ハートネットメニューへ移動 メインコンテンツへ移動

これだけ読めばわかる!「障害者雇用」基本の「き」

記事公開日:2018年04月10日

この4月から、企業などに義務づけられている障害者雇用の対象に、精神障害者(発達障害を含む)が加わり、それにともなって法定雇用率も0.2%引き上げられました。「障害者雇用」に注目が集まるいま、その意義について、改めて考えてみたいと思います。

一般雇用とは異なる採用枠

障害者の場合、一般労働市場での求人に頼るだけでは、就労の機会を十分に得ることはできません。そこで「障害者雇用枠」という特別な採用枠を利用して、一般雇用とは異なる採用基準で企業や公的機関に就職する道が用意されています。

職業生活に一定の制限があるにしても、障害者も、障害のない人と同様にさまざまな能力があり、適切なサポートによって貴重な戦力として職場で活躍することができます。国は障害者の可能性が閉ざされることのないようにさまざまな施策を講じていますが、「障害者雇用枠」はそれらの重要な施策のひとつです。

障害者雇用促進法

企業や地方公共団体などに対して、一定の割合で障害者を雇用する義務があることを定めているのは「障害者雇用促進法」です。

1960年の制定時には、対象は身体障害者のみで、「努力義務」を定めただけでした。
しかし、その後、1976年には「努力義務」を「法的義務」に改め、法定雇用率の未達成企業には国庫に納付金を収める「雇用納付金制度」が設けられました。これによって現在まで続く、「割当雇用制度」が確立されることになりました。

1997年には雇用義務の対象に知的障害者も含めることになり、さらに2018年4月からは精神障害者も加えられ、障害分類にかかわらず、すべての障害者の雇用が義務づけられることになりました。

法定雇用率

障害者雇用促進法では、企業、国、地方公共団体などが、常勤職員数に応じて雇用しなくてはならない障害者の割合も定めています。それを「法定雇用率」と言います。2018年の4月から精神障害者の雇用が組み込まれたことで、雇用率は以下のように改正されました。

photo

民間企業の場合、以前は法定雇用率が2.0%でしたから、常勤職員が50人以上の企業において一人以上の障害者を雇用する義務が生じました。しかし、今回の改正法の実施により、法定雇用率は2.2%に引き上げられ、一人以上を雇う義務が生じるのは、常勤職員44.5人以上の企業となりました。

障害者雇用枠で就労するには?

障害者雇用枠で就労するためには、まずその企業が一般枠だけではなく、障害者雇用枠での採用を行っているかどうかを確かめなければなりません。企業は障害者雇用率を達成したいという希望があるので、応募の際には雇用率にカウントされる条件である障害者手帳の所持が必須となります。

障害者手帳は、自治体の首長が発行し、本人が障害者であることを証明するものです。身体障害者の場合は「身体障害者手帳」、知的障害者の場合は「療育手帳」、精神障害者の場合は「精神障害者保健福祉手帳」になります。

障害者手帳がなければ、障害者であることが明らかであっても、一般枠での応募になります。しかし、障害者手帳を所持していれば、「一般枠」・「障害者雇用枠」どちらにも応募することができます。

障害者雇用枠で就労するメリット・デメリット

障害者雇用枠がある企業は、受け入れの姿勢を示していることになりますから、採用時には、選択の基準になるなど多くのメリットがあります。しかし、採用後には、「障害者を何の目的で雇用するのか」という企業のスタンスによって、メリット・デメリットがさまざまに生じます。

障害者のキャリアプランを個別に見定め、仕事を通じで自己実現をはかれるように合理的配慮を行う企業ならば多くのメリットを感じることになると思いますが、法定雇用率の達成や企業イメージの向上のために形式的に雇い入れるだけで、非障害者の社員と待遇面などで格差を設けようとする企業の場合には、デメリットが生じる可能性があります。

photo

〇メリット
・採用後にどのような処遇がなされるのか、支援体制の有無などの情報が得やすい
・一般枠での応募より競争率が下がるので、ランクが上の企業に就職できる可能性がある
・企業の側が障害者を雇うことを最初から意識しているので、入社時から合理的な配慮が期待できる ・同じような障害をもつ先輩や同僚を得ることができる
・障害者に対する支援制度を利用できる

〇デメリット
・障害者雇用枠を設けている企業は限られるので、選択肢が狭まる可能性がある 
・職種や職域が限定されていたり、契約社員としての採用で身分が不安定であったりと、一般枠よりも待遇が悪くなる場合もある
・「お客様扱い」されて、やりがいのある仕事が与えられなかったり、戦力として期待されなかったりすることもある
・障害のあるなしで、仕事の内容や働く場所が分けられてしまう可能性もある

いかがでしたか。今回は「障害者雇用」にまつわる基本的なことをまとめました。
2017年6月時点で、企業における障害者の雇用者数は49.7万人、実雇用率は1.97%、法定雇用率達成企業50%と、過去最高の値を示しています。
日本国憲法第二十七条第一項には、「すべて国民は、勤労の権利を有す」と明記されています。また、社会全体が共生へと向かう流れの中で、「障害者雇用」に関する環境整備は、障害者の社会参加を促す上でもっとも効果的だと言われています。ハートネットでは、引き続き「障害者雇用」について取り上げていきます。

執筆者:Webライター 木下真

あわせて読みたい

新着記事