂道役、「僕のヒーローアカデミア」の緑谷出久役、「メジャーセカンド」の仁科明役など、人気アニメの主要キャストを数多く担う。