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HSPの困りごと・お悩み 支援者からのアドバイス(1)

記事公開日:2020年12月21日

さまざまな疾患や障害・特性のある人のさりげなく味方でいられる人=「アライさん」を目指す「#隣のアライさん」プロジェクト。第4回のテーマは音やにおい、他人の感情などに敏感な気質“HSP”です。「みんなの声 『HSP』安心できる人間関係のために」には、さまざまなお悩みや困りごととともに、自分なりに心がけている工夫や、周囲に求めるものが寄せられました。その声を公認心理師の佐々木智城さんが受けとめながら、安心して生活するためのヒントを探ります。(1)ではHSPへの向き合い方、五感の敏感さについて考えます。

画像(佐々木さん顔写真)佐々木智城さん 星槎道都大学准教授、公認心理師
自身が代表を務めるカウンセリングオフィスで、HSPについての相談を多数受けてきた。

HSPにどう向き合う?

―HSPという言葉が、特に今年に入ってインターネット上で関心を集めています。なぜ、多くの人の心をとらえているのでしょうか。

佐々木:敏感さのために生きづらくて、困っている人がもともとたくさんいたんだろうと思います。家族にも理解されず、病院に行っても異常はないと言われて、それでも生きづらくて言葉を探していたところにHSPという言葉を知って、自分に当てはまって「なんだか安心する」と。そういう人がかなりいるだろうと思いますね。

―HSPは医学的な概念ではなく、医師のなかには「科学的な検証が不十分だ」とする意見もあります。佐々木さんはどのように対応されていますか?

佐々木:敏感さの背景には、発達障害の感覚過敏性とか、家庭環境からくるPTSDなどがある場合も当然あります。また、病気に限らず、たとえば後ろめたい気持ちになると人の挙動に敏感になるというように、何かの状態で敏感になることも結構ありますよね。私の立場としては、敏感さを分類することや、何かの原因に結びつけるのではなく、生活の中で感じる生きづらさや困りごとについて、対策を一緒に話し合うなどします。敏感さを治すというよりも、“困り感”を軽くするという対応です。ただし、病気が関係していると思われる場合は、知っている病院を紹介します。

音やにおい―五感の敏感さの悩み

普通のハードルが高すぎる

内向型のHSP気質を持っているものです。
喧噪、怒鳴り声、蛍光灯、キーボードの音、CMの音などが昔からとても苦手です。
正社員時代に身体を壊し、しばらく寝たきりになりました。
そのころにHSPを知り、自分にはフルタイムという働き方自体が無理なのだと、今は週4日勤務で働いています。
それでも、帰ってくるとぐったりで、暗い部屋で目をつぶって刺激を遮断しないと、おかしくなりそう。休日は寝たきりです。
週5日40時間勤務が苦しくてできない人がいると思うのに、この働き方でないと「普通」とみなされない社会はつらいです。
収入は低くならざるを得ないし、入居審査、クレジットの審査も難しい。
この気質とは上手につきあっていくしかないですが、「普通」のハードル、高すぎませんか?

ずっと眠っていたい / 大阪府 / 女性 / 30代 / 独身女性

―様々な声が届きましたが、音や光などが苦手という「五感の敏感さ」の悩みと、相手の怒りや悲しみなどに反応してしまうという「他人の感情への敏感さ」の悩みの2つに大きく分類できそうです。まずは五感の敏感さについてお聞きします。この方のように、音が苦手という場合、何かできる工夫はありますか?

佐々木:どうしても避けられないのであれば、その音自体を出さない方法を考えます。たとえば、音が鳴りにくいキーボードを外付けで使う人もいます。職場の同僚など他人が出す音なら、耳栓やイヤーマフ、ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンなどで対応することができます。上司とか周りの人に、「ちょっと音がしんどいんです」「じゃあいいよ、使いなよ」みたいな感じで話せたらいいですよね。

一般的に、五感の敏感さの困りごとについては、自分で調整するか、その環境から離れるか、ですね。「この店、いい感じ」と地域ごとに心地いい場所を見つけて確保しておくという人もいます。ただ、そういうことを「わがまま」と捉えて、環境を選んではいけないと思い込んでいる人も結構いますね。他人の意向を優先して、自分の気持ちが置いてきぼりで、嫌な状況でも我慢してしまう。社会人なんだから、とか。

―そういうときは、どうすればいいのでしょうか。

佐々木:案外、社会人ってよくよく見たらきちんとしている人ばかりではないし、別にきちんとしなくていいよっていうことを知ってもらいたい、伝えたいと思うんですよ。選んでいいんだよ、避けていいんだよ、と。苦手なことを「言いやすい相手」を選んでもいいし。人を選ばなかったときにどうなるかというと、たぶんあとでどっと疲れるだろうし、体のメッセージを聞いてあげるっていうのはとても大切です。

―音、光など刺激をたくさん受けて、疲れやすいという声も複数届いています。癒しとして、何かお勧めの方法はありますか。

佐々木:この方のように、週5日働くのはちょっと無理ですっていう人は結構いますね。週40時間を満たさなくていいじゃない、と思います。週4日働けるなら、残りの3日を、しっかり自分の体を休めることに使う。まずはぐったりして休む。そして、敏感な人でも、心地よい刺激もあるので、そういったものにふれるとエネルギーをもらえて、元気になると思います。自然な花のにおいとか、森林の濃厚な緑のにおいとか。焚き火の自然なゆらぎなんかもそうです。自然のものに対してとてもほっとするっていう人が多いですね。神社に行くと落ち着くという人もいます。

自分にとって心地いい環境を見つけることはわがままではない―。佐々木さんの言葉は、自分をHSPと思うかどうかにかかわらず、多くの人の生きづらさを和らげるヒントとなりそうです。(2)では、他人の感情への敏感さ、家族との生活について取り上げます。

HSPの困りごと・お悩み 支援者からのアドバイス
(1)HSPへの向き合い方、五感の敏感さについて ←今回の記事
(2)他人の感情への敏感さ、家族との生活について

※この記事はハートネットTV 2020年11月25日放送「#隣のアライさん これだけは知ってほしい!HSPのこと」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

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