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夏休みが終わっても #8月31日の夜に。

記事公開日:2022年09月14日

夏休みの終わり、悩む10代の声を受け止めてきたプロジェクト『#8月31日の夜に。』。2022年の夏は新たな試みとして、夏休みの真ん中と終わり、2回の生放送をお送りしました。1夜目の放送後、集まった多くのメッセージを分析してキーワードを抽出。気になった声を元に、ジャングルポケットの斉藤慎二さん、モチベーショナルスピーカーのひかりんちょさん、全国のフリースクールをつなぐNPO法人を運営する前北海さんの3人が、夏休みの終わりのゆううつやモヤモヤを分かち合います。

10代の悩みをキーワードで分析

「学校に行きたくない」「生きるのがつらい」など、悩む10代の声を受け止めてきたプロジェクト『#8月31日の夜に。』。夏休み途中の放送から2週間、番組にはさまざまな投稿が寄せられました。

ろうそくを買った。
夏が終わる前に好きなだけお菓子を焼いて好きなだけろうそくを立てて、夏を無事に生き抜いたことを一人でささやかに祝うのだ。
そうでもしなきゃ自分が憎くなってしまう。
前を向くなんて立派なことできない。頑張らなきゃいけないことも、向き合わなきゃいけないことも、できればずっと無視していたい。
(シマさん・18歳)

夏休みの終わりに10代たちはどのようなことで悩んでいるのか、寄せられたメッセージを分析。多く使われているキーワードを抜き出し、よく出てきたキーワードほど大きく表示しました。

画像(メッセージの分析結果)

学校や人間関係など、10代からの悩みに寄りそう19歳のひかりんちょさんは、分析結果を見て「学校」というキーワードが気になりました。

ひかりんちょ:夏休みの終わりの前ということで、「学校」が大きくなってる。あとは「友達」とか、学校には欠かせない悩みなのかなって思いました。

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ひかりんちょさん

中学生のときの経験を元に、全国のフリースクールをつなぐ活動をしている前北海さんは、ネガティブなキーワードが気になります。

前北:僕が気になるのは「怖い」とか「ストレス」、「涙」。つい「ダメだ、ダメだ」と思っちゃうかもしれないんですけども、そういう気持ちって、得てして自分の体と心を守ってる。特に否定しなくてもいいのかなと思いましたね。

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前北海さん

学生時代にいじめを受けていた経験を公表し、大きな反響を呼んだジャングルポケットの斉藤慎二さん。気になったキーワードは「親」です。

斉藤:自分もいじめられたときに親にも相談できなかった…。子どもは思ってる以上に、親のことを考えてたり、気を使ったり、迷惑かけちゃいけないというのがあるので、僕は「親」っていうのが引っかかりましたね。

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斉藤慎二さん

“自分が嫌い”

8月31日を前にして、10代から届いたメッセージにはいくつかの傾向が見られました。まずは、「自分」というキーワードが含まれた声を紹介します。

自分が嫌い。
なんで生きてるんだろうと最近は常に考えてしまう。
好きな人に好きになってもらったことはないし、見た目も悪い。
妹はスタイルもよくて綺麗なのに、こんな自分が姉だなんて可哀想とまで思う。
面白い話でみんなを笑わせることができるわけでもなく、注目されるのは私じゃない。
無意識に外のストレスを家族にぶつけていることも情けない。
自分のいいところが一つも思い浮かばない。
(つなさん)

ひかりんちょ:自分に対するネガティブさって、どうしても解決できにくい部分だったりする。(自分のいいところを)見つけてほしいですけどね、本当は。

斉藤:そうなんだよね。いろんな人に「自分に自信を持て」と言われても、「私のことなんて分からないし」とか、「どうやって自信持てばいいんだよ」と思っちゃう。

前北:自己肯定感がある子はいいけれど、ない子に対しても「自己肯定感を持て」と、大人は言ってしまう。でも、なかなか自分のことを好きになるって難しいと思います。

画像(スタジオの様子)

