クローズアップ現代

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【性暴力を考えるvol.4】もっと話したかったこと 山本潤さん

【性暴力を考えるvol.4】もっと話したかったこと 山本潤さん

2019年6月21日
  • 性暴力

番組への反響と法律家への意見について

私は、「19歳だった娘へ性交した父親に対して、裁判所が同意がなかったことは認めながら無罪」としたことは大きな問題だと思っています。
それ以上に驚くのは、番組で実施された前回の刑法改正時に議論した法律家などから得られたアンケートの結果です。6人より回答があり、そのうち4人は「抗拒不能」の要件は「存続すべき」との回答でした。
法律家は、「裁判所は『抗拒不能』という言葉の意味を広く解釈しており、そうした運用に任せるべきだ」つまり、裁判官が適切に判断していると言いますが、今回のような無罪判決が出る可能性があるにも関わらず、なぜ適切に判断していると言えるのか、全く理解できません。
番組を見た多くの方も同じように感じられたのか、私が番組の中で発言した「父から娘へのこのような判決(娘への性暴行無罪判決)が出たにもかかわらずこのままでいいと法律家が仰っていることが理解できない」は500回以上リツイートされました。
法律家は、抗拒不能を検察側が立証できなかったからと言いますが、今回「同意がない」ことを裁判所が認めているわけですから、イギリスやドイツ、アメリカやカナダ、インドのように「同意がない性交」「意思に反した性交」をしたことで罪に問える規定を作ることが早急に求められていると思います。
同意の有無で判断すると言うと内心の問題を裁けないと言われますが、「同意のない性交を犯罪」としているイギリスの司法運用では、「飲食店で口論していた」「彼女は嫌そうだったが連れて行かれた」などの証言から被害を受けるに至ったプロセス、被害後の法医学的証拠採取などから丁寧に同意についてを判断していきます。


番組では、父からの性被害を経験した2人の方が「抵抗する意思すら示すことができなかった」辛い経験を語ってくださいました。
弱い立場の人に性暴力を振るい、自分の欲求を満たす加害者の行動を私は許せないと思っていますし、その罪を問うことができない社会の現状を変えたいと思っています。
「性暴力は許さない」というルールを社会でつくっていくために、何が必要なのか、法律家だけではなく、この社会に生きる私たちが一緒に考えることが大切です。
法律によって裁かれるのも、裁かれないことによって苦しむのも私たち市民なのですから。

番組終了後、一緒に登壇させていただいた宮田弁護士とメール交換を行っています。更生保護に情熱をもって取り組まれていることがよくわかりました。立ち位置は異なりますが、対立ではなく、対話を持ってこの問題をどう解決できるか、共に考えていきたいです。これからもよろしくお願いいたします!

(このコメントは番組放送後、2019年6月12日に頂きました)


山本 潤さん
一般社団法人Spring代表理事。1974年生まれ。13歳から20歳まで父親からの性暴力を受けた。SANE(性暴力被害者支援看護師)としても活動している。


番組では、性暴力に関する情報をまとめ、皆さんと一緒に考えていく場を設けました。
取材班もコメントし、継続的に取材経過を発信していきます。
あなたの気持ち、意見など、コメントをお寄せください。

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