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LGBTの出会いと人づきあい

記事公開日:2018年05月10日

セクシュアルマイノリティへの理解がまだ十分でない今、当事者からは特に恋愛や仲間作りの面で多くの悩みの声が寄せられています。そこで、今回のハートネットTVでは、LGBTアクティビストの増原裕子さんと東京レインボープライド共同代表の杉山文野さんが、それぞれの経験をもとに、LGBTの方から寄せられた悩みに回答。一緒に解決へのヒントを考えます。

断られるのが怖くて告白できない

セクシュアルマイノリティの人にとって、告白やカミングアウトは大きなテーマ。トランスジェンダーの女性からは、「好きな人ができたけれど、告白して断られた時が怖い」という悩みが寄せられました。

FtM(女性→男性)のトランスジェンダーです。以前勤めていた会社で、初めて好きな人ができました。ストレートの女性です。転職後、2人で会って、トランスジェンダーであることをカミングアウトすると、優しく受け止めてくれました。ただ、好きだということは言いませんでした。せっかくの友人関係を壊したくなかったからです。告白して普通に撃沈して友情も失うか。告白しても友人でいてくれるか。失うものが多そうで、奇跡にかける勇気は出ません。(こうもりさん・大阪府・40代)

好きな人に告白できないという悩みに対して、杉山文野さんは同じトランスジェンダーという立場から次のようなアドバイスを送ります。

「トランスジェンダーと言ってもいろいろな方がいると思いますが、僕は相談者とは全く逆のタイプです。というのは、友達がカミングアウトを受け入れてくれて、その後に『ああそうか、人のことを好きと言ってもいいんだ』とすごく嬉しくなって、それからは少しでも好きになったらすぐに告白していました。たくさん振られたりもしましたけどね。何度も振られて痛い思いをしている間にそれが経験になって、いざ本当にこの人ってなったときには、うまくいく布石になったという感じはあるかなと、今となって思います。」(杉山さん)

積極的に告白をすることによる経験の積み重ねが、自分の恋愛を前向きに考えることにつながったと話す杉山さん。レズビアンという立場の増原裕子さんも、好きな人への告白には積極的だったそうです。

「私は10歳で自分のセクシャリティに気がついてから、友達にカミングアウトできるようになるまですごく時間がかかりました。22歳まで抱えていましたが、それまではカミングアウトしてから告白しようとか、そんな余裕はなかったですね。好きな気持ちをどうしようもなくて、告白してしまえと。クローゼット(セクシャリティを公表していない状態)だけど告白しようと。イコールそれがカミングアウトになっていた、ということが結構ありました。」(増原さん)

カミングアウトと告白を一緒に伝えていたという増原さんですが、一方で杉山さんはカミングアウトと告白が同時だと、相手を混乱させてしまうのではないかとの心配も・・・。自分自身も過去に相手を混乱させてしまったことがあったと振り返り、こうもりさんのようにカミングアウトと告白を冷静に分けることも大事だと言います。

恋人や仲間が欲しい。でも少ない出会いの場

告白やカミングアウトと同様、LGBTの人が多く抱える悩みが、恋人や共感できる仲間との出会い。きっかけが欲しくても、安心して出会える場は多くありません。そんな悩みを抱えているレズビアンの方のカキコミです。

この先ずっと1人と思うと不安。2丁目やオフ会、ネットでの出会いは怖い。増原さんと杉山さんはどうやって出会っていますか?(まんぐるさん)

杉山さんは、恋愛対象を求めてどこかへ会いに行ったことはなかったと言います。

「好きなフェンシングとか、LGBTとは関係のない好きなお店とか、共通の好きなものがあるところで結果的に出会っていたという感じがします。恋愛のためにどこかに行こうということは、あまり考えたことがなかったかもしれないですね。」(杉山さん)

共通の趣味が出会いのきっかけになったという杉山さんに対して、増原さんは以前は出会いの機会が少なくて悩んでいました。

「同性愛者とかバイセクシャルというのは数が少ないので、それだけ出会いのチャンスは本当に少なくて、全国の皆さんの悩みだと思います。私もなかなか日常生活で出会えなくて、失恋ばかりしていましたが、いま思えば、友達の紹介が結構ありました。自分で友達に『同性が好きで、彼女を探している』と言っておくと、同性愛・異性愛に限らず、友達も結構協力してくれます。あと、LGBT関連のパレードや映画祭のイベントでボランティアスタッフをするとか、一生懸命やっている姿に惹かれるみたいな話はありますよね。」(増原さん)

恋愛や性的な欲求がないアセクシュアルの方からの声も届きました。

私はアセクシュアル(無性愛)です。LGBTという言葉は知られるようになりましたが、あまり知られていないマイノリティへの情報が少ないように思います。恋愛や結婚なんて無縁だと思っている私は、アセクシュアルとしてこの先、1人で生きていけるか不安です。コミュニティにも参加しましたが、同じような方に会うことはほとんどありません。共感できる仲間との出会い方が知りたいです。(Aya.さん・20代)

杉山さんと増原さんはアセクシュアルのような社会で知られていない性的マイノリティへの理解をもっと広げていくことが大事だということを前置きしながら、インターネットで自分を発信することを勧めました。

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「セクシュアルマイノリティの中でも、アセクシュアルはなかなか数が少ない存在ではないかと思うので、『アセクシュアルで、同じような人と出会いたい』ということを、ブログを書くとかTwitterを通じて発信していくっていうことも、ひとつの方法かなと思いますね。」(増原さん)

イベント活動の場でパートナーの方と出会えたことがあったという増原さんは、踏み出すのには少し勇気がいりますが、「マイノリティだからこそ、出会いの場を増やすために数多くの打席に立つこと」が大事とアドバイスを送ります。

自分やパートナーの家族に理解してもらうには?

