クローズアップ現代

毎週月曜から木曜 総合 午後10:00

Menu
【身体拘束は減らせない?】医療の担い手は“孤立”している!?

【身体拘束は減らせない?】医療の担い手は“孤立”している!?

2019年10月11日
  • 認知症
  • 高齢者

9月11日放送のクローズアップ現代+「身近な病院でも!なぜ減らない“身体拘束”」には、医療関係者をはじめ、患者の家族や拘束を受けたことがあるという人などから、合計250通を超える投稿をいただきました。ありがとうございます。

投稿の多くは、身体拘束せざるを得ない医療現場の実態をもっと理解して伝えてほしい、という切実な声でした。私たち番組スタッフが、投稿を寄せてくださった方々に、お電話や直接会うなどして改めてお話を伺う中で浮かび上がってきたのは、医療現場の過酷な状況です。


「上は守ってくれない」

民間の総合病院で働く20代の看護師・Aさんは、開口一番「番組を見ましたが、身体拘束は、したくてしているわけではないんです」と訴えました。点滴中の患者に、管が外れないよう身体拘束するケースはよく見られますが、Aさんの職場は「点滴くらいでは身体拘束しないことが多い」。毎朝のカンファレンスでも、不要な身体拘束は極力減らすよう検討しているといいます。
しかし、それでも身体拘束をなくすことができない理由のひとつが「自分の身を守るため」。


地域包括ケア病棟に勤務する30代の看護師・Bさんも、現場の医療者が孤立し萎縮している現状を訴えました。


「家族にもっと理解してほしい」

Aさんは、家族との関係づくりの難しさも、身体拘束が広く行われている一因に挙げます。


看護師にとって、家族の信頼を得られないことは何よりもつらいことであり、理想の看護を追い求めるより、事故が起きないことを優先する傾向が強まるのだといいます。
一方、救命救急センターなどに勤務経験のある30代の看護師・Cさんは、“必要な身体拘束はある”ことを家族にも理解してほしいと訴えます。


「患者と向き合う時間が少ない」

大学病院に勤務する30代の作業療法士・Dさんは、医師や看護師たちと多職種のチームを組み認知症の人のケアや関わり方を横断的に支援する「認知症ケアラウンド」を実践しています。Dさんの病院でも、「命を守るために必要な身体拘束はある」とした上で、“不要な身体拘束は行わない”方針を徹底。身体拘束しない患者が多くなるほど診療報酬の加算(認知症ケア加算)が増え、病院経営上のプラスにもなるそうです。
Dさんが指摘するのが、看護師が一人ひとりの患者としっかり向き合う時間が少ないことです。


Dさん自身は拘束されている認知症の人がいたら、たとえ10分でも拘束を解いて1対1で話すことを心がけていると言います。


今回の取材では、患者を幸せにしたいという理想を抱いて看護や介護の職についた人たちが、病院・家族・患者との関係の中で「孤立」し、心をすり減らしている実態が見えてきました。

一方、身体拘束は、命に関わる『切迫性』があるなど、“緊急やむを得ない場合”に認められるものですが、どこまでが”緊急やむを得ない場合”なのかは職場により、あるいは環境により、その解釈に幅があることも気になりました。

前回のクローズアップ現代+では、コメンテーターの宮田裕章さんが「(医療の)現場の人たちが非常にやりがいを持って続けていくことができる」ことが問題の解決のためには重要だと指摘しています。身体拘束そのものについての議論とあわせて、医療現場のあり方について、これからも考えていく必要があると思います。
        

もっと読む