斉藤:そうですよね。(自信を持てと)言われてしまうと、それがダメージになって、マイナスに考えてしまったりして。そういうときにどう声をかけてあげるのがいいのか、難しい部分はありますよね。自分がほかの人より優れている何かがあったら、それに向かって一生懸命頑張れるとか、そういうものを自分の中で見つけることができたらとか、いろいろ考えちゃう。結局、何も見つからずに、前に進めずに終わってしまうことってありますよね。

前北:本当にそう思います。僕は「自分が死んだら絶滅だ」と思ってるんですよ。自分のこと好きじゃないかもしれないけど、「僕は僕一人しかいない」と思うようにしてます。いろんな考え方があると思いますけどね。

斉藤:僕も、自分自身に自信を持ったことない。持たなきゃいけないとは思うけど、いまだに自信が持てない。それは昔からずっと変わらない。この先いつか自分に自信を持てる日が来るのかなと思うけど、でもどうなのかなって、分からない部分はたくさんあります。

ひかりんちょ:私も、自分のこと100%好きって思えるときは本当になくて。自分の全部が嫌だって思ったときもある。でも、生きてるだけで、息してるだけで自分は偉いんだって自分に問いかけて、何とか今まで生きてます。

画像(ひかりんちょさん)

斉藤:そう思えるか思えないかで、全然変わってくるけど、思えない子のほうが多いのかな。

学校に行きたくない

続いては、多くの書き込みがあった「学校」というキーワードについて。

クラスメイトや先生とのトラブルは一切ないし、部活にも参加できている。
それなのに、学校へどうしても行きたくない。
幼稚園から高校まで、何年経っても学校に行きたくない。
生きづらい、苦しい、辛い。居場所もあるようでない。
このままではだめだと思っても、自分はなかなか変われない。
学ぶことは本当に大好きなのに、学校に行けない。
学校が嫌いな学生って、どうやって生きればいいの?
(ちあきさん)

斉藤:とくにこの文章から不満はそんなに見つからないと思ったんですけど、学校には行きたくない。大きな理由としては何ですかね。

前北:実は不登校の理由の3割くらいは、なんだか分からないけど学校に足が向かなくなっちゃうとか、朝、起きられなくなっちゃうという子なんですよね。嫌なことが本当はあるのかもしれないんだけれど、言語化まで追いつかない。モヤモヤしていたりだとか、怖いと思ったりだとか、そういう気持ちなんだと思います。

ひかりんちょ:私も中学2年生から中学3年生までは学校に行けなくて、学校に行こうとするとすごく体調が悪くなることがよくありました。でも、先生とか親とかには「行きなさい、行きなさい」みたいに言われて・・・。行けない理由を説明できないけど、どうしても行けないみたいな。

画像(ひかりんちょさん)

斉藤:そうだよね。学校は行かなきゃいけないものであって、ふつうに授業を受けて、先生と何のトラブルもなく、部活も出てる。だけど、「なんで学校に行ってんだろう」って気持ちになっちゃう。どこかで満たされてない部分とか、いろいろな不満が溜まっていたりとか、そういうのがあるんですかね。

前北:いろいろなモヤモヤがあるんだと思います。子どもからすると、学校に行きたくないだけなんですけど、どうしても親や先生、友だちに、相手が納得する理由をしゃべらないといけないですよね。そこがまたつらいんですよ。行きたくないとか、まだ気持ちに整理がついてない段階で、それを強いられるのもしんどいと思います。

斉藤:自分の中で行きたくない理由が明確ではなかったり、なんか学校行きたくない。でもそれを周りに説明することができない、納得させることもできない。だからどうすればいいんだろうと。

前北:そうすると、もう相談ができなくなってしまうんですよね。

画像(前北さん)

斉藤:自分で溜め込んでしまって、誰にも悩みとかを打ち明けられずにいるってことなのかな。

ひかりんちょ:そうですね。分かってもらえないと(自分が)認識しちゃうと、誰にも相談しづらくなると思います。でも、ちあきさんがおたよりで「学ぶことが好き」って言ってくれていたので、「別に学校だけじゃないよ」と言いたいですけどね。

