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あがるアートの会議2021【後編】 アートの力で街づくり!高崎市・川越市

記事公開日:2022年01月27日

アートの力で世の中をいい方向に“あげて”いくために、今年も「あがるアートの会議」を開催。実業家の遠山正道さんや映画監督の安藤桃子さんなど各界で活躍する論客たちが大集合し、街を活性化する方法を徹底討論します。各地で進められているアート活動をさらにあげる方法はあるのか?「人格を持ったショッピングカート」や「お坊さん×ラップ」など、奇抜なアイデアが止まりません!

アートの力で街づくり

群馬県・高崎市の駅前では、音楽イベントが定期的にされています。このイベントの実行委員のひとり、田島圭次郎さんは12年前からさまざまなプロジェクトに携わってきました。田島さんは老舗ホテルの3代目で、「生まれ育った街をもっと盛り上げたい」という思いから活動を続けています。

そして2021年、地元の3つの商店街と協力して、「街の通りにアートなベンチを置く」というプロジェクトを企画しました。

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アートなベンチ

「宿り木になるような、ポケットパークみたいな、そういう集まる場所って少ない。ちょっと座って、おしゃべりしたり、何かできる場所がもっとたくさんあったらいいねというのがきっかけです」(田島さん)

設置されたベンチは35台で、そのうち20台は地元に縁のあるアーティストに制作を依頼。さらに、保育園や小中学校など、地域の子どもたちも参加し、学校も授業の一環として取り組んでくれました。ベンチの上にはQRコードが設置されています。

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ベンチに設置されたQRコード

読み込むと、ベンチの真正面にあるお店の紹介動画が流れ、これを見て気軽にお店に足を運んでもらおうという仕掛けです。

街を盛り上げる活動を続けてきた田島さんが次に企画しているのは、エリア内で自由に使えるショッピングカートです。たとえばマンションや駐車場の入り口など、街の至る所にショッピングカートを設置し、誰もがどこでも使えるというプロジェクトを考えています。

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田島圭次郎さん

「百貨店さん側は自由に使ってもらって構わないとおっしゃっています。街中もそうだし、百貨店から違う百貨店に1つのカートで移動ができたら非常に便利になると感じてます」(田島さん)

ショッピングカートで町を盛り上げる?

田島さんの「ショッピングカート企画」をさらに盛り上げるにはどうすればいいか。アイデアを討論するのは、お馴染みの「あがるアートの会議」メンバー。実業家の遠山正道さん、ホスピタルアートディレクターの森合音さん、福祉事業所施設長の原田啓之さん、高知県からリモート参加の映画監督、安藤桃子さん、そして今年から加わった、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」を率いる双子の松田崇弥さんと松田文登さんです。

さっそく、アイデアが次々と出てきました。

「便利ですよね。ウォーキングにもなりますし。車で行ったら見えない景色も、カートを押して歩くことでいっぱい見えると思う」(森さん)

画像(森合音さん)

「カートを使う距離や重量が計測できたら面白いと思う。カートがゲームみたいになっていると、意外と高齢者も使う。それから子どもやお孫さんとかがゲームができるからと、カートを押してくれるとか。おばちゃんのカートを『僕が押していくよ』みたいな」(原田さん)

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原田啓之さん

「カートに人格を持たせる。カートの両側に30センチくらいの丸いボードがあって、自分の顔を描く。写真を貼ってもいいし。そして、“よしえ”とか“じろう”とか名前もつけて。そうすると、そのカートに人格が生まれて愛おしくなってくる。レア感が出る感じ」(遠山さん)

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遠山正道さん

「このカートの人は話しかけてほしい人ですっていう“話しかけてね”カート。商店街のおばあちゃんがそのカートを押しているだけで話せて、買い物もできるみたいな。そうなったら孤独の解消にもつながるし、百貨店の人たちもどんどん話しかけていけるし」(崇弥さん)

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田島圭次郎さん、松田崇弥さん

たくさんのアイデアが生まれ、田島さんも刺激を受けています。

「新しく町に入ってきた方に、私たちの町をどう思ってもらうかは、すごく大事なこと。商店街の今までの枠組みは取っ払って、いろんな人に関わってもらうことによって“自分事”になる、好きになる、そんなプロジェクトができたらいいなと常々思っています。後押しをしていただきました」(田島さん)

ショッピングカートプロジェクトがどうなっていくのか、これからも見守っていきます!

お寺のアート活動が人々の心を癒やす

川越市にある最明寺の千田明寛さんは、760年の歴史あるお寺でアート活動をしています。境内の至る所に置かれているのは、花手水(はなちょうず)。その美しさにひかれて、多くの人がお寺を訪ねて来ます。

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最明寺の花手水

お地蔵さんはカラフルで、ご朱印は一枚一枚がアート作品のようです。

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最明寺のお地蔵さん

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最明寺のご朱印

こうしたアート活動に取り組むきっかけとなったのは、千田さんが26歳のときに行ったインド留学です。人々の生活に寄り添ったお寺のあり方に感化されたと振り返ります。

「インドにいたときは貧しい人々のために、(お寺が)教育を受けさせたり、医療巡回バスを走らせたり。亡くなった後のお世話だけではなくて、自分たち、生きている人のために我々僧侶はどう役に立てるのかとか、お寺はどうあるべきなのかというのはそこ(インド)で強く見させていただいた」(千田さん)

