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永野芽郁さん×佐藤 健さん

涼ちゃん(間宮祥太朗)を許せたのは、律がいたから(永野)

鈴愛と律は、夏虫駅でのプロポーズですれ違ったあと、それぞれが違う相手と恋をして、結婚と離婚を経験しました。その経緯を振り返って、どんなことを思いますか?

佐藤:より子(石橋静河)とうまくいかなかった原因はひとえに、自分の気持ちをうまく言葉にできない、愛し方が分からないという律の不器用さ。より子が律に抱いた不満や寂しさは当然のものだと思いました。アメリカへ行くときにようやく「やり直したい」と言えましたが、結局うまくいきませんでしたね。

より子といる律と、鈴愛といる律は全然違うな、とは感じました。ただ、律とより子は「合わなかった」のかといえば、難しいところです。僕からすれば、涼ちゃんと一緒にいる鈴愛は、律といるときよりも大人の女性に見えますが、それはそれで良い悪いという話ではないので。

一つ言えるのは、鈴愛といるときの律は力が抜けているなぁ……ということ。律が自然体でいられるのは、鈴愛といるときなんだな、とは感じました。

永野:律を失って傷ついたまま結婚したわけですが、本気で涼ちゃんに恋をしていたのは確かです。でも、涼ちゃんの心が映画に向かってしまって、母である鈴愛には余裕もなくて、最後は離婚。心がどん底まで追い詰められたときに、律の家に電話をかけたのが印象的だったなぁ……。結婚生活の中で律のことを考える余裕はなかったけど、消えずに心のどこかにはいたんだ、と思いました。

永野:それから時間が経って、涼ちゃんに“そよ風ファン”の映像を作ってもらおうと、許してあげたシーンは感慨深かったです。私自身としては、「謝ってもらっても許せるものじゃない」という気持ちもありましたけど(笑)。でも、やっぱり花野(山崎莉里那)と涼ちゃんを会わせてあげたいし、一度は結婚相手に選んだ人なので、いつまでも許さないのは違う。涼ちゃんに真剣なまなざしで謝られたとき、素直に「もういいよ」という気持ちになりました。

たぶん、そう思えたのは律がいたからですね。自分のことをなんでも知っている律がそばにいてくれたから、「涼ちゃんに映像をお願いしたい」と言えたし、大人になって許すことができたんだと思います。

「おい律! お前そういうところだぞ!」(佐藤)

鈴愛と律は、スパロウリズムのソファでキスをして、最終回では抱き合って想いを伝え合いました。ようやく通じ合いましたね。

佐藤:スパロウリズムでのシーンは、明らかにいままでの二人のシーンとは空気が違いましたね。芝居としても、いままで積み上げてきたものとは全く違うアプローチ。律がアメリカに行く直前のハグは「お別れだからしょうがないか」という感じでしたけど、ここでは完全に男女としての二人になっていました。寝ぼけの勢いに任せた形でしたが、お互い大人になったなぁ……。

でも、キスのあとが問題ですよね。「鈴愛のテンションに任せるよ」って、ものすごくはっきりしない発言をしたので。見ている方も、「おい律! お前そういうところだぞ!」と思ったでしょうね(笑)。多分、自分に自信のない律としては、「鈴愛は男女の関係になりたくないのかも」と弱気になったのではないでしょうか。

僕としては、“伏線”としてのこの一件を、なんとか最終回までに回収したい一心でした。願いごとを言う形で鈴愛に想いを伝えられて、本当によかったです。

永野:私、キスシーンがある第25週の台本はお風呂で読んでいて……。「入る?」と言われて毛布に潜り込むシーンでビックリして、湯船に台本を落としちゃったんです! 次の日にリハーサルがあったのに、台本の文字がにじんで大変でした(笑)。
このシーンは、いままでの二人とは違って、ほんとに男女ですよねぇ。普段の鈴愛なら、笑いながら「いや、何言っとる?」と言っていたと思います(笑)。

最終回で二人が結ばれるシーンは、「ようやく!ようやくここか!」という気持ちになりました。本当に長かったから、ようやく結ばれるんだなぁって……。律に抱きしめられて、抱きしめ返したとき、「もう離したくない」って思いました。

永野:でも、二人は結婚しない気がします。その必要がないというか……。たぶん、いままで一緒にいたように、結婚しなくても一緒に居続けるんだと思います。いや……わかんないですけどね!

