クローズアップ現代

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【性暴力を考えるvol.11】もっと話したかったこと にのみや さをりさん

【性暴力を考えるvol.11】もっと話したかったこと にのみや さをりさん

2019年8月2日
  • 性暴力
  • 事件・事故

スタジオに出演して

今回、番組に呼んでいただき、お話ししたいことがたくさんあったはずなのに、いざスタジオに入ってVTRなどをじっと見ていたら、自分に起こったことなどがぶわっと思い出されてしまい、正直ちょっとパニックに陥りました。省みると、しゃべりたいと思っていたことの何ひとつ、ちゃんと伝えられなかったんじゃないか、そんな思いになります。「被害から25年目にしてもまだ、こんなところか自分は。」そう思うと情けない気持ちにさせられます。そんな中で、小西先生や武田キャスター、合原アナウンサーにあれやこれやフォローしていただいて、感謝しかありません。

“レイプをしていい理由は 何ひとつない”

今改めて思うのは、被害者の言葉や行動など何ひとつとってみても、加害者がレイプをしていい理由にはならない、ということです。
私は、長い間、このように思うことができませんでした。自分は、自らが見知った、しかも信頼していた相手からのレイプで、何度も陵辱されたのですが、「合意の上」だったととられかねない、そういう状況にありました。だからこそ、自分が悪いのだ、自分に落ち度があったからだ、と幾度となく自分を責め立てました。でも。
どうして被害者がそんなふうに自分を責めなくてはならないのか。小西先生もおっしゃっていましたが、何をとってみても、それは加害者がレイプをしていいという理由にはならない、と。たとえばアンケート結果にもありましたが、露出の多い服装をしていたとか、ふたりきりで部屋に入ったとか、たとえそうであったとしても、同意の上のセックスでないのなら、それは性暴力なんです。
そしてまた、レイプそのものとセカンドレイプとを比べて、どちらの方がより軽いとか重いとか、言われることも多々ありますが、それも無意味な論議と私は思います。
被害者にとってみたら、それは、一次も二次もない、同じ「被害」です。同じ「重さ」です。比べられるような代物じゃあないんです。
今、被害を受けて苦しんでいる誰かがきっと、この同じ空の下にいると思います。どうか自分を、必要以上に自分を責めたりなさらないで。そして遠慮なく、その手を世界に伸ばしてください。伸ばしたあなたの手を握り返す誰かが、必ずどこかに、どこかにいるはずだから。

“性暴力加害者との“対話””

私は今、性暴力加害者との対話を進めています。まだ始めたばかりで発展途上の、まだまだ先の見えない「対話」です。だから、それによって何ができるとか、何が生まれるとか、そんなことは今の時点では何ひとつ言えません。しかし、私は思うのです。私が被害者になり得てしまったように、角度を変えてみれば自分が加害者になる場面だっていくらでもあり得るだろう、と。つまり、被害者も加害者も、私には「他人事」ではないのです。
だから、私は加害者との対話を続けようと思います。加害者たちに対話を通して、私の被害や私が知っている被害者の状況を伝えると同時に、彼ら加害者の状況を、心の奥を、彼ら自身の言葉によって知りたいと思います。それを通して、彼らがなぜ こんなにも罪を繰り返してしまうのか、それを止める手立てはないのか、私なりに探っていけたらいいなと思っています。

被害に遭ってしまった あなたへ

ひとつ。どうしても言いたいことがあります。伝えたいことがあります。
被害者になってしまうと、被害者であることばかりにとらわれてしまったりします。私もそうでした。長いこと、自分は被害者だということにすっぽりすべてとらわれて、それ以外に何も見えなくなってしまいました。でも。違うのです。
被害者であることはあくまで私の一部であり、全体じゃあない。たとえば私は今、被害者である側面を持ちながら、ある時は母であり、ある時は妻であり、ある時は写真家であり、いわゆる一個の人間であり。つまり、被害に遭ったことは つらくて悲しいけれども、それがなければないにこしたことはないけれども、でも。被害者であることは決して、私という人間の全てではないということを。あくまでほんの一部で、私という一個の人間はそれだけではない、ということを。私は声を大にして言いたいです。
だから。あなたがもし被害者になってしまったとしても。それだけに とらわれてしまう時期を経るかもしれないけれども。でも。それがあなたの全てではないのだということ、あなたの価値をすべて決めてしまうような代物ではないということを、私は今、伝えたいです。

最後にもう一度。被害に遭ってしまった誰かへ。
そんなに自分を責めないで、追いつめないで。もう十分だから。大丈夫、必ず夜は終わる。そして再び日は昇る。だから信じて、世界に手を伸ばして。あなたの手を握り返す誰かがきっと、必ず、いるはずだから。
そう、絶望の先にこそ、真の希望は、あるものだから。

にのみやさをり

(このコメントは番組の収録後、2019年7月24日に頂きました)

にのみや さおりさん
写真家。24歳のとき、元上司からの性暴力被害に遭う。にのみやさんの活動については、過去のみんなでプラス“性暴力を考える”でもご紹介しています。
記事はこちら↓↓↓
性犯罪者との対話 真の更生を求めて
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/143/index.html


番組では、性暴力に関する情報をまとめ、皆さんと一緒に考えていく場を設けました。
取材班もコメントし、継続的に取材経過を発信していきます。
あなたの気持ち、意見など、コメントをお寄せください。

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