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インド留学当時の千田明寛さん

そこで思いついたのが、アートを使った活動でした。

「アートって心を踊らすとか、癒やしてくれるとか、言葉にはできないような明るい気持ちにさせてくれるものがあると思うんです」(千田さん)

地元の商店街を活性化させたい

千田さんが、次に「あげたい!」と考えているのが、地元の商店街です。経営者が高齢化しているなか、近隣に大型のスーパーが建ち、人通りが激減。元気がなくなった街を盛り上げるために何かできないか、仲間と一緒に模索を始めています。

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千田明寛さん

「小さいとき、おばあちゃんと一緒に手をつないで(商店街に)来ていたんですけど、もっと活気があった気はしています。地域の人たちにお寺を支えてきてもらったので、お世話になった分、この街の活性化にも恩返しをしたい。実は商店街の近くには地元では有名な、アートを通じて障害者を支援する活動をしている団体さんがいます。できればその子たちにシャッターにアートを描いていただいて、地元のスポットにできないかと考えています」(千田さん)

メンバーからは、商店街を活性化するアイデアが次々と出てきます。

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安藤桃子さん

「お寺さんが活動を始めるのは、本来の姿だと思っています。中心がお寺になっていくイメージで進めていくと、全部が活性化していくいような気すらしてきました」(安藤さん)

画像(松田崇弥さん)

「商店街のシャッターって、たくさんのお店が出店してきた歴史の積み重ねだと思う。だから、たとえば40年前のアーケード街を障害のある作家さんが描いて再現して、昔を彷彿とさせるような、歴史を編んでいくようなシャッター街だったら面白い」(崇弥さん)

「福岡の天神の商店街の路地に500メートルにわたって壁画を描いたんです。そのときに、ハンディキャップのある人たちとだけでなく、地元の自治会のじいちゃん、ばあちゃんたちと一緒に描いたんです。みんなで交流が持てる描き方をすれば、勝手に活性化というか、みんなが関わりたくなる。こんなことできる、あんなことできるという案を出してくれる人が多くなる」(原田さん)

「私からはめっちゃ、生煮えのアイデアですが(笑)。お寺って、まんじゅうというイメージがあるんです。お供え物のね。店頭に湯気がバーッとある蒸しまんじゅうをお店ごとに、今月は電気屋さん、来月は布団屋さんが、不思議な、アートなまんじゅうを作って売る。毎月一軒ずつ順繰りにやっていく。『怖いまんじゅう』という名前で、形とか味が怖いみたいな(笑)」(遠山さん)

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遠山正道さん

遠山さんのアイデアが止まりません。

「お経って、超“ラップ”じゃないですか。お経を唱えてるときに、地元の若い人に境内でダンス踊ってもらって。それ見て地元の子どもたちが来て、お経をバックにダンスを若者に教わる。お経ラップin寺子屋」(遠山さん)

奇抜なアイデアの連発ですが、千田さんは意外にもすべてできそうだと言います。

画像(千田明寛さん)

「商店街の仲間におまんじゅう屋さんがいて、ラップミュージックやっているお兄ちゃんも友だちです。アートの再現として昔の商店街をアウトサイダーアートの方に描いていただいて、それを手伝ってくれた人におまんじゅうを提供して、そこでお経のラップを子どもたちに聞いてもらう」(千田さん)

すべて実現可能だと考える千田さん。そこで、「昔の商店街をシャッターアートで再現」「怖いまんじゅう」「お経ラップin寺子屋」について、視聴者の皆さんの反応を聞く「あがボタンタイム」! テンションが「あがった」人は「あがったボタン」を押します。参加している130人のうち、半分の65人以上がボタンを押したら、番組がアイデアの実現に向けて応援するというシステムです。

リモート参加者の結果は76人!半分以上の賛同者を得られました。

画像(「あがったボタン」で76人達成)

「こんなに『あがる!』をいただいて光栄です。お寺の中にいると、関われる人って限定されてしまう。外に出て、いろんな人と関わっていきたいと思っていたので、アートに強い方にいろんな意見をいただけて光栄です。ありがとうございます」(千田さん)

商店街をあげるプロジェクトの実現化に向けて応援していきます!

“あがるアート”
(1)障害者と企業が生み出す新しい価値
(2)一発逆転のアート作品!
(3)アートが地域の風景を変えた!
(4)デジタルが生み出す可能性
(5)全国で動き出したアイデア
(6)アートでいきいきと生きる
(7)福祉と社会の“当たり前”をぶっ壊そう!
(8)PICFA(ピクファ)のアートプロジェクト
(9)「ありのままに生きる」自然生クラブの日々
(10)あがるアートの会議2021 【前編】
(11)あがるアートの会議2021 【後編】 ←今回の記事
(12)アートを仕事につなげるGood Job!センター香芝の挑戦
(13)障害のあるアーティストと学生がつくる「シブヤフォント」
(14)「るんびにい美術館」板垣崇志さんが伝える “命の言い分”

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※この記事はハートネットTV 2021年12月8日(水曜)放送「あがるアートの会議2021 後編」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

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