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更年期障害も生理も 休みやすい職場どう作る?

「更年期の症状がつらいのに仕事を休めない」「更年期で使える休暇がない」―。「#みんなの更年期」取材班に多く寄せられてきた声です。労働団体の連合東京がこの春アンケート調査を行ったところ、更年期症状がある人の4割が通院や薬を服用しながら働き続けている実態が見えてきました。団体では、更年期の症状を抱えながら仕事を両立するためにどんな制度が必要なのか検討していきたいとしています。

把握してこなかった“更年期障害の実態” 

労働団体の「連合東京」は、女性が働き続けられる環境を整えようと、ことし3月から4月に「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」をオンラインで行いました。きっかけは、地域で開いた勉強会で意見交換をしたときに「更年期で仕事を休んでいる人がいる」「休みたかったがなかなか職場に理解してもらえなかった」という声が次々に上がったことです。

連合東京 社会政策局長 真島明美さん

「話をふってみると思いの外たくさんの意見が出てきました。個人差がある話なので、我慢するのがスタンダードになっていたんだと思います。更年期障害に直面するのは働き盛りの人たちです。どんな健康問題に直面しているのか、まずは実態を把握したいと調査を企画しました」

通院・薬を服用しながら働く女性たち

回答を寄せた1319人のうち更年期障害に関する設問に答えたのは40代以上の713人。症状の有無については、74%の人が「疲れやすい」「肩こり・頭痛」「イライラする」など何らかの症状があると回答しました

対処法としては、「通院・薬の服用」が39%、「有給休暇」が17%と続きました。

連合東京 事務局長 斉藤千秋さん

「通院や薬を飲みながら、大変な所を緩和しながら働いている人がこんなに多いのかと驚きました。そもそも生理や更年期の話題を職場で出しにくいという現状があり、本人も自分が更年期障害なのか、どう対処すればいいのかと迷っています。早めに発見し早めに対処するには病院に行く必要がありますが、そのための休みを取ることができなくて放置してしまっている人もいるようです。まずは休める環境を作らないといけないと考えています」

使われていない「生理休暇」

更年期の症状が辛いときに休める環境をどう作れば良いのか。連合東京が参考にしようとしたのが「生理休暇」です。労働基準法第68条で生理日の就業が著しく困難な女性に対して取得が認められています。アンケートでは生理休暇がどれくらい使われているかも尋ねました。
回答した働く女性1319人のうち生理痛が「ある・あった」という人は90%。生理痛のときの対処法としては
▽「通院・薬の服用」が62%と最も多く
▽「有給休暇」が14%だった一方で
▽「生理休暇」は半分以下の6%にとどまりました。

連合東京 社会政策局長 真島明美さん

「自由記述では、『生理休暇を取得したくても上司がほとんど男性で言いづらい』とか『もっと使いやすい制度が必要』という声が出てきました。休暇の名前を変えれば良いということでもなくて、つらい時に休めるようにしていかないといけないと思います」

連合東京 事務局長 斉藤千秋さん

「生理休暇が使われにくいのは、休んだ時の所得が100%補償されるとは限らないからです。生理のたびに有給休暇を取ってしまうと、1年間に付与されている日数を生理だけで使い果たすことになります。有給休暇は、本来、労働者が自由に取得することができるものなのに、その意味がなくなってしまうのです。生理休暇も100%所得補償するなど、取得しやすい制度にしていくことが必要です」

更年期障害でも生理でも使える休暇を

今回のアンケート結果をうけて、5月末、連合東京は東京労働局に生理休暇を取りやすい環境整備を求めました。更年期障害についても生理休暇を適用拡大するなど、休みやすい環境をどう整えていくべきか、調査・研究を行い検討することを求めています。

連合東京 事務局長 斉藤千秋さん

「現行の生理休暇は更年期障害を想定していません。さらに、これは女性だけの問題でもありません。男性でもホルモンバランスの急激な変化で更年期障害と同じような症状がでることがあるからです。生理休暇の概念を、女性の生理の時だけでなく、ホルモンバランスが男性も女性も変わっていく時に身体を休めるために取得する、というように広げて使えるようにするというのも一案ではないかと思います」

更年期障害でも休める職場に 何が必要?

職場で言い出せなかったり、そもそも休みを取りにくい職場だったり・・・生理休暇を取りにくい要因には、更年期の症状で休みにくい理由と重なる部分が多くあります。さらに私たちの取材では、おおむねひと月の周期性がある生理と違って、更年期は症状がいつ起こるか予測が難しく、休みを事前申請すること自体が難しいという声も多くありました。

しんどい時に休める、早めに受診して早めに治療を始められる環境をどうしたら作っていけるのか。皆さんの職場ではどうしていますか?どんな職場であってほしいですか?あなたのご意見や記事へのご感想を画面の下に表示されている「この記事にコメントする」か、ご意見募集ページからお寄せください。

コメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

この記事の執筆者

報道局社会番組部 ディレクター
市野 凜

2015年入局、首都圏局・前橋局・政治番組を経て現所属。コロナ禍の女性不況・生理の貧困・#みんなの更年期などジェンダーや労働に関わるテーマを取材。

みんなのコメント(2件)

体験談
さかききこ
女性
2022年7月6日
新入社員で入社した企業は男性上司ばかり。休暇もなんのために休むのか申告しなければならず、男性上司に生理の管理までされる・・・ゾッとして嫌悪感で生理痛がひどくても痛み止め飲んで出勤していました。貧血で倒れることもありました。
結局、生理休暇の制度があっても利用したことはありません。形骸化されている休みの一つですし、それが利用できるような環境整備は今も整っていないと思います。更年期障害についても同じです。本当に症状がひどく出勤も辛く、在宅勤務を希望した時に即却下。生理や更年期で体調を崩し、仕事に支障が出る、精神的にも辛いということを理解してもらう環境整備は喫緊の課題です。
体験談
R
40代 女性
2022年7月6日
独身時代働いていた会社では、どんなに辛くても生理休暇などの制度を利用することは、会社全体で先ずあり得ない環境でした。繁忙期の時期は、本当にしんどかったです。更年期や生理、女性なら避けては通れない辛さを我慢するのがふつうではない会社作りをこれからの時代はしていってほしいと切に願います。