「出生前検査」基礎情報・支援情報

もくじ

出生前検査とは

出生前検査とは、産まれる前におなかの赤ちゃんの状態を調べる検査です。大きく「非確定検査」と「確定検査」に分けられ、以下のような種類があります。

【非確定検査】
・超音波検査(エコー検査)
・新型出生前検査(NITP)
・母体血液マーカー検査

【確定検査】
・羊水検査
・じゅう毛検査

まず、通常は「非確定検査」を受けます。身体への負担が少なく、あくまで、病気や障害の可能性を調べる検査です。その結果、陽性だった人は、診断を確定するために羊水検査などの「確定検査」に進みます。妊婦健診で行われる超音波検査も、出生前検査のひとつです。

日本では2013年から行われている「新型出生前検査(NIPT)」は、血液検査によって採血した妊婦の血液から、おなかの赤ちゃんにダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常がないかどうかを調べる検査です。2022年からは、新しい制度のもと、認定された全国各地の大学病院などで検査が実施されるようになり、希望する場合は受けることができるようになりました。2023年12月時点で、日本医学会によって全国で476の病院が、この検査の実施施設として認定されています。

検査結果でつらく悩むことになる可能性も

新型出生前検査は、すべての妊婦が受ける必要はなく、産むと決めているので検査はしないという人も少なくありません。その一方で、血液検査のみで受けることができる、比較的簡単な検査ということから、「高齢出産だから念のために」「安心して出産に挑むために」と検査を希望して受けたところ、陽性の診断が出て、中絶が可能な期間を前に「産むか、産まないか」という重い決断を迫られることもあります。実際に新型出生前検査を受けた人のなかには、こんなに悩むのであれば、受けなければよかったと後悔する人もいます。

新型出生前検査を希望する場合、受ける前にパートナーや家族と検査のことをよく知り、話し合っておくことが重要です。

さまざまなサポート

・遺伝カウンセリング
遺伝カウンセリングでは、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーという遺伝の専門資格のある医師とカウンセラーに、検査の前後、「高齢出産のため検査を受けるべきか」「すでに先天性疾患の子どもがいるので不安」「どのように先天性疾患のある子どもを育てたらいいのかわからない」など、それぞれの不安や悩みを相談することができます。また、遺伝カウンセリングでは、この検査でわかること、わからないことの説明をしっかり受けることができます。新型出生前検査は3つの染色体疾患の可能性を調べる検査で、胎児の状態のすべてが分かるわけではありません。専門家から説明をされた上で、検査を受けるかどうかを決めることができます。

・出生前コンサルト小児科医
出生前検査を受けるべきかどうか悩む妊婦や、検査を受けた妊婦の相談を受けることができる小児科専門医です。検査前後に、先天性疾患の子どもが生まれたときにどんな生活になるのか、どんな医療・福祉のサポートが受けられるのかなど、実際に先天性疾患を診ている小児科医に相談することができます。

・東京のNPO法人「親子の未来を支える会」
産婦人科医や助産師、障害のある子どもの母親らが中心となり、出生前検査に関する相談事業を展開しています。インターネット上の相談サイト「ゆりかご」に寄せられたさまざまな悩みを抱える親の相談に、医療や福祉の専門家などが答えます。そして、同じ悩みを経験した親(ピア・サポーター)にも相談できる仕組みになっているため、出産した人、中絶した人、どちらの意見も聞き、考えることができます。

支援情報

出生前検査に関する情報など
母体血を用いた新しい出生前遺伝学検査について

2013年4月から始まった新しい血液検査で、13番、18番、21番染色体トリソミーの有無を推定できるものです。検査を受けるためには、「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に基づき、高齢妊娠など5つの条件のいずれかを満たしていることが必要となっています。なお、検査の実施施設に関しては、日本医学会臨床部会運営委員会のホームページで情報が随時更新されています。

出生前検査に関連する当事者・家族の会など
公益財団法人 日本ダウン症協会

ダウン症候群に関する、当事者およびその家族を中心とした全国的な組織。啓発、情報提供、相談事業などを実施。出生前検査に関しても、さまざまな意見を表明しています。

13トリソミーの子供を支援する親の会

13トリソミーの子どもとその家族を支援する、当事者が運営している団体。メールをベースとした、会員間の交流や情報共有を行っています。

18トリソミーの会

18トリソミーの子どもを持つ親のための会。掲示板上のコミュニケーション(ピアカウンセリング)が中心です。18トリソミーとはどういう病気なのか等、情報提供も行っています。