斉藤:学校がすべてではないからね。

「死にたい」気持ちの受け止め方

自分なりの方法で、死にたい気持ちを受け止めて生きる10代の声も届いています。

(以前は)周りが私に抱いているイメージ「やさしい」とか「いつも笑顔で元気で」とかが、私の思ってる自分とか、本当の自分と合わないことが多くて。
そういうのが結構しんどかったりして、すごくずっとうそをついている気がしてて。
この場からとりあえずいなくなりたい、ここじゃない、みたいな感じがあって。
「何を思っているんだろう」とか、「わたしよりつらい人はいっぱいいるし」とか思ってたし、すごく落ち込んでたんですけど。
でもけっこう最近は「思ってしまったらもうしかたがないな」って思ってて、思ってしまったことをなかったことには、自分の中ではできないし。
私がつらいって思ったことは、私がつらいって思ったことだし。
自分が自分の味方でいて、自分の手をしっかり握ってないと、どんどん、引っ張られちゃうっていうか。
自分が自分の味方でいないと、本当にひとりぼっちになっちゃうから。
自分と生きていくなら、やっぱ受け入れるしかないな。
(まり月さん・高1)

学校に行くと、自分が思うようにしゃべったり、動いたりできなくて、すごく緊張して、体がすくんだり、声が小さくなってしまったりして。
学校でうまく生きられないのに、社会に出てうまく生きられるのかなとか思うと、すごく死にたくなる。
でも、死にたさっていうのは、影みたいにいつも自分の隣に居続けるもので、伸び縮みしながら、いつも足元に、気が付いたらあるような、そんな死にたさであり続けると思う。
だからそれを消そうとか、ダメなものだとか、思うのはもうやめて、「死にたい私」が普通の状態、そう思って、生きていくことにした。
(ひかげさん・高3)

斉藤:「死にたい私」がふつうの状態と思っている。絶望的なのかなと思いきや、もう自分の中でそれを受け止めて生きていくしかないんだという。でも諦めという捉え方は、僕はしたくないんですけど。

前北:この2通のメッセージと僕はとても近い。(僕も)自分の弱いところだったり、だめな部分を引き受けてから、ストンと気持ちが楽になったんですよね。ずっと死にたい気持ちとの戦いだと思っていたんですけど、「弱い自分も自分なんだ」と思ってから、すごく気持ちが楽になったんです。そこからもう1回生きていけるという感覚があったので、メッセージを聞いて「うんうん」と思っていました。

斉藤:共感できる部分もすごくありますよね。でも、こういう自分になるまで、けっこう時間がかかるかなって思っちゃったんですよ。乗り越えたわけではないけども、何か自分の中で「こういう生き方をしていこう」っていうものが見つかったのかなとは思うんです。

画像(斉藤さん)

ひかりんちょ:私もこのメッセージに共感したんですけど、もっとラフに「死にたい」って言っていい気がするなと思いました。「死にたい」って言葉にして、自分の気持ちをコントロールできるなら、全然言っていいんじゃないかなって思いますけどね。

斉藤:そうだね。自分が自分の味方でなきゃやっていけないよって。自分が自分の味方でなかったら、もうそれはどうしようもないことですもんね。

前北:そうですね。まず自分を許してあげること。一人で抱え込むのがいちばん良くないと思うんです。弱い自分がいることはすごく恥ずかしいと思うし、僕も全然言えなかったけども、勇気を出して言ってみてほしいと思います。そして言われたときに、「そうだね、今まで頑張ってきたね」って、受け止めてほしいなと思いますね。

画像(前北さん)

斉藤:自分のことを褒めてあげていいと思いますしね。全然恥ずかしいことじゃないですもんね。

それぞれの気持ちを落ち着かせる方法

番組放送中に、たくさんの質問も届きました。

不安になったりしたとき、どうやって心を落ち着かせていますか?
(抹茶さん)

