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“被害の全ぼうはまだ見えない”【ブチャ地区長・ミコラさん】

400人を超える市民が殺害されたと伝えられるウクライナ北部のブチャ。ロシア軍が撤収してから、被害の実態が少しずつ明らかになっています。
地区の行政トップのミコラ・リャシェンコさんは来る日も来る日も遺体の収容を続けていて、「耳と指が切り落とされるなど、”虐殺“が強く疑われる」と戦争犯罪の証拠を集めています。それでも、街は復旧に向けて動き出しているといいます。

1週間たっても遺体の収容が終わらない

首都キーウ近郊のブチャからロシア軍が引き上げてから1週間あまりたった、4月11日。
私たちはブチャ近郊地区の行政トップを務めるミコラさんに話を聞くことができました。
ロシア軍が侵攻してきたときは、自ら武器をとり防衛任務に携わってきました。

地区の職員たちは、連日行方不明者の捜索を続けています。
ミコラさんは、ロシア軍が去って1週間がたっても被害の全ぼうが把握できていないといいます。

ミコラさん

「毎日遺体を収容する作業を行っていますが、まだたくさんあります。がれきの下からも遺体が見つかっています。住民は空爆を避けて地下シェルターに身を潜めていましたが、そこでがれきの下敷きになったのです。
敵の攻撃のせいで、住民たちを救助することもかないませんでした。助けようとした人は敵の銃弾の犠牲になりました」

“蛮行の証拠が次々と見つかっている”

遺体の収容が進まないもう1つの理由にあげたのが、被害が街中だけでなく、ロシア軍が陣地を構えていた森林地帯などにも広がっていることでした。

〈国際報道2022 4月11日放送より〉
ミコラさん

「ロシア軍が占領していた地域では、数多くの集団墓地が見つかっています。昨日はある地区で、燃えた家の中から3人の遺体が見つかりました。2人の大人と2歳のくらいの子どもの遺体で、おそらく家族でしょう。毎日のように担当職員らがとても多くの遺体を発見しています。
中にはロシア兵の遺体も含まれています。戦闘で死んだ兵士でしょう。ロシア兵の遺体も遺体袋に入れて冷凍庫で保管して、今後ロシアに送り届けます」

ミコラさんが衝撃を受けているのが、明らかに残虐な殺され方をした遺体が次々と見つかっていることです。
生き延びた住民たちも、非人道的な行為があったと証言しているといいます。

ミコラさん

「ある村の住民は、両親が殺された12歳の少女がレイプされて火をつけられたと証言しています。集団墓地の中からは耳や指が切り落とされた遺体が見つかっています。
集団墓地だけではありません。一般の住宅でもそのような遺体が見つかっているのです。恐ろしいことに、それらの行為は子どもたちが見ている中で行われたというのです。
ロシア兵たちは、最初は簡単にウクライナを攻め落とせると思っていたのでしょう。しかし私たちが激しく抵抗したことで、民間人まで標的にしたのです。私たちは彼らの蛮行の証拠を集めて、国際機関に提出する予定です」

4月13日には、国際刑事裁判所の主任検察官がブチャに入りました。
今後、戦争犯罪などの本格的な調査が進められようとしています。

復旧へ“気持ちを強く持っている”

大きく傷ついたブチャの街。
それでも、ロシア軍の撤収後少しずつ住民が戻り始めています。
一日も早く日常を取り戻し、ロシア軍による次の攻撃に備えるためにも、ニコライさんたちは復旧工事に力を入れています。

〈国際報道2022 4月11日放送より〉
ミコラさん

「電気やガスや水道の復旧に全力を尽くしています。避難できなかった人たちは、今も壊れた家で生活をしています。遺体や兵器が放置された中で生活しているのです。片づけを進めていますが、まだまだ残っています。なるべく早く元の生活を取り戻してあげたいのです。
今回のことで私たちの絆は強くなりました。ボランティアも来て精神的にも支えてくれ、気持ちを強く持っています。大丈夫です、私たちは勝ちます」

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