
知られざる天才 “ギフテッド”の素顔
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生まれつき、飛びぬけた才能を持っている“ギフテッド”。「天賦の才」「天から与えられた能力」という意味で、海外では広く知られています。アインシュタインやマーク・ザッカーバーグなどもギフテッドと言われ、数々のイノベーションを起こして来ました。
このギフテッドは日本にも250万人程度いるといわれています。しかしギフテッドという概念が浸透していないため、その素顔はほとんど知られていません。彼らがどんな日常を過ごしているのか探るため、番組では高IQを持つギフテッドの方々にアンケートを実施、6歳~60代の122名から回答をいただきました。
※アンケート協力:JAPAN MENSA
※有効回答数122名 (回答は抜粋になります)
※ギフテッドには様々な定義がありますが、今回は「IQ130以上の知的ギフテッドの方」としました。
2019年8月28日の放送内容はこちら

【どんな時にご自身を“ギフテッド”だと感じますか?】
◆見たこと、聞いたときの記憶を映像のように思い出す。
◆小学校の時受けたIQテストで、ずば抜けたIQだった。でも学校の成績は悪い。
◆数学の解決されていない問題を研究していて、一部の課題が解けたとき。
◆小学校の時に連立方程式を解いていました。譜面は読めませんがバイオリンを弾けました。
◆3歳のとき、親がフランス語学習に使用していた会話CDを60分丸々暗記し、さらにレッスン番号を言われると対応する会話を再生していました。
◆漢字を見ただけで覚えられたり、観た映画を脳内で忠実に再生出来る。
【IQを測定したきっかけは?】
◆自分の生きづらさを感じて、自分自身が何なのか知りたかったため。
◆ふと思いついて。ゲームの延長線上で遊び感覚が半分、学歴がないので賢さを証明する手応えが欲しかったというのが半分だと思います。
◆小学6年生の時、進学塾入塾の際にIQテストを受けさせられました。
◆諸々の不都合でうつを患った際、診断の一環として受けたもの。
◆不登校になり、区の教育センターで測定した。
◆さまざまな言語をすぐ覚えてしまうので、不思議に思った親が知り合いの教授に検査を依頼しました。

【学校生活に違和感があったり、学習意欲が湧かなくなった経験は?】
◆義務教育の前、保育園の時から感じていました。年長のときに保育園のクラス全員でひらがなのペーパーをやっている時、みんなが一生懸命練習しているのですが私はもう書けるので「はじめて」と言われてすぐ終わって、すぐに先生に提出に行くのです。すると先生が不機嫌になり、とても怖かったです。
◆一年生の頃のテストで、掛け算を使ったら”習っていないから”と言う理由でバツにされた。答えはあっているのに、一つのやり方しか許してくれないことに不満はあった。
◆完全に理解していても、自習などが認められず、周りと同じように授業を受けなければならなかったとき。
◆中学生の時に、公式の成り立ちについて疑問を抱き先生に回答を求めた。回答は「意味なんてない。覚えろ」の一言。以来、学校の授業に対して意欲を失った。
◆質問したりすると逃げてしまうような先生がいた。
◆関心のないことにはまったく興味がわかないので、算数・理科はクイズパズル感覚で遊びの延長としてほとんど100点、国語・社会は20~30点という極端なものでした。
◆少し浮いたような特徴のため、他の生徒からイジメにあいました。先生には何もしてもらえず、不登校のようになりました。高校は普通校に一応進学しましたが、大人や周囲の人への不信感から続けることが難しく退学しました。
◆敏感すぎる感受性が仇になったのか、ほぼ9年間不登校でした。
◆中学高校になじめず高校二年で中退、大検を取得し二年飛び級する形で米国ワシントン州のコミュニティカレッジに進学。
◆小1の時点で小学校で学習する漢字はほぼ書けたのですが、「周りの児童に悪影響を及ぼすので、習っていない漢字は書いてはいけない」と言われ、連絡帳に書いた漢字を全て消して平仮名に書き直すように言われました。かけっこや縄跳びができる子は「速く走っちゃダメ」とか「二重跳び禁止」とか言われないのに、勉強が得意な場合はなぜ横並びにしなければいけないのか、子供ながらに不思議に感じていました(しかも、テストで順位を決めたり、ドリルでどれだけ早く終わったかは競争させるので、謎はますます深まりました)

【生きづらいと感じた経験は?】
◆記憶力が高いので、過去の悲惨な出来事がなかなか忘れられない。
◆幼稚園時点ですでに世間に迎合して生活してきた。他者を観察し「○○というのはこういうものだ」と認識し、それに合わせるようにして「○○らしさ」を演じてきた。決して1番の成績は取らないよう手抜きをして、調整する事も忘れない。
◆「知識をひけらかして圧倒しようとする嫌な奴」と警戒されるのではないか、と話題や言葉遣いをセーブしてしまう。
◆筋が通っていると思うことは,世の中で漠然と「マナー」とか「不謹慎」とかの理由で避けられていることも言ってしまうので,自分でも空気が読めないという自覚はあります。
◆難しいことでも理解して早く解決できるので、認められるかわりに必然的に仕事量が増えていきます。私の場合は、自分の限界がわからなかったため30歳の頃、働きすぎて(脳を使い過ぎて)パニック障害やうつで苦しみました。
◆話や興味の内容が合わない等の理由で、人間関係は不自由しています。かつて企業で働いていましたが、人間関係や集団行動に適応できず、フリーランスとして生活しています。
◆集団で一つの意見を出す中では、遠くにある本質より、わかりやすい目先の合理性が優先されがちです。意見を述べると、かえって「頭が悪い」「理解しがたい」など排他されることもあるし、後から述べた通りになると、手のひらを返したように意見が肯定される虚しさもあります。そうした失敗経験から、今はただ一般的な知能のふりをすることで安全を得ている感覚もありますが、自分の意見を出したくもなる。アクセルとブレーキを同時に踏むような感覚です。
◆異質な者、変わり者ではなく、ただ1人の人間として、特徴や特性を認めてもらえたら嬉しいです。
今回、私たちは社会生活に生きにくさを感じているギフテッドの方にたくさん出会いました。しかしギフテッドという概念が浸透していないため、相談窓口や、ギフテッド同士が交流できる場が限られているとの声が寄せられました。取材で出会った中では、下記の場で交流を深めている方がいらっしゃいましたのでご紹介します。
●ギフテッド応援隊 https://www.gifted-ouentai.com/(NHKサイトを離れます)
ギフテッドの子どもを持つ親の全国規模のコミュニティーとして2017年1月に設立。SNSによる交流や情報発信、勉強会・お茶会などのイベント企画を軸として活動しています。
●JAPAN MENSA https://mensa.jp/(NHKサイトを離れます)
「人口の上位2%のIQを持つ人」が参加する国際グループMENSAの日本支部で、会員同士の交流の場を提供しています。入会には、MENSA主催の入会テストを受けることが必要です。詳しくはホームページで確認ください。