律は、代えがたい、ずっとそばにいてほしい人です!(永野)

鈴愛と律は、同じ日に生まれた幼なじみであり、親友であり、起業のパートナーであり、愛し合う間柄にもなりました。律にとっての鈴愛、鈴愛にとっての律は、どのような存在だと感じますか?

佐藤:鈴愛と律は、友情や恋愛以上にすごい力を持った関係だけど、家族愛とも違っていて。“ソウルメイト”という言葉でも足りない、言語化できない絆ですね。鈴愛と律だけの愛の形であることは確かです。

たぶん、律には鈴愛のいない人生が考えられないでしょうね。昔もいまも、鈴愛はそれくらい大きな存在。いつも当たり前のように隣にいたから、気付くのにこんなにも時間がかかったわけですが……。

鈴愛が「律は私のマグマ大使(ヒーロー)」と言ってくれるから、ちょっと頑張ってみようと思える。「律は幸せの天才だ」と言ってくれるから、ちょっとだけ自信が持てる。小さいころからずっと、鈴愛は律の“存在肯定”をしてくれる存在なんだと思います。鈴愛は無意識でやっているわけですが、結果的に律の救いになっているんですよね。鈴愛のおかげで律は、「生きていていいんだ」ではないですけど、「この人のために強くいよう」と思えるんじゃないでしょうか。

永野:よく「鈴愛と律はソウルメイトだね」と言われますが、実は私はそう思ったことはないんです。お互いがお互いに対して、踏み込まないところ、踏み込めないパーソナルなところを持っているから、「私たちってソウルメイトだよね!」と言い合う感じではないというか。でも、そばにいたい、いてほしい!という関係だから、ソウルメイトよりずっと深い気もするんですよね。

たぶん、鈴愛にとっての律は、「いてくれると自分が自分でいられる」存在。漫画家時代に律とお別れしたときには、「地面がなくなってまうみたいや」というセリフもありましたよね。花野が生まれるまでは、人生の軸そのものが律だったと思います。

律は、なんでも笑って付き合ってくれるし、ダメなことはダメだと言ってくれる。鈴愛を認めてくれるし、マグマ大使みたいに助けてくれる。律がいてくれなかったら、不安定なときに、鈴愛が鈴愛でいられなかったと思います。鈴愛にとっての律はきっと、代えがたい、ずっとそばにいてほしい人です!

人としてのパワーにあふれているのが鈴愛(永野)

最終回まで演じ終えた今、改めて、自身の役についてどんな印象を持っていますか?

佐藤:律は、自分の意思でガンガン進む鈴愛とは正反対。基本的に受け身で、人の期待に応えて生きてきた人でした。
その上で、脚本の北川(悦吏子)さんは、「あまり自発的に動かないタイプの律が自分の人生をどうやって見つけていくのか。それがこのドラマの裏テーマ」とおっしゃっていたわけですが……。律が最終的に変わったのかといえば、実際のところ、ほとんど変わっていないのかもしれません。変わったとしても、ほんのちょっとですね。

佐藤:律は、ちょっとだけ勇気を出して、大企業を辞めて自分のやりたいことをする選択ができた。ちょっとだけ勇気を出して、鈴愛に自分の気持ちを伝えることができた。相手の期待に応えてしまいがちな人が、人の期待と関係ない自分ならではの選択をすることができた、ということだと思いました。
「相手の期待に応えてしまいがち」って、決して悪いことではないと思うんですよ。律はそれがコンプレックスですが、僕自身としては全然嫌いじゃない。物語全体を振り返っても、「もともとのままでいいんだよ」と、律が肯定された気がしました。

