みんなでプラス メニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなでプラス

“信頼できる情報”を伝え続ける 【ウクライナ公共放送・ミコラ会長】

「これは私たちの責任です」
ウクライナ公共放送「ススピーリネ」。戦時下、命の危険と隣り合わせの状態で取材・発信を続けています。安全のため、放送拠点の場所を明かさないことを条件に取材が認められました。
ミコラ・チェルノティツィキー会長は私たちのインタビューで、戦時下で「信頼できる情報」を伝え続ける決意を語りました。
(4月4日放送「クローズアップ現代」から)

クローズアップ現代 シリーズ侵攻1年 第1夜 ウクライナ 記者と戦争“真実”を追った12か月

2023年2月20日(月) 午後7時30分放送
出演:ウクライナ公共放送 ススピーリネ会長 ミコラ・チェルノティツィキーさん
※放送から1週間はNHKプラスで見逃し配信をご覧いただけます。

ウクライナ公共放送「ススピーリネ」とは

2017年、それまであった国営放送を核として発足した放送局。独立性を重視し、公平・公正の立場から国民の知る権利にこたえることで、従来の“政府の広告塔”というイメージを払拭しようとしてきた。
ロシアの侵攻後は、キーウ(キエフ)にあった放送拠点を国内の安全な場所に移設し、放送やネットでの配信を続けている。軍の情報統制やロシアによる妨害など様々な制約がある中で、スタッフは公共放送としての役割を問い続けている。

防空警報の下で 正しい情報を届ける

―防空警報がなる危険な状況下で、どのように活動していますか?

ウクライナ公共放送会長 ミコラ・チェルノティツィキーさん

「戦争が始まって一ヶ月以上経ちました。すでに慣れてきたこともあるし、備えてきたこともあります。防空警報があった場合は、出演者とスタッフが地下にある仮設スタジオから配信を続けることが決まっています」

―戦地にいるジャーナリストについて教えてください。連絡は取れていますか?

ミコラさん

「侵攻が始まった当初は何人かと連絡が取れなくなりました。(ロシア軍に)包囲されているヘルソンなどに残って仕事をしている職員は本当に勇敢な人たちです。仕事のクオリティーもすごく高いです。電気がなくてスマホを充電できない場所もありますが、ボランティアなどを使って衛星電話を届けたりしています」

実はこのとき、マリウポリの記者とは「今も連絡がついていない」と明かしたミコラ会長。支局の職員と連携して確認を急いでいるが、手がかりはつかめていない。

―どうやって精神的なバランスを保っていますか?

ミコラさん

「私たちは自分の仕事をしています。それが私たちの責任です。チームの誰も戦時中に仕事をする経験はありませんでした。なんと言えばいいか…これは私たちの責任です。この責任にそってできる限りのことをしないといけないです。もちろんいつも完璧にできているわけではく、もっとこうすれば良かったと思うことがありますが、職員全員が一生懸命、国民のために仕事をしています」

“情報の砂漠”を作ってはいけない

―戦時下で情報を伝え続けることの重要性について、どう考えますか?

ミコラさん

「私たちのミッションはウクライナの自由を守ることです。戦時中だからこそ、国民は情報を求めています。情報がないととてもストレスになります。信頼できる情報を受け取れなくなったら、情報のゆがみが生じます。“情報の砂漠”を作り出すのはとても良くないことです」

―情報が正確かどうか、どのように確認していますか?

ミコラさん

「ジャーナリストたちはできるだけ情報を検証しています。このことがとても大事です。信頼性に関係します。検証した情報を提供することは我々の責任です」

―発信できる情報に制限にはありますか?

ミコラさん

「『戒厳令』が敷かれていて、公開できる情報に制限があります。国防省による決まりごとがあります。たとえばメディアやSNSでミサイルが撃たれた現場の詳しい情報を載せない。その情報をもとに、相手がミサイルの撃ち先を調整しかねないからです」

“戦争が終わったら、行いを振り返るのが責務”

―戦時下で公平公正でいるのは難しいですか?

ミコラさん

「この質問には戦争が終わってから答えた方がいいでしょう。どれぐらい公平公正でいられたか、後から評価するのです。私たちはいまできることはやっていますが、行いを振り返って正しかったのか、どう改善できるかを考えることは、この後待っている重要な責務です」

関連番組

クローズアップ現代 シリーズ侵攻1年 第1夜 ウクライナ 記者と戦争“真実”を追った12か月

クローズアップ現代 シリーズ侵攻1年 第1夜 ウクライナ 記者と戦争“真実”を追った12か月

2023年2月20日(月) 午後7時30分放送
出演:ウクライナ公共放送 ススピーリネ会長 ミコラ・チェルノティツィキーさん
※放送から1週間はNHKプラスで見逃し配信をご覧いただけます。
外国メディアも容易に近づけない激戦地に記者を送り、命がけの報道を続けてきたウクライナ公共放送「ススピーリネ」。“ウクライナ報道の最前線”にカメラを入れたNHK取材班が見たのは、戦場の一次情報を伝える使命と、国家による“報道規制”のはざまで苦闘する記者たちの姿だった。さらに記者たちの家族も兵士として戦場へ送られる現実が―。1年という時間が人々に何をもたらしているのか、現地から桑子キャスターが報告する。

クローズアップ現代 シリーズ侵攻1年 第2夜 ロシア それぞれの“信念” 市民たちの12か月

クローズアップ現代 シリーズ侵攻1年 第2夜 ロシア それぞれの“信念” 市民たちの12か月

2023年2月21日(火) 午後7時30分放送
※放送から1週間はNHKプラスで見逃し配信をご覧いただけます。
侵攻開始から1年。ロシアではプーチン大統領の支持率が今も8割を超え、軍を支援する市民の活動も活発になっている。一方、侵攻に反対してロシアを離れた人々は、友人や家族との間の深い溝に苦悩する。さらに各国で対ロ感情が悪化する中、国外から“真実”を伝えるロシア人ジャーナリストたちも困難に直面している。祖国が始めた先の見えない “戦争”に、ロシアの市民はいま何を思うのか。桑子キャスターが現場から伝える。

この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

みんなのコメント(6件)

感想
すずめ
50代 女性
2022年4月5日
ウクライナ公共放送の予算が削られているとの事。寄付をしたいのですが何か方法は無いのでしょうか、、大使館には寄付しましたが、検索しても直接の寄付の方法が見つからない。
寄付する窓口は沢山有りますが、喫緊に必要な場所に早く届きますように。
提言
Song
60代 男性
2022年4月4日
ロシアの放送のどこがfakeなのかを証拠を突きつけて明らかにしていくのもNHKの仕事と思う。
感想
しょうたろう
20代 男性
2022年4月4日
ウクライナ公共放送に携わる人たちの自身の仕事への凄まじい執念を目の当たりにした。ただ正確な情報を伝えるためだけではなく、それがウクライナの自由を守ることにつながるから、自分たちがやっていることに誇りや使命、覚悟が持てているのだと感じた。
感想
みく
20代 女性
2022年4月4日
毎日本当に悲しみでいっぱいです。
何も助けてあげることはできずにいますが、何でも良いのでウクライナの方たちの支援をしたいです。私たちにできることはなんでしょう…
感想
りりこにこ
50代 女性
2022年4月4日
このテレビ局のウクライナ名を教えていただけませんか。SNSがあれば、フォローしたく思います。よろしくお願いいたします。
感想
ウクライナに平和を
50代 女性
2022年4月4日
志高いメディアスタッフの方々の命と引き換えの行動に本当に感動します。どうかご無事で!