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【性暴力を考えるvol.20】漫画で伝える 兄からの被害

【性暴力を考えるvol.20】漫画で伝える 兄からの被害

2019年10月4日
  • 性暴力

私ははっきり覚えている 兄からの性暴力

「クローズアップ現代+ 性暴力を考える」の投稿フォームには、毎日のようにメッセージが届いています。なかでも目立つのが、父親や兄、弟など、家族からの性被害です。30代の女性、ぼんさんは、幼少期より実の兄から性暴力に遭い、高校生のときに解離性障害、統合失調症と診断されました。“隠れがちな家庭内の被害を多くの人に知ってほしいと”ご自身の経験の一部を漫画にしてくださいました。

※この記事と漫画は、性暴力の実態を伝えるため、被害の具体的な内容にふれています。フラッシュバックなどの症状がある方は留意ください。

“家族を壊したくない” 1人で抱え続けた被害

その後も、キスをされたり、性器をなめさせられたりするなど、兄の行為はエスカレートしていきました。いつ襲われるかわからないので、クローゼットに身を潜める日々が続きました。ぼんさんは「普通の家庭と違う、異常なこと」だと感じながらも、「親が知ったら、家族が壊れてしまう。絶対に知られたくない」という思いが強く、抵抗したり、親に相談したりすることができなかったと言います。

「自分は汚い存在」「生きてる意味って何?」・・・
当時は、スマホもSNSもない時代。誰にも打ち明けられずにいた気持ちを発散していたのが、家族みんなで使っていたパソコンです。自分だけのフォルダを作り、兄からされたことや、やり場のない思いを書きつづっては、そこに保管していました。

しかし、高校3年生のとき、父親が、ぼんさんのフォルダの中身を見たのです。父親は兄を厳しく叱り、それ以降、兄からの性暴力はなくなりました。しかし、ぼんさんは「家族に知られてしまった」という大きなショックから、精神的に崩れていったと言います。強いショックから身を守るため、意識を自分の体から切り離す「解離」という症状も現れ始めました。

“自分を育て直してくれた” 夫との出会い

さらに、ぼんさんを救ったのが、現在の夫との出会いでした。

“加害者の兄も、苦しかったのではないか…”

信頼できる医師と、すべてを受け止めてくれる夫に出会えた ぼんさん。
いまではお互い家庭を持ち、兄とはほとんど会うことはありませんが、兄に襲われ、破れた服を手で押さえながら逃げ迷う夢や、兄に押さえ込まれる夢を見て、叫びながら目を覚ますことがあると言います。

その一方で、ぼんさんは、「加害者である兄も、被害者だった」と話します。性被害を頻繁に受けていたころ、兄は中学受験を迎えていて、父親に厳しくされている姿をよく見かけたと言います。
「宿題の問題を間違えたり、成績が悪かったりすれば、父は強く叱責し、たたいたり腕立て伏せを強要したりすることもあった。厳しすぎる教育が兄のストレスとなり、発散先が私に向いたのではないか。大人になってからこう思うようになった。もちろん、だからといって妹に性暴力をしていいはずはないが…」

力の強い者から弱い者へ暴力が連鎖していく一方で、被害が家庭の外からは見えづらく、また、家族ゆえに相手を心の底から憎みきれない。家庭内の性暴力には、本当に多くの問題があると感じています。日々の暮らしの中で被害を受けて苦しんでいる子どもたちをどう守ればいいか。皆さんの意見を聞かせてください。

NHK「クローズアップ現代+」では、性暴力の問題を継続的に取り上げ、ホームページ「みんなでプラス」で取材中の内容やさまざまな情報を発信しながら、皆さんと一緒に考えています。あなたの気持ち、意見などをお寄せください。

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