斉藤:僕はお笑いの仕事をしてますけども、お笑いの番組をとにかく見て笑う。あとは、楽屋にいる芸人の仲間とずっとしゃべってるとか。

ひかりんちょ:私も、ずっと誰かとしゃべってるか、逆にヘッドフォンとかつけて、自分の世界に閉じこもるかの二択ですね。真逆なんですけど、そのときによって、っていう感じですね。

斉藤:自分の中では、不安になったときはこうしようって決まってるんだよね。

画像(斉藤さんとひかりんちょさん)

ひかりんちょ:はい。

斉藤:でも、不安だけれども何をしたらいいのか分からない、不安なままっていう子もたくさんいると思うんですよ。

前北:そうですよね。でも、いろんなことをしてみてもいいと思います。それこそ自分がワクワクすることとか、楽しくなること。逆に、すごく前向きなことじゃなくて、つらくもないし楽しくもないくらいでもいいんじゃないかなと思うんですよね。

学校に行くことや、人に会うのがつらいと思うとき、どうやって気持ちを落ち着かせますか?
(みみちゃんさん)

前北:僕は人がだめな時期があった。それこそコンビニの肉まんも頼めないような、そんな時期もあったんです。その後、いい仲間にも巡り合って、何年もかかかりましたけども、ふつうの自分の状況に戻ってこられた。無理にやらなくても(人に会わなくても)いいのかなと思ってます。自分ができることでいいのかなと。

斉藤:僕も誰とも会いたくないと思ったときは、興味ある場所に一人で行きました。誰かと行くと時間とかいろいろ制限されるけど、自分一人だったら自由に行動できる。それで家に帰ってくると、すっきりすることもあるんですよね。思い切って一人で行動して、好きなところに行ってみるのもありなのかなと思うんです。

画像(斉藤さん)

ひかりんちょ:私もけっこう一人で自分のしたいことをする。一人の時間を大切にするっていう感じです。

つらい気持ちを共有する

最後に、元10代から届いた声を紹介します。

8月31日の夜に。
9年前、13歳の私は、この日に死に損なった。
当時、頼れる大人はいなかった。そういう環境でもなかった。
もう何もかもが苦しかった。死ぬ以外考えられなかった。
学校が始まる、その前に死ぬしかないと思った。
だから、夏休みが終わる、その前に死のうとした。

私は良くも悪くも、それ以降生きてこれた。
思いの外、今は子ども達に先生と呼ばれる立場で仕事をしている。
私は何もできないし、助けになれないかもしれない。
それでも、みんなに生きて欲しい。何とかして生きていて欲しい。

今は少しでも、そういう手助けになれたらと思う。
苦しい時、助けになれたらと思う。そういう時、話をしてほしいと思う。

夏が来ると、8月31日が来ると、しんどさでいっぱいになる。
(わっしゅーさん)

ひかりんちょ:今は本当につらい気持ちであふれているかもしれないけど、いつか自分が大人になったときには、死にたいとか、ゆううつな気持ちがもっと軽くなってるのを目標にというか、そのために生きるのもいいのかなって、今日、あらためて思いました。

画像(ひかりんちょさんと前北さん)

前北:僕も生きててほしいとは思うんですけども、死にたい気持ちを良い悪いと言うつもりはまったくないです。そういう気持ちを吐き出せる相手や仲間がもし見つかればいいなと思うし、絶対にいる。とりあえず、つらい気持ちを周囲の誰かに言ってみてほしいと思います。

画像(スタジオの様子)

斉藤:そうですね。僕(が子ども)の頃はこういう場で、同じ気持ちで、みんないろいろ話し合って、吐き出す場所もなかったと思うんですよ。「こうしろ、ああしろ」なんて僕らが言えることはないけれども、結局は自分で最後は決めなきゃいけないけれども、この場を一緒に過ごした空間を忘れないでほしいなと思います。

※この記事はハートネットTV 2022年8月31日放送「夏休みが終わっても~#8月31日の夜に。~」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

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