一番身近な存在の家族との向き合い方に悩むLGBTの方からも声が寄せられました。

ゲイです。母親から「いずれ結婚して幸せになれる」と言われるたびに、罪悪感にさいなまれます。カミングアウトで、母に孫や息子の幸せな結婚を諦めさせてしまう勇気はありません。(虹色眼鏡さん)

自分の家族だけではなく、パートナーの家族に対する向き合い方に悩む人もいます。

レズビアンで、ずっと一緒にいたい『ノンケ』の彼女がいます。いずれは相手の親御さんに挨拶したいですが、自分のことを認めてもらえるのか、不安になります。(さーさん)

自分の親に息子や娘の幸せな結婚を諦めさせてしまう勇気がない。パートナーの家族に自分を認めてもらえないかもしれないという不安。どちらもカミングアウトすることへの悩みですが、増原さん自身も家族になかなか受け入れてもらえなかったと振り返ります。

「私は母親にカミングアウトしたときに、なかなか受け入れてもらえず大変でした。10年かかりましたが、今では母親は一番のサポーターです。だから時間をかければ理解してもらえる場合もあると思います。最終的には、私がレズビアンのパートナーと結婚式を挙げたときに、仲間に囲まれた幸せな姿を見て安心したようです。ただ、自分が求める幸せと、親が望む幸せはぶつかることがありますよね。時間をかけて歩み寄れるならいいですけど、すべての人に当てはまるとは限りません。そんなときには、自分の人生を大事にしてほしいと思います。」(増原さん)

「僕は彼女とつきあって8年くらいになりますが、彼女のご両親につきあっていることを言ってから、7年くらい反対されていた時期がありました。実はもともと、彼女のご家族のことも知っていて、仲が良かったんです。だからつきあっていることを伝えても大丈夫だと思いましたが、ご両親から『ただ仲が良いのと、つきあうのは話が別だ』と言われてしまいました。でも、自分の幸せを大事にするという意味では、僕とパートナーはすごく楽しく過ごしていました。そのような関係を7年間見せ続けたことで、反対されていても時間が解決してくれた部分もあったと思います。今では彼女のご両親も見守ってくれています。」(杉山さん)

一方で、Twitterにも「カムアウトは無理にしなくてもいいんだよ」といった声が寄せられました。この声に杉山さんも同意します。

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「本当にカミングアウトってタイミングがそれぞれあると思うので、言わなければいけないとか、言ってる人が偉いということはないと思います。だから、自分が言いたいと思えば言った方がいいし、まだ迷っているときは迷っていればいいんですよ。」(杉山さん)

ヒントは「性にとらわれすぎずに生きる」

性にとらわれ、悩むことの多い、LGBTの人たち。そんな中で、ある「気づき」があったトランスジェンダーの方からの声をご紹介します。

FtM(女性→男性)のトランスジェンダーです。もともと人に話しかけるのが苦手で友達ができませんでした。当時それは自分のセクシュアルな悩みのせいだと思っていました。「当事者の会に出れば友達ができるのでは」と思い、参加したところ知り合いはできましたが、つきあいが長くは続きません。「なぜだろう」と考えているうちに、自分が悲劇の主人公であるかのようにセクシュアルにとらわれすぎていたと気づきました。自分は自分と考え、ありのままに過ごしていくうちに、多くはないけれど、これからもつながっていたい友達ができました。(あっくまさん・東京都・30代)

「セクシュアルにとらわれすぎていた」という気づき。この言葉に増原さんも共感します。

「私も周りに言なかった思春期がすごく長くてつらかったし、セクシュアルなことばかり考えていましたね。でも、自分らしさを大切にしながら生きていくことができるんだよって、今ではすごく思えていますね。」(増原さん)

未成年の頃は、自分の性と向き合う時間が長くなってしまいます。そこを抜け出す、自分らしさを追求していくヒントを杉山さんが提案します。

「人はどうしても、できないこととか、ダメなところばかり見てしまいます。それよりも、自分の良いところを見てあげる練習をするのもひとつの方法かなと思います。例えば、友達が失敗したら『そんな日もあるよ』って優しい言葉をかけてあげるのに、自分が失敗すると『何で?』と責めてしまう。だから僕は自分に優しい言葉をかけるようにしています。今日も失敗したなと思っても、『そんなことないよ』と、自分で自分と仲良くなってあげる。自分と仲良くなることによって、人とも仲良くなれるようになったと今は思っています。」(杉山さん)

増原さんと杉山さん、2人に共通するアドバイスは「自分らしさを認める」こと。ハートネットTVでは、これからもLGBTの人たちが抱える悩みと向き合い続けます。

※この記事はハートネットTV 2018年5月3日(木)放送「LIVE相談室 チエノバ『LGBTの出会い・人づきあい』」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

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