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タイトルバック 制作の裏側

鈴愛が豊かな発想力で、日常に想像の世界をプラスする「半分、青い。」のタイトル映像。その制作の舞台裏について、演出のくろやなぎてっぺいさん、プロデューサーの高橋聡さんをはじめ、制作チームのみなさんに聞きました。

(後列左から)
雲素材撮影:土田祐介さん
デザイナー:田中健一さん
撮影:池浦新悟さん
イラストレーター:大塚いちおさん
プロデューサー:高橋 聡さん
(前列左から)
アートディレクター:川上恵莉子さん
演出:くろやなぎてっぺいさん
プロダクションアシスタント:松崎希光子さん

コンセプトは「もし鈴愛が映像を作ったら」「半分、ひらめき。」

くろやなぎてっぺい(演出):まず脚本を読んで、ヒロインの鈴愛がさまざまな困難を独自の発想やひらめきで乗り越えていく姿に、すごく共感しました。人とは少し違う独自の目線を持っていて、その考え方が素晴らしいなと。「そんな”鈴愛の目線”=”鈴愛フィルター”を通してみれば、身の回りも楽しく変わるのではないか。」と思い、「もし鈴愛がタイトルバックを作ったらどんな映像になるのか」をコンセプトにしました。

また、「半分、ひらめき。」もコンセプトの一つ。「半分、青い。」の「半分」を、「理想と現実の半分こ」と捉え、「慌ただしい現実に少しだけ想像とひらめきを入れることで、日常が楽しくなる」というテーマで作りました。

いろんな絵の種類を意識して、散りばめたアイデア

くろやなぎ:どんなモノにどんな絵を描き足すかは、制作チームでアイデアをひたすら出し合い、いいなと思ったものを実際に撮影して実験、というのを繰り返しました。一つひとつの絵が映る時間がすごく短いので、パッと見て理解できるもの、というのも判断基準の一つでしたね。

高橋 聡(プロデューサー):「ネガティブなことをポジティブに変えていく」というのは伝えたいメッセージなので、そのコンセプトの強いもの、子どもでも真似しやすい簡単なもの、絵として美しいものなど、いろんな種類の絵を意識して、さまざまなアイデアを散りばめています。幅広い世代の方に楽しんでいただけたら嬉しいです。

大塚いちお(イラストレーター):「鈴愛だったらこういう絵を描くだろうな」と想像しながら、描きました。大変だったのは、初めてラップに絵を描いたこと(笑)。素材が薄くて柔らかいので描きにくかったですが、それも含めて楽しめました!

川上恵莉子(アートディレクター):鈴愛のアトリエというコンセプトで、食器棚も鈴愛になりきって作りました。常に「鈴愛だったら」という目線で、違う種類のお皿を積み重ねたり、食器棚にはふつう置かない男の子の置物を置いてみたりと、細かな部分でも鈴愛の独創的なキャラクターを表現しました。

くろやなぎ高橋:実は主題歌「アイデア」の楽譜になっていて、ちょうどこのシーンに来るメロディーが音符で描かれています。

くろやなぎ:鈴愛が高校時代に描いた「空飛ぶクジラ」のアイデアを取り入れました。

土田祐介(フォトグラファー):毎日、いい雲がないか探していました。雲についてたくさん調べて、いつでも撮影できるように準備していましたが、すぐに形が変わってしまったり、都内だと障害物が多くて撮れなかったりと、悔しい思いもしました。ボリュームのある、形のいい雲が撮れたときは、すごく興奮しましたね(笑)。

田中健一(デザイナー):主に、撮影に必要な素材の準備や検証を担当しました。影を検証しようにも撮影日が変わると太陽の当たり方が変わったり、雲を撮ろうとしたらすぐ消えてしまったりと、自然現象と向き合いながら良いロケーションを探すのが難しかったです。

くろやなぎ高橋:車の窓ガラスにツバメの切り絵を貼って、河川敷沿いを何度も往復。本当に飛んでいるように見せるために、カメラを一緒に動かしながら撮影しました。

高橋:当初はきれいな7色のリボンにする予定でしたが、鈴愛だったらそこらへんにある生地を集めて「これ虹っぽい!」と言って作るだろう、ということで、色々な生地を縫い合わせたカラフルなリボンに。永野(芽郁)さんが昔、新体操をやっていたことを知らずに企画したのですが、リボンさばきがとても上手くて、僕らの理想を見事に体現してくれました。
水たまりの場所を探すのも大変でしたが、奇跡的に理想の水たまりができる場所を発見。いろんな奇跡が重なって、素晴らしいショットになった1シーンです。

池浦新悟(映像カメラマン):鈴愛がリボンを持って走るシーンは、舞っているのがきれいに見えるように、ハイスピードカメラで撮影しました。この映像制作では、仕掛けのある撮影技法が多く、雲や光の加減、カメラワークなどにもこだわったので苦労しましたが、良い映像になってよかったです。

松﨑希光子(プロダクションアシスタント):水たまりなどのロケーション探しや撮影の下準備が大変でした。撮影は自然光にこだわっていたので、日が落ちるまでという限られた時間の中で、監督が思い描いている映像をどうやったら実現できるのかを常に考えながら動いていました。チームみんな仲が良く、文化祭のような感じでしたね。

主題歌「アイデア」は、自分たちの方向性と同じで感動!

くろやなぎ:実は、主題歌のタイトルが「アイデア」だと知ったのは、映像制作を実際に開始した後。僕らのコンセプトと星野源さんの方向性が見事に一致していたことに、すごく感動しました。

高橋:星野さんと僕らの、脚本から読み取った鈴愛の印象が、同じだったんだと思います。

くろやなぎ:歌詞にも「ネガティブなこともポジティブに変える」という鈴愛独自の目線が入っていて、僕らの表現したいことと同じだったことが、とても嬉しかったですね。

映像に込めた思い

高橋:「日常に少しのアイデアを加えれば、人生が楽しくなる」というのが、僕らのメッセージです。慌ただしい日々の中でも、自分の身の回りの出来事に少しでも多く目を向けたら、何かしらの発見や人生を楽しくするきっかけがあるかもしれない。このオープニングが、そんな気づきになれば、と思います。
また、ラストカットの雲は、何も描いていないシンプルな雲にしていて、1ヶ月ごとに形を変えています。「今日の雲は何に見えるかな?」という楽しみを持って毎日見てもらいたいという思いを込めました。

撮影した雲の動画は、100以上!

くろやなぎ:僕自身、目の前にある現実にちょっとしたアイデアを取り入れるようになってから、人生が豊かになりました。ぜひみなさんも、自分なりの想像を膨らませてもらえたら嬉しいです。


【メイキング映像】

■くろやなぎてっぺい
映像作品を中心に幅広いメディアで作品を発表。アルスエレクトロニカ、シーグラフ、文化庁メディア芸術祭など国内外のメディアアートフェスティバルに多数参加。Japanese Motion Graphics Creators「映像作家100人」に選出され、音楽、映像、美術をミックスした独自のスタイルで活動中。

■高橋 聡
太陽企画、Creative Lab PARTYでプロデューサーとして活躍後、2013年よりプロダクションカンパニーkichiを設立。2016年、共鳴するフィルムメーカーらと国際的なプロダクションユニットNIONを設立する。カンヌライオンズをはじめ国際的広告賞での受賞歴多数。

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