Good musicians know it takes time to hone your craft. For one Japanese artist, the creative journey has spanned across continents and nearly eight decades.
和文
良い音楽家は、自分の技を磨くには時間がかかることを知っています。ある日本の芸術家にとって創造の旅は、大陸を越えて80年近く(の時間)に及んでいます。
解説
honeは「(技や能力などを)磨く」で、hone one's craftは「自分の技を磨く」という表現です。
artistは「芸術家」です。美術、音楽、舞踊、演劇などの分野を含みますが、ここでは「音楽家」を指しています。
ここでのspanは「広がる、及ぶ」という意味です。
continentは「大陸」です。
decadeは「10年」です。ちなみに、この後のセンテンスにはcentury「100年」が出てきます。

At nearly 100 years old, Muroi Mayako is Japan's oldest professional pianist. And she's still thrilling audiences with her renditions of Beethoven's classics.
和文
100歳近くの室井摩耶子さんは、日本最高齢のプロのピアニストです。そして室井さんは今なお、ベートーベンの名曲の演奏で聴衆を感動させています。
解説
室井摩耶子さんは、4月18日に100歳を迎えるのを前に、4月7日に東京で記念のコンサートを開き、ベートーベンの「エリーゼのために」と「月光」を披露しました。
ここでのthrillは「わくわくさせる、感動させる」という意味です。
renditionは「演出、公演」としても使われますが、ここでは「演奏」です。
名詞のclassicは、本や音楽や映画などの「古典、名作」という意味で、ここでは「名曲」を表しています。

Muroi began tickling the ivories for a living at age 23 in 1945. After years in Europe, she's back in Japan to share her talent and wisdom.
和文
室井さんが仕事としてピアノを弾き始めたのは1945年、23歳のときでした。ヨーロッパで何年も過ごしたあと、室井さんは自らの才能と知恵を伝えるために日本へ戻ってきました。
解説
tickle the ivoriesは「ピアノを弾く」という、くだけた表現です。ここでのtickleは「軽く触れる」です。ivoryは「象牙」で、この表現はピアノの鍵盤が象牙製であったことから来ています。
for a livingには「生活のために」と「仕事として」の2つの訳語がありますが、ここでは後者で、生活の糧としてピアノを始めたのではなく、ピアニストとして仕事を始めたことを意味しています。
大正10年生まれの室井さんは、戦時中の1945年にプロとして活動を始め、30代から50代にはドイツを拠点に13か国で演奏を重ねるなど国際的に活動し、現在も国内で最高齢の現役ピアニストとして活動を続けています。


(Muroi Mayako / Pianist)
"I've only begun to understand that to create art I need a deeper connection to my own humanity."
和文
「芸術を創るためには自分自身の人間性とより深くつながることが必要であるということを、私はようやく分かり始めたばかりです」
解説
室井さんの言葉を英訳したものです。室井さんは100歳を迎える心境について、「いい芸術家であるためには何が必要かが分かってきました。人間として自分の中身をもっと深めなくてはいけない。そのときに初めて自分の芸術ができあがると思います」と話していました。
createは「つくる、創造する」です。
humanityは「人間性」です。


Even after a century, Muroi says that she needs time to grow, explaining that 200 years would not be long enough to perfect her art.
和文
100年たったあとでも、室井さんは成長するための時間が必要だと述べており、自らの芸術を完成させるためには200年でも足りないと説明しています。
解説
ここでのgrowは「成長する」という意味です。
explainは「説明する」です。
ここでのperfectは、動詞で「完璧にする、完全にする、完成させる、磨きをかける」です。強勢は第二音節[fe]にあります。
室井さんはまた、「芸術はきりがないものだと痛切に思います。ベートーベンの音楽に『すごいなあ』と思っていると、また違う音楽に出会うんです。200年生きても足りない気がします」と音楽への変わらない思いを語りました。
良い音楽家は、技を磨くのに時間がかかることを知っています。ある日本の芸術家にとっての創造の旅は、大陸を越え、80年近い時間に及んでいます。
100歳を迎えようとしている室井摩耶子さんは日本最高齢のプロのピアニストで、今も(コンサートで)ベートーベンの名曲を演奏して聴衆を感動させています。
室井さんがプロとしてピアノを弾き始めたのは1945年、23歳のときで、ヨーロッパで長年にわたって活動したあと、自らの才能と知恵を伝えるため日本に戻ってきました。
室井さんは、「芸術を創り上げるには自分自身の人間性をより深めなければいけないと、ようやく分かってきたところです」としたうえで、100歳になっても成長するための時間が必要で、自らの芸術を完成させるには200年でも足りないと語っていました。