永野:鈴愛もあまり変わった実感がありません。40歳になっても子ども時代と変わらない口調ですし(笑)。現実世界にはなかなかいないタイプの人だと思うので、実在する誰かを参考にするのではなく、最初から最後まで頭の中で作り上げた感覚でした。

そんな鈴愛が大人に見える瞬間を、たぶん、花野が作ってくれました。私自身、花野のことが本当にかわいくて……。莉里那ちゃんが現場に来るようになって、彼女に何かあったら支えてあげたいし、お芝居のことで悩むことがあれば一緒に話し合いたいな、と思えたんです。その気持ちを、母としての鈴愛の演技に活(い)かせたというか。花野の存在が、鈴愛の成長を見せるよりどころになってくれました。

永野:でも、変わらないからこそ鈴愛だなぁ、とも思います。周りを気にせずに突っ走って、うまくいったり、うまくいかなかったりする。それって人間らしいですよね。たぶん、良いとか悪いとかより前に、人としてのパワーにあふれているのが鈴愛なのかもしれません。
なんたって、「漫画家になる!」「お母ちゃんのためにそよ風の扇風機を作る!」「ユーコの夢を叶える!」と、どれも迷いなく言い切っていますからね! そして、どんな状況でもやりとげる。鈴愛は本当にすごいと思います。

「半分、青い。」が“成功”なら、永野芽郁の功績はとんでもなく大きい(佐藤)

演じ終わって思う、佐藤さんから見た永野さん、永野さんから見た佐藤さんの印象を聞かせてください。

佐藤:まずはシンプルに、お芝居が上手ですよね。特に、「!」だけのセリフとか、リアクションがすごくうまいなぁと思います。そしてなにより、力の抜けた状態で芝居できるのがすごい。ああやろう、こうやろうって頭で考えて硬くなるのが普通ですけど、永野さんにはそれがないんです。だから芝居にうそがなくて、生きた鈴愛になっている。大変なスケジュールの中で、相当すごいことをやっていると思います。

というか、18歳の女の子にすごいことやらせすぎだよNHK!って話です(笑)。朝ドラって、撮影する物量が多いから、役者の裁量が大きいんです。どんな動きをして、セリフをどんなトーンや間、表情、目線で言うか、そうした選択の一つひとつを、かなりの比重で役者たちが決めています。永野さんは、ただでさえ難しい鈴愛という役で、誰よりも多くそれをやってきた。この半年は毎朝、彼女の役者としての実力だけでなく、人間性までもが全国にさらけ出ている状態だったと思います。

佐藤:でも永野さんは、たぶん、事の重大さに気づいていない……(笑)。そんなところもいいですよね。僕としては、見ているみなさんに彼女を好きになってもらえていたらうれしいです。この「半分、青い。」が“成功”だったと言えるなら、永野芽郁の功績はとんでもなく大きいと思います。

永野:鈴愛と律は二人でいるとき、割と淡々と会話しているのに、すごく絆が見えるようなところがあって。それと同じように、健さんと目を合わせるだけで「いま、こう思ったんだろうなぁ」と分かるようになりました(笑)。一緒にいる時間が家族よりも長くて、一日の中でいちばん多く会話する人でしたからね。

セリフが全く覚えられないときはずっと相手役をやってくださったし、私が疲れた顔をしていると真っ先に気が付いて、さらっと気遣ってくれました。現場に健さんがいるだけで安心できたなぁ。律が健さんじゃなかったら、私は「鈴愛」になれなかった。いちばん近くて、ちょっとだけ遠い律という役が、健さんで本当に良かったなと思います。

永野:「半分、青い。」の現場では、鈴愛と同じように、周りのみなさんに本当に助けてもらったなぁ……。すごく大変な日常だったけど、クランクアップのときにもらった寄せ書き付きのアルバムを見たら、私の写真は笑っているものばかりでした。鈴愛を演じられて、本当によかったです!

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